今日はAIの医療、健康関係の利用について書いてみたいと思います。使った人は分かると思うのですが、ChatGPTはかなり賢いです。9月に出た論文に、救急医療におけるAI診断を、医師2人の診断と比較したものがあったので紹介します。
オランダの研究で、その結果が9月16~20日に開催された欧州救急医学会で発表され、オンラインでも投稿されています1)。救急外来を受診した30人の患者の診療記録や検査値を、2人の医師チームとChatGPT(3.5と4)が評価し与えられた情報を基に、それぞれの患者で考えられる疾患をリストアップしました。
リストアップされた上位5つの疾患の中に、実際の診断名が含まれていた確率は、医師チームで87%、ChatGPT3.5で97%、ChatGPT4で87%という結果でした。この結果は、同じ病歴データから導き出す疑い病名の精度は、医師とAIに差が無いことを示しています。バタバタと現場が混乱しやすい救急現場では、うまくAIを使うことが助けになる可能性があるようです。
蒼野が感じるのは、病気になる人、高齢者が多くなり、数々の既往歴や、凄い数の内服薬を飲んでいる人が多いことです。専門の知識が高度になっている医師が多い現代で、幅広い疾患を考えないといけない初診では、他科の薬の副作用も知った上で、正解が導けるのかという疑問です。蒼野自身、全ての薬の知識や副作用は、頭に入っていませんので、症状が仮に薬の副作用だった場合には、正解に辿り着くまで結構かかるし、気づかない可能性もあると思うのです。
この研究を行なったきっかけも、研究者が複雑な背景がある患者の訴えと服用薬を、ChatGPTに入力したところ、すぐに正確な診断名を出し、しかもその疾患の原因として、患者が服用していた2種類の薬剤の相互作用を挙げていたのを見たからだそうです。
現代の医療では、ともすると、受診した科の中の疾患と診断されやすく(知らない疾患は診断できない!)、治らないので、患者自身が、いろんな病院やいろんな科を彷徨う、ということは普通に起こります。特に日本では、総合診療科の歴史は浅く、なかなか人間の頭で、全ての疾患に精通するというのは難しい側面もあります。
既に医師と患者の会話を聞きながら、患者の既往歴や診察などを記録するAIアプリも存在するようですから、そのデータをChatGPTに投げることで、より正確な診断に近づきやすくなるように感じます。蒼野が研修医だった時の事を思い出すと、おそらく研修医レベルでは、AIには敵わないと思います。
便利で正確なことが浸透してくれば、医師の仕事も、かなりAIと競合するのかもしれません。日進月歩で、医療の形も変わりそうな気がします。医師や製薬会社の経済的な理由やエゴを排除しやすくなれば、ポリファーマシーの問題も解決しやすくなりそうです。やはり生成AIは、第4次産業革命なのかもしれませんね!
とりあえず我々がすぐに使えそうな健康相談に、ChatGPTを使ってみましょう。3分診療のお医者さんが説明してくれない、生活習慣や、疾患に緊急性があるのかとか、何科を受診するのが良いのかなどについてヒントが得られるように思います。
それでは蒼野自身について、健康相談してみますね!
蒼野: 年齢63歳、男性、身長165cm、体重61kg、既往歴、60歳時の外傷(頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血、外傷性硬膜外血腫、右外転神経麻痺)、家族性高コレステロール血症
喫煙歴なし、飲酒歴、20歳から60歳までほぼ毎日、その後はアルコール20g以下の機会飲酒、
睡眠時間:6~7.5時間、夜間1回トイレに起きる。
運動:毎朝ストレッチ、7秒スクワットと7秒腕立てを10回、時にダンベル運動、犬の散歩と通勤で毎日1万~1万5千歩歩く。
食事:朝はノンカロリーの飲み物のみ、昼、野菜を主食にした手作り弁当、納豆1パック、夕、家庭料理、糖質少なめ。コレステロールはスタチンとEPA・DHA製剤内服し正常範囲、その他内科疾患なし。
上記情報を基に、潜在的な健康問題や疾患について、医師の観点から教えてください。またこの年齢から気をつける事を教えてください。
ChatGPT-4:私は医師ではありませんが、いくつかの一般的な助言と注意点を提供することができます。個人的な医療アドバイスを求める場合は、必ず医師に相談してください。
個々の健康状態やリスク要因に関する詳細なアドバイスを得るには、医師に相談してください。
そっかあ、頭部外傷があるから、やっぱり認知症は気をつけないといけませんね!! 水は飲んでるから大丈夫です!
また愁訴がある人は次のように聞いてみましょう。
蒼野: 最近体調が良くありません。疲れやすく、やる気が出ません。仕事の能率も落ちています。医者のように問診してみてください。必要な情報があれば質問ください!
ChatGPT-4:体調不良を感じていることは辛いものです。私は医師ではないので、診断を提供することはできませんが、いくつかの情報を収集することで、医師に相談する際の準備をサポートすることができます。以下の質問にお答えいただければと思います。
これらの質問に答えることで、医師があなたの状態をよりよく理解し、適切なアドバイスを提供するのに役立つ情報を提供できる可能性があります。そして、この情報を提供して医師に直接相談することが重要です。
問診してもらうというのが一つの鍵です!問診に従って答えてゆき、やりとりすると、もっと詳しい一般的なアドバイスや、どの科で相談したら良いかなどのヒントが得られますよ! せっかくのAI時代です。上手く使える人とそうでない人では、今後どんどん差がついてしまいます。ぜひ皆様もトライしてみてくださいね!
医療は今まではブラックボックスでした。間違った治療がされていても、分からなかったと思います。しかし素人でも、AIを上手く使えば、正解に近づく時代はもう来ていると思います。みんなが健康で長生きできて、病院が少なくなる時代を夢見る蒼野でした。
参考文献:1)ChatGPT Equals Doctors in Diagnosing Emergency Department Patients. ; Annals of Emergency Medicine 2023 : Online Published on September 18
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