左利きの脳力

2022/02/27

 蒼野は脳にとても興味があります。脳科学の話って面白くて、なるほどねと思うことが多いので大好きなのです。今日は左利きは、脳の使い方が右利きとは全然違うという話について、書いてみたいと思います。

 皆様は右利きでしょうか、それとも左利きでしょうか? 日本における左利きの割合はたった10%だそうです。子供の頃は他の人と違うこととか、社会が右利き用に出来ているため、困ることも多かったりして、コンプレックスを感じやすかったりするようです。蒼野は右利きなので、その辺のことは実感としては全く分かりません。

 でも左利きは凄いのです。苦労することが多くても、脳機能の発達で、十分に報われるように出来ています。蒼野もなれるものなら、今からでも左利きになりたいくらいです。

 利き手というのは、ヒトが二本足で歩くようになってから生まれたものらしいです。同じように小さな穴を覗くときに使う利き目とか、受話器を当てる利き耳、ボールを蹴りやすい利き足なんかも存在しています。

 二本足歩行になって、両手が自由に使えるようになると、脳の負担を減らすために、いつも使う側を決めておく方が有利になりました。例えば敵に襲われたときに、咄嗟に右手で庇ったり、攻撃するときに右手で殴ったりというように、優先順位が決まっていることで、より素早く対応出来て、危険を回避しやすくなるからです。

 動作の優先順位を分担して決めておけば、脳は考えて命令を出す必要が無くなり、処理が早くなるのです。利き○○があるのはその為です。

 左利きの子供は、現在の右利き優先社会では、字を書いたり、お箸を使ったりするたびに、「みんなは右手をあんなふうに使っているけど、左手でするにはどうしたら良い?」と考えながら成長します。一方、右利きの子供は、右手の使い方を意識する必要はないのです。

 両手を意識することで、左利きの右脳は、右利きの人に比べて活性化し、どんどん発達してゆきます。手を動かすときに「右手を使っている」「左手を使っている」と注意を向けると、運動系や感覚系などさまざまな脳細胞の発達が促されるからです。

 そのため左利きの人の脳は、右利きの人に比べて、直感力が発達しやすくなります。近年の研究では、直感に従って決断すると、論理的に考えるよりもよい結果が出ることが多いことが、分かっています。直感は、膨大な情報を蓄えた脳のデータベースから、精度が高く、より正確な情報を選択して導き出された結果だと言われているのです。

 右脳は、非言語の脳です。形や色、音など、様々な言語以外の情報は、右脳のデータベースに入っています。常に右脳を刺激している左利きは、五感で感じる膨大な情報が蓄積されており、そこから導き出される直感の力が、優れているのです。

 直感は大事です。それを生かす方法は右利きの人でも応用できます。まず直感を信じる気持ちが大事です。ふと思い浮かんだことをメモしましょう。特に左利きの人は、思い浮かんだことが言語になっていないため、言語化して右脳から左脳に移しておけば、思い出しやすくなります。

 文字に残した直感を、できることから実践して、実証してみることが大事です。直感は未来へ自分を導いてくれるものなので、ひらめいたことが、本当は何を意味しているのか、チェックを繰り返すことで、直感の精度は磨かれて、鋭くなってゆきます。これは右利きの人も同様です。

 左利きと右利きの脳の使い方で、一番大きな違いは、左利きが視覚的な情報を、イメージとしてそのまま右脳で記憶してしまうことが多いことです。右利きは言語にしてから、理論立てて記憶します。テキストよりも画像や映像の方が、圧倒的に情報量が多いのは皆様もご存じのことと思います。左利きは脳に保存する情報量が多いために、選択肢も多く、既成の枠に収まらないような発想、独創性が発揮しやすくなるのです。

 また、同じ体験をした時も、右利きと左利きでは、視点が違います。人は無意識のうちに、自分の得意な脳を使って情報を集めます。たとえば言語能力の高い右利きが、情報の9割を言語から取り入れている一方、左利きが、6割を言語、4割を非言語から取り入れるとしたら、脳の体験は大きく違っていると思いませんか?

 左利きが物事を考えるときには、両方の脳を使います。右利きは、左脳を多く使って右脳を眠らせていることが多いのですが、左利きは両方をまんべんなく使っている人が大半です。言葉は左利きにとっても不可欠なため、左脳も使い、もちろん得意な右脳も使うのです。それを脳の左右を繋ぐ脳梁で統合しながら考えるのです。

 ただいつも脳梁を介して、左右で思考を処理するため、情報や思考をまとめて発言する時には、言葉にするのにワンテンポ遅れる傾向があるようです。右脳のデータ倉庫は、例えると整頓されていない物置です。蓄積されたイメージ情報が、カテゴリー分けされることなく、ランダムに浮かんでいます。

 一方左脳は、情報がカテゴリー別に整頓されていて、図書館のイメージです。左利きは一旦、右脳の倉庫を覗いてから、左脳の図書館に行くため、遠回りをしながら考えています。そのために、鍛えていないと情報処理に少し時間がかかります。ワンクッション思考と言われる思考法です。

 左利きの人は、特有の脳の使い方を続けながら、両方の大脳と、それを繋ぐ脳梁をしっかり発達させることができれば、正しい直感と、独創性のある発想に加えて、思考のスピードアップまで手にすることができるのです。

 右利き優先の社会なので、もし左利きの子供さんがいる方は、悩まれている方もおられるかもしれません。でも一つの素晴らしい個性でもあり、両方の脳が鍛えられやすいということを考えると、将来、本当に楽しみですよね! 

 左利きの子供さんは、あまりに早く矯正すると、脳が混乱してしまうため、10歳くらいまではそのままで良いようです。まず右脳が発達してから、左脳が発達してくるからです。バランスが取れてきた10歳くらいから、積極的に右も使うようにすることで、大きなメリットが得られます。

 蒼野はこのことを知って、自分自身のメンターの発想力や、情報量がめちゃくちゃ多い理由が、左利きである可能性に気付きました。右利きの人が応用するとしたら、子供の頃から、左右均等に使うスポーツをしたり、あえて左手も使うようにすると良いかもしれません。

 今日から左手で歯磨きしようと思っている蒼野でした。左利き、本気で羨ましいです……!

参考書籍: 1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き  加藤 俊徳(左利きの脳内科医)

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