コロナ禍の影響で出かける機会が減り、かえってお酒の量が増えたと言う方は多いかもしれませんね。またコロナ太りしたという方も…..。今までのお酒のブログでも書いたように、飲酒に関しては、健康障害に大きな関係があることが分かってきています。今日はお酒とメタボリックシンドロームの関係について書いてみたいと思います。
英国で発表されたロンドン疫学・ヘルスケア研究所の新しい研究によると、50歳以上では、入院が必要となった原因のトップは、アルコール関連であると結論されました。英国の59~83歳(平均年齢69歳)の4,820人の男女の調査結果です。
飲酒量に関連した3項目だけのテストであるAUDIT-Cを施行しています。AUDIT-Cでは12点満点で、男性なら6点以上、女性なら4点以上が危険な飲酒とされており、問題飲酒者として減酒指導を行う際の目安になります。詳しい方法は、AUDIT-Cで出てきますので、気になる方はやってみて下さいね!
59歳以上でお酒を飲む人の半数以上(56%)が大量飲酒をしており、内臓脂肪型肥満のリスクが上昇していました。ウエスト周囲径は、過去に危険な飲酒をしていた人では1.88cm増え、危険な飲酒を現在している人では2.44cm増え、ずっと危険な飲酒を続けている人では3.85cm増えていました。
2020年に発表された韓国の国立ソウル医療センターが、約2,700万人の成人を対象に行った大規模な調査では、標準的なアルコール量(缶ビール1本)の半分(0.5ドリンク、アルコール7g)を毎日飲んだだけで、肥満とメタボリックシンドロームのリスクが上昇することが、明らかになっています。これには、『そんな少ない量で!」と、蒼野も驚きました。
メタボのリスクは、アルコール摂取量に比例して上昇しました。、1日に0.5~1ドリンクの標準的なアルコール量を飲む男性は、飲まない男性に比べ、メタボを発症するリスクが10%高くなりました。1日最大2ドリンク(28g)で25%、1日に2ドリンク以上(28g~)で42%に上昇していました。沢山飲めば飲むほど、メタボになるということが証明されました。
この研究での1ドリンクは純アルコールに換算して14g、缶ビールだと1本(355mL)、ワインであると小ぶりなグラスに1杯(118mL)相当です。我が国のアルコールの適量は、男性で1日20g以下、女性で10g以下とされており、アルコール20gは、日本酒1合(180mL)、ウィスキーはダブル1杯(60mL)、焼酎(25度)はグラス1/2杯(100mL)、チューハイ(7%)は缶1本(350mL)程度になります。
日本の研究では、飲酒しない人または1日のアルコール摂取量が20 gまでの人を「通常飲酒者」,20 gを超える人を「過剰飲酒者」とし、大学病院で健診を受けた20~65歳の日本人男性2230人を調べています。「通常飲酒者」は1657人,「過剰飲酒者」は473人いました。
メタボリックシンドローム(MetS)の有病率は,日本の平均で15.7 %、過剰飲酒者22.0 %、通常飲酒者13.9 %で有意差をもって過剰飲酒がメタボに関与していました。腹囲(85 cm以上)に関しては過剰飲酒者56.0 %,通常飲酒者43.0 %と有意差があり、高血圧に関しても、58.3 %と43.1 %で有意差を認めました。
お酒を飲むと味覚も鈍くなり、味の濃い肴が欲しくなります。味が濃いものはカロリーも高いことが多く、またアルコールによる食欲増進効果もあって、ついつい食べ過ぎてしまうものです。アルコールのカロリーは、1gあたり7.1kcal、20gで約160kcal=約ご飯1杯分です。高カロリーの肴で、沢山飲んでしまうと恐ろしいことになりそうですよね!
