ルビコン!!

2021/11/04

 感染症や癌、神経変性疾患などの多くの病気は、オートファジーが低下すると罹りやすくなることが分かっています。オートファジーの低下に関わる物質がルビコンです。

つまりオートファジーを最大化する生活習慣を送ることで、健康長寿が達成できる可能性が高まるのです。

 オートファジーに関わるタンパク質は沢山見つかっていますが、オートファジーの働きにブレーキをかける、オートファジーが起こりすぎないようにするタンパク質が『ルビコン』です。ルビコンは加齢に伴うオートファジー低下と個体老化の要因の一つです。

 人間など哺乳類は老化すると病気になりやすくなります。老化を止められれば寿命は延びるのですが、老化と深い関わりのある、ルビコンの動きを抑えたら、老化は止まり、健康寿命が延びる可能性が実験で証明されてきています。

 遺伝子操作でルビコンの働きを抑えた線虫で実験したところ、オートファジーの活性化が維持され、寿命が平均20%延びました。人類なら平均寿命が100歳を超えるということです。そして、寿命が延びただけでなく、老いても活発に動き続けたのです。 通常の線虫の2倍は動いており、これは80歳の人間がフルマラソンを涼しい顔で走るようなものなのです。

 ルビコンは脂肪肝になると増えることが分かっています。脂肪肝は肝臓の現代病とも言われます。実は人間ドック健診では、受けた人の約30%が脂肪肝ということが分かっており、その数は年々増加傾向にあるのです。脂肪肝にならない生活をすることは、ルビコンを増やさないために必要なこととなります。

 日常生活でルビコンを増やさず、オートファジーを活性化するための方法が分かってきています。

1、カロリー制限

食べる量は重要です。日本でも腹八分目という健康法が長く伝えられ続けてきました。カロリー制限には、一日一食抜くといったプチ断食も含まれ、蒼野自身は、毎食、食事量を我慢してストレスを溜めるよりも、毎日、朝食を甘くない飲み物のみにして、16時間断食する方が断然やりやすいと思いますので、お勧めです。最初は12時間くらいから始めましょう。

2、なるべくインスリンを出さないような食材、食べ方を選ぶ

糖質、炭水化物でインスリンが分泌されることは有名ですが、タンパク質の過剰でもインスリンは分泌されます。世界の長寿地域、ブルーゾーンに住む人々の食事も、たくさんの種類の低GI食品と、少量のタンパク質から成り立っています。野菜→たんぱく質→炭水化物の順番に食べるカーボラストも良い方法です。

3、オートファジーを活性化する食材を食べる

スペルミジン 豆類や発酵食品に多く含まれており、最も有名なのは納豆で、ほかにも味噌や醤油、チーズ、椎茸などのキノコなど。

レスベラトロール ブドウや赤ワインのポリフェノール成分です。

アスタキサンチン サケ、いくら、エビなどの赤色天然色素です。

カテキン 緑茶や抹茶に含まれます。

4、運動する

1回30~60分、週3~4回の有酸素運動を継続する。蒼野は複視のために車に乗れなくなって、毎日通勤で1万歩くらい歩くようになって、頭も体調もとても良くなったように感じています。

またレジスタンス運動はエネルギー消費量が有酸素運動より少なくても、脂肪肝などの予防に有効です。特にスクワットは、効率のよいレジスタンス運動です。

 結局は、糖質、悪い脂肪を食べ過ぎず、毎日運動して過ごすこと。農耕生活以前の人類が行っていた生活に近づけることが、健康長寿への道ということになるようです。皆様、現代に生きていたら、完璧にできないのは当たり前です。できることから少しでも取り入れてみましょうね!

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