蒼野は自閉症だった!?

2023/03/12

 先日の前頭側頭型認知症のブログで、発達障害の話が出てきました。調べていて、今まで気にしたことが無かったのですが、蒼野自身も、発達障害があるのではないかということに、気がついてしまいました。今日は自分自身のために調べたことが中心なのですが、同じような方もおられるのではないかと思うので、何かの気づきになれば嬉しいです。

 蒼野は子供の頃から、特定の物にこだわる性格でした。一人で遊ぶのが好きで、最初に気に入ったおもちゃはダンプカーでした。ダンプのおもちゃに、おはじきを積んでは、荷台を傾けてばら撒く遊びを、延々と繰り返していたそうです。

 次にハマったのがプラモデルです。潜水艦や戦闘機を作って、一人で戦わせて遊んでいました。でもあまり男の子の友達がおらず、女の子とばかり遊んでいました。もし自分が親だったら少し変わった子供だと思った事でしょう。繊細な部分もあり、傷つきやすいくせに、共感力が低く、コミュニケーションが食い違うことも、結構あったように思います。

 知識も、自分が関心があることはとことん突き詰めるのに、関心がなければ、誰でも知っていることを知らない子供だったように思います。小学校でいじめられたり(ひどくは無かったですが…)、無神経な発言で、友達を無くしたりするような経験を積み重ねて、徐々に社会に適応できるようになったと思います。

 これは発達障害の中のASD(自閉性スペクトラム障害)の特徴が、結構出ているように思うのです。ASDの人は、独特の興味関心や行動パターンを持ち、感覚過敏や感覚欠如があります。蒼野は人間の身体、特に脳、健康にめちゃくちゃ関心があります。医師になったのもその延長です。

 患者様の気持ちなどは、仕事上必要なこともあり、結構わかるのですが、家族の気持ちは忘れがちなようです。全く悪気は無いのですが、娘との会話では地雷を踏みます。しかし地雷を踏んだことさえ分からないのです。自分が当然だと思ったことをそのまま口にするのですが、どう思われるかについては、頭が回りません。

 若い頃は『自分は全く普通で、人の気持ちもよく分かる人間だ』と思っていたのですが、どうやら違うようです。先日妻に、”違うよ”と言って欲しくて「自分ってアスペルガーっぽいかも」というと、激しく同意されました。もちろんそれも知った上で、結婚してくれたので、その部分に関しては、ずっと我慢してきてくれたのだと思いました。

 ということで、蒼野は社会適応はできているASDで、高機能自閉症(High-Functioning Autism, HFA)の範疇の人間だと、自己診断しました。HFAは自閉症スペクトラム障害の一種で、重度のコミュニケーション障害や、知能障害を伴わない場合に用いられる用語です。

 特徴としては、言語や知的能力の発達が比較的良好で、社会的相互作用に困難を抱えている人々を指します。そう言えば蒼野は家族以外に、親友と呼べるような、頻繁に会う様な、深い付き合いの友人が居ません。子供の頃からの経験で、深い関係になると、どこかで意識無しに、相手を傷つけるような言動で、関係が壊れてしまうのが怖いのです。

 62歳を過ぎて気づくなんて、”何と間抜けな!”話ですが、これは自分で根本から変えることはできないと思いますので、そのまま受け入れようと思います。人の性格や個性というものは、深いところでは、それぞれかなり違っているのではないでしょうか。多様性の時代とも言われていますが、色々あって、それで良いと考えます。

 蒼野の考え方の基本としては、今人間に残っている遺伝子は、どこかで種の保存に有利になる個性であると思っています。この自閉症スペクトラム障害の特徴である、狭い興味関心、規則性へのこだわり、社会的非対称性(相手の意図や感情を推し量る能力の欠如や、興味の無い事には無無関心である傾向、社会的な情報処理が均一でないこと)が、人類の進化に貢献してきた可能性があるとする研究もあります。

 狭い興味関心は、新しい発見を促進する可能性があります。また、規則性へのこだわりは、環境の変化に適応するために、定型的な行動パターンを維持することができることを意味します。蒼野が毎日ブログが続けられるのもこのためでしょうか? さらに、社会的非対称性は、戦略的な意思決定や社会的競争において優位に働くことも多いとされています。

 職種にもASD傾向の人が向いているとされるものがあります。
1、パターン認識や論理的思考能力が高いため、プログラマーやソフトウェア開発者などのコンピューター関連の職業に向いているとされています。

2、特定の分野に強い関心を持つ傾向があるため、数学や科学分野などの研究者としてのキャリアに向いています。実際に科学者や、数学オリンピックの受賞者の自閉スペクトラム指数は、他のグループよりも有意に高いことが示されています1)。

3、図書館において書籍や資料を管理・整理し、利用者に情報提供や検索支援などを行うライブラリアンは、深い知識が必要なため適しているとされます。

4、機械工学者や電気技師などの、技術系の職業には、ASDの人々が持つ論理的思考能力や詳細な情報処理能力が役立ちます。

 蒼野は沢山の医師も見てきましたが、ある意味変わった人も多く、さまざまなASDレベルの人が居たように感じます。ASDは男性に多いようです。男性と女性の性差を比べるときの指標に、「共感性」と「システム化」というものがあります。一般に男性の脳は、システム化が強く、女性脳は共感性が強いとされています2)。

 男性脳の性質が、極端になったものがASDではないかと考える研究者がいるようです。共感性が特に強い人がHSP気質であるように、空気が読めない男性脳はASD気質なのでしょうね! 自閉症スペクトラム障害は発達障害の一種です。脳の発育は遺伝や環境によって、全員が同じではありません。ある意味これは多様性であり、個性なのだと思います。

 ASDと診断されたと言われる有名人も結構居られます。相対性理論のアインシュタインさんや、イーロン・マスクさん、スティーブ・ジョブズさんやイチローさん。米津玄師さん、島崎遥香さん、栗原類さんなど、とても個性的で多彩です。

 特定の分野で非凡な才能を示す人、普通と考え方が違う人というのは、脳の発達も普通ではない可能性が、高い様に思います。良かれと思って話したことで、娘に怒られるのはちょっと悲しいですが、自分の特性を認識することで、より良く社会に適応し、幸せに過ごせると良いなあと思いました。

 『誰もが自分と同じ様に考えているのではない』という事を、忘れないようにしたいと思う蒼野でした。

参考文献:
1)The Autism-Spectrum Quotient (AQ): Evidence from Asperger Syndrome/High-Functioning Autism, Malesand Females, Scientists and Mathematicians. Journal of Autism and Developmental Disorders, 31(1), 5-17.

2)The extreme male brain theory of autism. Trends in Cognitive Sciences, 6(6), 248-254.

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