アルコールは、肝臓で代謝され、まず有毒なアセトアルデヒドに変換されます。アセトアルデヒドは酢酸に代謝され、クエン酸回路で水とCO2に分解されエネルギーとなります。しかし過剰に摂取すると酢酸の代謝が追いつかずに、中性脂肪に変えられてしまいます。中性脂肪は肝臓や、内臓脂肪、皮下脂肪に貯蔵されてゆくため、脂肪肝、メタボリックシンドローム、肥満が生じることになるのです。
内臓脂肪が溜まることで、食欲抑制ホルモンのレプチンが多量に分泌されます。血中のレプチン濃度が常に高いと、視床下部が反応しなくなり、レプチン抵抗性が生まれ、食欲に歯止めが掛からなくなります。もちろん高カロリーの肴は、さらに脂肪細胞を太らせてゆきます。飲酒⇨食欲増進⇨肴の食べ過ぎ⇨メタボ⇨さらに食欲増進⇨体脂肪蓄積という、無限スパイラルに陥るのは、自然な流れではないでしょうか?
日本人の死因の第2位は心臓病、第4位は脳卒中です。動脈硬化が原因となる疾患ですが、そのリスクは、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満などの生活習慣病とされています。そしてこれらが幾つか重なってしまうと、飛躍的にリスクは増大してゆきます。喫煙以外のリスクに大きく関わるのがメタボリックシンドロームです。
アルコール摂取すると血圧が上昇することは、酒の種類に関係なく認められています。高血圧発症率は非飲酒者にの4~9倍高く、節酒すると降圧効果がみられます。アセトアルデヒドが心収縮力と心拍数を高め、血圧が上昇します。しかし、1時間ほどすると、今度はアセトアルデヒドが、血管を拡張させ、血圧が低下します。大きな血圧変動は、脳卒中や心筋梗塞の誘因となるのです。
過度な飲酒は脳卒中リスクを3倍にします。肝臓や腎臓の検査値も悪化します。尿酸値も上がりやすくなります。飲酒で中性脂肪が増え、高脂血症も発症します。膵臓にも負担がかかり、1日に100g以上のアルコールを摂取すると、慢性膵炎のリスクが11倍以上に上昇します。もちろん肥満によって、インスリン抵抗性が生じ、糖尿病のリスクが高くなります。
第二次世界大戦後、日本におけるアルコール消費量は急激な増加を示しています。現在コロナ禍や経済不況や構造改革とあいまって、大きな変革期を迎え、ストレスフルな状況が増強してきたことなどから大量飲酒者(1日20g以上)は増加してきています。飲酒が要因となっているメタボリックシンドロームは、今後ますます問題になってくると思われます。
とは言え、現在飲酒の習慣がある人で、言われただけで、国が掲げる「節度ある適度な飲酒: low-risk drinking」の1日20g以下、休肝日週2日が守れる人って、どのくらい居るのだろうと蒼野は思ったりします。蒼野自身、事故が無ければまだ毎日30gくらい飲んでいたように思うからです。過去の蒼野は、飲むのが当たり前で、少し飲んだ方が健康に良いと思っていたのです。
アルコールでメタボになるというのは、まだ新しい情報かも知れません。蒼野はお酒をやめて、今までも、どんなに運動したり、糖質制限したりしても取れなかった、臍周りの浮き輪が亡くなりました。その実体験もあって、本当にアルコールは肥満やメタボの原因なのだと思います。
アルコールは飲むと簡単に脳の報酬系に作用して、ドーパミンが分泌されるため、身体の依存になる前に、精神的な依存がとても出来やすい化学物質です。飲まない日はいつでも作れるので、自分は依存は無いと思っている人でも、20年くらい飲んでいると、飲まないと楽しく無いとか、やってられないとか、と思い始める人は多いのでは無いでしょうか?
そこで、明日はアルコールのやめ方について、書いてみたいと思うので、生活習慣改善の一助となれば幸いです!ようやく、アルコールは飲みたくない!と思える方向にブレインハックできた蒼野でした。
参考ページ: 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒」
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