アルコールと高脂肪食の悪魔的関係!!

2023/12/05

 12月になりましたね。アフターコロナで一時減っていた忘年会が増えて来ているビジネスパーソンも多いのでは無いでしょうか? 蒼野は、仕事で出席しなければいけない忘年会はありませんので、普通通りに生活するするつもりです。しかし年末年始は、いつもよりも食べて飲む機会は増えるかもです。

 健康のため体重コントロールを意識されている方にとって、危険なこの時期はうまく乗り切りたいですよね! 今日は忘年会や年末年始で太ったり、内臓脂肪や脂肪肝を悪化させない方法について調べてみることにします。

 人にとっての3大栄養素は、タンパク質、脂質、炭水化物であることは皆様もご存知ですよね! 栄養素の中でエネルギーとして利用できるのはこの3種類だけです。飢餓の歴史を乗り越えて来た人間は、食べ物が取れない時には、出来るだけ栄養を節約し、食べ物が取れた時には、使わなかったエネルギーは、体内に漏れなく貯蔵できるように進化して来ました。

 それぞれの代謝には違いがあるため、単純に比較できないのは確かです。タンパク質は身体の多くの組織の材料となるため、不足させたく無い栄養素です。消化に時間がかかり、代謝も複雑で、食事性の熱産生も高いため、エネルギーの効率としては悪く、カロリーとして使うには効率が悪い栄養素です。つまり、食べても太りにくい栄養素なのです。

 しかし食べすぎると、消化できなかったタンパク質は腸内に残ってしまい、そこで腐るため、硫化水素やアンモニアなどが作られて、おならや便が臭くなります。腸内細菌叢のバランスを乱し、体内炎症や腸自体の不調の原因になることがあります。どのくらい食べれるのかは、個人差や年齢の影響も大きいので一概には決められませんが、おならが臭い様なら改善する必要があります。

 脂質に関しては、飲み会の酒の肴として、多くなりやすい傾向があります。サラダばっかり出てくる居酒屋さんはみた事がありません。揚げ物や肉の脂肪、チーズやクリームもよく使われますし、スナック系のつまみなど、加工食品にも脂質はたっぷり含まれているものが多いです。加工肉や、トランス脂肪酸が入っているものも多いため、十分に注意が必要です。

 飲み会の時に、お酒を飲みながらモリモリどんぶり飯を食べる人は居ません。そういう意味では、太りたくない人は、飲み会の肴としては、脂質の多くないものをチョイスすることが重要になります。脂質は美味しく感じやすく、食欲もそそりますので、居酒屋メニューとしては定番です。つい食べ過ぎてしまうのは、蒼野も経験済みです。

 実験でも、お酒とよく合う唐揚げ、天ぷら、フライなどの揚げ物などで、沢山飲めば、内臓脂肪の蓄積を進めて炎症を引き起こし、肝硬変につながる肝臓の線維化を促進することが分かっています。飲酒と高脂肪食は、病気につながる肥満を最も起こしやすい、「最悪な組み合わせ」と言えるのです。

 2006年から2008年にかけて、40~79歳の日本人男性998人を対象にした横断研究では、1週間当たりの飲酒量と、CT検査で計測した腹部内臓脂肪、皮下脂肪面積を比べたところ、アルコール摂取量と内臓脂肪は、有意に相関していました。しかし皮下脂肪とは関連は見られませんでした1)。

 飲み会の第二の罠としては、会の後の締めのラーメンやお茶漬け、スイーツの罠です。お酒を飲むと、アルコールを分解する過程で、塩分と糖分が必要となります。あんなに食べたのに、炭水化物やスイーツが欲しくなるのです。忘年会が何連チャンも続けば、よほど気をつけていなければ、お腹がぽっこりと出てきてしまいます。

 アルコールは太らないと言われますが、アルコール自体にもカロリーが有ります。なんと炭水化物やタンパク質より高い、1gあたり7kcalです。お酒の種類によっては、糖質たっぷりのビールや日本酒、コーンシロップの入った甘いカクテルもあり、さらにカロリーは多くなります。

 アルコールのエネルギーは、代謝過程で出てくるアセトアルデヒドが、身体にとって毒物ですので、真っ先に使われて酢酸に変えられ、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。その時に一緒に摂取した他のエネルギーは、使われずに体脂肪に変換されやすくなります。

 アルコールは毒なので、摂取が多くなるとストレスホルモンであるコルチゾールを分泌させます。コルチゾールには内臓脂肪を増やす作用があるのです。糖質もさることながら、お酒と一緒に摂った、1gあたり9kcalの脂質は、内臓脂肪として、とても蓄積しやすくなるということになります。フライがよく合うビールを沢山飲む人に当たり前の体の反応が、ビール腹なのです。

 さて対策です。幹事さんが頼んだものが出てくる飲み会では、なかなか一人だけ、枝豆や刺身などの肴をチョイスする訳にはいきませんよね!出てくるフライドチキンや鶏の唐揚げを爆食いしないためには、お腹を満たしてから飲み会に参加するというのが、一つの方法です。

 飲み会はコミュニケーションの重要なチャンスです。参加して情報交換したり、仲を深めたりするためにぜひ参加すべきです。決してお腹を満たしに行く場にしないというのが、太らないためには大事なことになります。コンビニでサラダや麦ご飯のおにぎりとサラダチキンを食べてから参加すれば、あまり食べられなくなります。

 健康のためには、飲み会であってもアセトアルデヒドが溢れるような飲み方は避けたいものです。少量で、しかも時間をかけて飲むことが重要です。アルコール度の低いお酒で、間にチェイサーとして水やウーロン茶などを入れながら飲めると最高です。

 飲み会の前や後に、運動を入れる事ができれば、食べた物は、消費されたグリコーゲンの補給や、筋肉を動かすエネルギーとして使われるため、体脂肪に変わりにくくなります。ただアルコールは筋肉の合成を障害します。通常なら100%の筋肥大効果があるとすれば、60%くらいになってしまうので、せっかくの筋トレが勿体無いことも、知っておいてください。

 飲み会の時くらい、なにも気にせずに好きなだけ食べたい人は、日頃の筋トレが重要です。週2~3回の筋トレは、加齢と共に減ってゆく筋肉を補充し、キープもしくは増やしてくれます。十分な筋肉量があれば、少々食べても太りません。筋肉を増やす方法については、最新の知見で長時間筋トレする必要は無いことも分かってきていますので、また別の機会にお伝えします。

 最悪、忘年会が続き、年末年始で幸せに太ったとしても、1月から取り返せば良いですからね!今日のお話は、お酒と高脂肪食は最悪の組み合わせということでした。脂肪好きの蒼野としては、日頃から気をつけようと思いました。

参考文献:
1)Association of Alcohol Consumption With Fat Deposition in a Community-Based Sample of Japanese Men: The Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis (SESSA). ;  J Epidemiol. 2019; 29(6): 205–212

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております