ノーベル賞をもらった大隅良典先生が発見した『オートファジー』は今後の医療や寿命を変えてゆくほどの素晴らしい発見です。この理論を生活に取り入れてゆけば、健康長寿を達成してゆくための、大きな武器になると蒼野は信じており、事故の後遺症を治すためにも、日々実践していることになります。
人間の健康について考える時に、全ての生命の基本が、細胞にあることから考えることが重要です。病気や老化は細胞が悪くなったから生じる状態です。神経細胞と心筋細胞を除くと、細胞は絶えず入れ替わっています。その細胞の設計図がDNAです。
日常生活をしていると、細胞が入れ替わってゆく際に、放射線や、摂取した化学物質などの影響で、割と頻繁にDNAの書き間違い(変異)が起こります。しかし細胞には間違いをチェックするシステムが存在しており、それがきちんと働いている間(特に若い間)は、DNAは修復され、健康で過ごすことができるのです。
細胞自体が悪くなるパターンは次の3つです。
1、細胞内に異常なタンパク質が溜まる。(神経変性疾患のアルツハイマー病やパーキンソン病)
2、ウイルスなどの病原体が、細胞内に入り込んで殺される
3、細胞内でミトコンドリアが壊れて、活性酸素が発生し、DNAや細胞を傷害する
DNAが変異することで、細胞が増殖を続けたり、転移するようになることが癌です。異常に増殖しながら、あちこちに散らばることで体のバランスが崩れ、死に繋がってゆきます。
細胞が悪くなった時に、それを若返らせるシステムがオートファジーです。細胞内の有害物質や、壊れた物質を回収し、分解してリサイクルする現象です。それは人類が生き抜くために備えている、自然治癒力の大きな源なのです。
オートファジーの役割は3つあります。
1、飢餓状態になった時に細胞の中身を分解して栄養源にします。飢餓の連続だった原始時代には絶対に必要なシステムです。オートファジーで、1日240gのタンパク質が生まれ変わると言われています。毎日食べているタンパク質よりも多いのですよ!
2、細胞の新陳代謝を行い、細胞を新しく生まれ変わらせる。常に車の部品を入れ替えて、古い部品を新しい部品に交換し続けてゆくイメージです。車は常に新車の機能を保つことができます。
3、有害物質を排除する。細胞内に入り込んだ有害な病原体、壊れたミトコンドリア、溜まってきている異常タンパクなども分解してくれるのです。
つまりこれはウイルス性疾患や、壊れたミトコンドリアから漏れ出る活性酸素でDNA変異が起こって生じる癌、異常蛋白の蓄積によって生じる神経変性疾患まで、予防してくれるシステムであるということなのです。それ以外にも2型糖尿病、動脈硬化、心不全、腎症、筋萎縮症、ミオパチー、炎症性疾患などにも、オートファジーが関係していると言われているのです。
ただし歳をとるとオートファジーの働きは弱くなってゆきます。しかしオートファジーを活性化する方法はいくつも見つかっているのです。長くなってきたので今回は病気とオートファジーとはどういう物なのかの解説までとさせて頂きます。
次回はオートファジーを活性化する方法について紹介したいと思っています。それが実践できれば、細胞の若さをキープして、病気を寄せ付けず、死ぬまで健康でいられる可能性が高まると考えられていますのでお楽しみに!
以上、参考書は大隈先生の教室で、様々なオートファジーに関する発見をされてきた、吉森 保先生の『LIFE SCIENCE』でした。この本も面白かったなあ。
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