サプリメントの考え方2!

2023/01/08

 昨日はサプリメントに対する蒼野の考え方をお伝えしたのですが、伝えきれていない部分が沢山ある為、引き続き今日も書きたいと思います。食事から摂れていればサプリメントは必要ないのですが、現代の食生活では摂れていない人が多いのも事実です。また昨日も書いたようにサプリメントで現在決められている栄養所要量を全て満たせば、どんな食事をしていても、健康になれるのかと言うとそれも違います。今日はこれらの点について深堀りしてみます。

 蒼野は脳外科医ですので、脳卒中や事故などで大脳機能が廃絶し植物状態になってしまった人も沢山見てきましたし、今も診ています。そういった方には、経管栄養といって、医学的に現在わかっている栄養所要量が全て満たされている栄養剤を注入しています。それだけで何年も生きられる方は居られますが、年月が経つにつれて、肌の状態が悪くなり、皮膚は薄くなり、ちょっとした外傷でも傷が治りにくくなったりします。

 もちろん運動が出来ないことの影響は大きいのだろうとは思いますが、蒼野が医師になってからでも、医学や科学の進歩は目覚ましく、栄養についても全てが分かっている訳ではないことは大前提として考えておかなければいけません。つまり食材には入っているけど、経管栄養剤やサプリメントに入っておらず、微量であっても絶対に健康に必要であるものは、必ずあると言うことです。

 また同じものばかり摂取することは、腸内細菌の多様性にも影響します。多様な腸内細菌がつくり出すポストバイオティックスの中にも、健康になくてはならない微量な物質は必ずあるはずなのです。我々の細胞には、必要十分な栄養が必要です。短期的には不足していても乗り切れますが、長期に渡って不足すると、生命に直接関係ない皮膚などから影響が出始めると言うことになります。

 そう言う意味で、人間は昔ながらの多様な食材から、栄養を摂ることが健康を保ち続ける秘訣になると思うのです。サプリメントを飲みながら、便利なワンパターンの食事を続けたり、添加物や人工の今までの人類が摂取していなかったものを摂り続けたりする生活は、長期間のうちには様々な細胞が不調となり、肌や髪の調子が悪くなったりします。検査では異常が無い怠さとか、やる気や集中力の無さ、イライラしたり落ち込んだりのメンタルの不調が出てくると、蒼野は思います。

 物理学者で栄養の研究を続け、独自の栄養理論を自分でも実践して、95歳で亡くなった三石巌先生という方がおられます。重症の糖尿病だったために、自分を実験台にしながら物理学の考え方を栄養学に応用し、『栄養カスケード理論』『メガビタミン理論』という考え方を唱えました。重症糖尿病で95歳まで生きる人はほとんど居られないので、理論が正しかったことが推測されます。

 きっかけになったのは自らの白内障です。ビタミンCは白内障予防にも有用なビタミンなのですが、糖尿病による酸化の亢進で、ビタミンCが活性酸素の除去に使われてしまったため、白内障を予防する所まで回って来なかったのだろうと考えついたのです。

 カスケードとは何段も連なった小さな滝の事で、水は上の滝から落ちてゆき、上の滝壺がいっぱいになると、次の滝になって次の滝壺を満たしてゆきます。ビタミンも滝の水の様に、その人にとって重要な所で使われてゆき、十分に満たされたら、次に必要な所で使われるのではないかという理論です。

 ビタミンCであれば、極度の欠乏で生じる壊血病が最初の滝壺です。三石先生は壊血病にはならなかったけど、糖尿病でビタミンCが使われてしまったために、白内障予防に必要なビタミンCの量が不足してしまい、同じ食事をしていた家族の中でただ1人白内障になったのだろうと考えたのです。

 また人によってビタミンの必要量にも差があるとも考えました。ビタミンやミネラルは補酵素や補因子として、体内で起こる酵素反応を補助します。通常の化学反応は高温でなければ起こらない事が多いのですが、体内の37℃という温度で反応が起こるのは、タンパクから出来る酵素と共にビタミンやミネラルなどの微量な栄養があるからです。

 しかし体質(DNA)によって、この酵素自体が人それぞれ少しずつ違っています。ビタミンCが少量でも反応が進む人もいれば、沢山ビタミンCがないと反応が進まない人が居たりする訳です。現在の万人に向けたビタミン所要量は、欠乏症による病気が起きないぎりぎりの量です。サプリメント推奨派の人は、無駄になっても良いので、もっと多くのビタミンを摂ることで、個人差を考える事なく、最後のカスケードまで、必要なビタミンを供給できるのだという考え方なのです。

 例えば筋トレで筋肉を増やしたい場合、先日書いたようにビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛などが、全て不足する事なく摂れていれば、生命維持には直接関係ない、筋肉を増やす所にまでビタミンが回ってくるという事になります。これがメガビタミンという考え方です。これはサプリメントを利用しなければ不可能な大量のビタミンを摂る方法になります。

 免疫力アップやパフォーマンスアップまで、理論上はこのメガビタミン生活を続けたら、スーパーマンの様になって、健康長寿が達成できるかというと、実際には難しい部分があります。まずサプリメントの質にこだわる必要があります。特に脂溶性のビタミン(D 、A 、K、E)は体内に蓄積してしまうため、摂りすぎないことも重要です。水溶性は摂りすぎても問題はありません。

 三石先生の考え方は、分子栄養学という予防医学にもつながる考え方に発展してきています。血液を詳細に調べて、不足している栄養を適量補充してゆき、不足の影響で起こる将来の疾病を防いだり、メンタルやパフォーマンスを上げるという考え方です。病気治療に応用しているDr.も居られる様ですが、それだけで病気を治すのは厳しい事が多い様です。

 ということで、普通に食事を摂り、今まだ分かっていない栄養も摂りつつ、明らかに不足しているものに関しては、サプリメントを利用するというのが実際の賢い摂り方になると思います。2020年の国民健康・栄養調査によると、どの栄養素も人口の10%くらいの人は不足しているのですが、人口の30%の人が不足している可能性があるものとしては、食物繊維、ビタミンA、B群、C、D、カリウム、カルシウム、マグネシウム、女性の鉄などが挙げられます。タンパク不足の人のプロテインも考慮が必要です

 どうしても野菜が沢山食べられない(推奨量は1日350g)人は多いと思いますので、そう考えると質の良いマルチビタミンミネラルのサプリと、食物繊維のサプリは必要だと思います。また筋肉をつける必要があるとか、喫煙している(C不足)、飲酒が多い(B不足)など、ライフスタイルに合わせたサプリメント補充は、考えると良いと思います。

 何度も言いますが、サプリメントは補充であり、保険ですよ! 食べれる時にはちゃんと自炊して、お腹いっぱいになるまで野菜を食べてくださいね! 主食メインの食生活(+サプリメント)はできるだけ減らしてゆきましょう。

 母親の筋力増強や認知機能向上のために、i-Harb(通販サイト)でサプリメントを見繕って送ってみた蒼野でした。 

参考書籍:  分子栄養学のすすめ  健康自主管理の基礎知識    三石 巌

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