AIの浸透と、人間の脳!

2023/04/09

 蒼野は医師ですので、AIとか社会の事に関しては素人です。2月からChatGTPを使う様になって、これはスマホ以上に、これからの社会を変えるツールだと感じています。多くの記事で、今からなくなる職業について語られており、自分の娘達が生きてゆくこれからの世界について、考えてしまう事が多くなりました。今日は現時点で、自分が集めた情報から、蒼野が考えている『これから』について書いてみたいと思います。

 AIというのは、確かに賢いツールです。しかも日々沢山の情報がインプットされ、それを忘れることはないので、1人の人間が太刀打ち出来ない知性を、持ってしまうのは宿命だと思います。少し前までは、チャットで会話しても、言い回しがおかしかったり、明らかな間違いと分かることも多かったため、人の代わりになるのはもっと後だと思っていました。

 AIと言えば、チェスや囲碁、さらに進化して将棋でもトッププロを打ち負かすレベルであることは知っていました。ゲームの様な、あるルールという設定の中でなら、ディープラーニングの進歩により、AIがより高度なパターン認識や戦略形成を行うことができるようになるということは理解していました。

 しかし言語といった人間しか操れないと思っていた領域でも、人間ならこんな風に反応するといった言葉使いに至るまで、自分が生きているうちに可能になるとは思っていませんでした。これは圧倒的な量の情報を、関連付けてインプットできる様になったことで、AIがあたかも人間の様に変わってしまい、答えてくれる様になったという事の様です。

 蒼野は医療AIに興味があって、今までも少し記事を集めてみたりしました。画像診断や病気の診断の補助に使うことで、人為的な見逃しや誤診が、圧倒的に減るだろうなあと感じています。最終的な診断は、医師が担うことで、間違いが無いかのチェックは絶対に必要だとは思います。しかし診断に必要な放射線科医師数などは、減って行くような気がします。

 アメリカではAI先生の、実験プログラムが行われており、AIが生徒の学力データを分析し、最適な学習プランを提案することで、生徒の学習成績の向上が期待されている様です。一方では、ChatGPTが子どもの思考力や学習意欲に悪影響を及ぼしかねないとして全米で最大の学区規模をもつニューヨーク市の公立学校では、ChatGPTの使用を禁止されたそうです。

 AI先生の指導はあまりに分かりやすく、自分に合っているので感動して泣く子が続失したという話もあります。確かに作文や、レポートをAIに投げれば、頭を使わずに宿題が提出できてしまうという事は誰もが考える事でしょう。スマホと同様に、便利なものの普及は止められないため、これまで、それで評価してきた事を別の物に変えるしかないでしょうね!

 ChatGTPでは無くても、日本でも塾では「atama+」(アタマプラス)というAIドリルなどでの勉強が行われており、苦手だ、弱点だと思ったことを、AIが判断して、やるべき問題をカスタマイズして重点的に出してくれるというものです。現時点では必ずしも、生徒が感じている苦手と、AIが判断した苦手が一致していない様なのですが、これはディープラーニングで解決する様に感じます。

 これは、非常に有能な教師が、一人一人を見ているくらいの効果はありそうですよね。無能な教師の仕事は無くなるかも知れないと感じるのは、蒼野だけではない様に思います。学校のコンピューターおよびネットワークから高精度チャットAI「ChatGPT」へのアクセスを、ニューヨーク市教育局がブロックしたのは、教師側の問題かも知れませんね。しかし自宅からのChatGPTの使用まで禁止している訳では無いようです。

 脳の発達を考えると、小さな頃から地道にINPUTを繰り返し、OUTPUTすることで、自分の知識となり、自分の行動にフィードバックするのが人間です。たくさん勉強しても、死んだらゼロになります。死なずにどんどん賢くなるAIには、物理的に勝てるはずがありません。だからと言って勉強しないで、賢明な判断をしてくれるとAIを信じ込むだけになると、人類は滅亡してしまいそうです。

 賢いAIも完全ではありません。蒼野も40年弱、医療の歴史を見てきて、今までのデータが間違っていて、180度常識が変わってしまったものも数多く見てきました。入力された情報が違っていれば、AIは間違った答えを出すのです。どんなに賢くなったとしても、AIはツールとして使うべきで、主体は我々人間です。そのためには勉強が必要です。

 ここ数年ですごい変化が起こると思います。無くなるホワイトカラーの仕事もそうですし、デジタルネイティブ、ならぬAIネイティブの世代に関しては、脳の発達をしっかり促して、AIを使いこなせる教育を行わないと、脳を使わない人間の知性はどんどん低下してゆくはずです。自分が生まれてからの、社会の変化を見ていると、便利になったことで、運動しなくなり、睡眠時間が短くなり、食べ物も簡単なものが選ばれる傾向にあります。

 AIを盲信することによって脳が衰えるのは、本当にヤバいと思っています。そのうちに世代を超えて進歩するAIの、複雑すぎる仕組みを理解することができる人さえ居なくなる可能性だってあります。そうなればAIの言う事を聞くのが一番だと、まるで宗教のようなものになってしまうかも知れませんね! 一部の支配者層がAIをコントロールすれば、世界は意のままに操れるのかも知れません。

 最近のニュースでは、「ChatGPTの開発に対して、リスクの検証と、モラルの構築のために一時停止を」という運動が起こっている様です。これは開発段階では、誰もに対してOpenで、利害無しに使えるはずであったChatGPTに、Microsoftが多額の出資をした事で、一企業の思惑が入るのでは無いかと言う懸念がある、と言うのが表向きの理由の様です。

 しかし先発のChatGPTは、既に数億人以上のユーザーが使っており、その質問がまた学習に使われている事で、他の企業がとても追いつく事ができないので「待ってほしい」と言うのがその裏にはある様です。多くの学者が人類、社会が変わってしまうほどの可能性をこのチャットAIに見出しているという事の証拠でもあります。

 これからものすごい速度で、仕事の再編が行われそうですね。もちろん新しい仕事も生まれると思います。今までやってきた単純な事務作業や、作文などはどんどんAIに取って代わられる時代になりそうです。昔は大学4年間で学んだことを元にして、40年間働けましたが、現代では4年間学んで、次の4年間働けると言う時代になると言っている賢人の話を聞きました。

 豊かに生きてゆくためには、誰もが何歳になっても、一生勉強が必要な時代になる様な気がします。意識がある人は既にリスキル(Reskill)や副業を始めています。それを成功させるには、脳の健康、身体の健康が必須です。病気と闘いながら勉強するのは難しいと思います。まずは病気にならない生活習慣を、取り入れてゆくことが、これから絶対に必要になるスキルだと思います。

 身体が痛ければ、治そうとする人は多いです。しかし我慢できる不調は、忙しい生活の中で放っておく人がほとんどです。病気の始まりは、ちょっとした不調やデータの異常からです。しかしその時点で、保険診療のクリニックを受診しても相手にはされません。時代が変わって、もっと予防医学の考え方や常識が浸透すると良いなあ、と思う蒼野でした。

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