疲労と老化を予防してくれる『黒ニンニク』!

2023/07/10

 蒸し暑く、寝苦しい季節ですね。大雨の音と雷で夜度々起こされ、今日は身体がだるい蒼野です。今日は疲れについて調べてみようと思います。しっかり眠るのが一番ではありますが、疲れが取れやすい食材や栄養についても、考えてみたいと思います。

 疲れの一つの原因は、細胞のエネルギー不足です。エネルギーはミトコンドリアで作られています。ミトコンドリア機能が良好に保てれば、疲れ知らずになります。毎日疲れた状態が続いてゆくと、それは老化、病気につながってゆくことになります。

 昔から疲労回復に使われてきた食材としては「ニンニク」が挙げられます。中央アジアの古代文明で5000年以上も前から、薬としても使われてきました。エジプトでピラミッド建設の労働者に、ニンニクを食べさせていた話は聞いたことがあるかも知れません。パピルスの古文書にも、ニンニクによる治療法が22個も記載されているようです。

 これは古代ギリシャやローマ帝国に引き継がれ、中世ヨーロッパでは魔除けの食べ物としても信じられています。ドラキュラにはニンニクですものね。アジアでも伝統料理に多く使われており、中国でも薬として数千年使われてきました。日本でもスタミナ料理によく使われる他、民間療法や、サプリメントとしても定番になっています。

 多くの研究結果も示されており、ニンニクは血圧を下げ、コレステロールを減少させて血流を改善する可能性があり、心血管系の健康に寄与します。抗酸化力が高いことと、抗菌作用があるため、感染症の予防や、癌のリスクを下げてくれます。骨密度の上昇を示したものもあり、その抗酸化力から老化予防の効果が高いと言われています。

 ニンニクの成分の中でも特に最近注目されているのが、熟成させた黒ニンニクに多く含まれる、S-アリルシステイン(S-Allylcysteine、SAC)です。SACは強力な抗酸化物質で、細胞内の酸化ストレスを軽減し、ミトコンドリアの劣化を防ぎ、エネルギー産生を改善します。オートファジーの活性化作用もあり、細胞が元気に働き続けるのに役立つため、抗疲労、抗老化作用が強い成分なのです。

 老化のメカニズムの中で、ミトコンドリアの役割は大きいです。加齢と共にミトコンドリアは衰え、エネルギー産生が低下してゆきます。これは日々の疲労につながります。加齢と共に疲れやすくなるというのはこのためです。ミトコンドリアはエネルギーを作る際に、どうしても少量の活性酸素が出てきます。若いうちは体内の抗酸化システムが強力であるため、対応することができます。

 しかし高齢になると、抗酸化システムが衰えてくるため、活性酸素は細胞内に蓄積し、ミトコンドリアやDNAなどの細胞内器官の傷害を引き起こすのです。傷害されたミトコンドリアからは、さらに多くの活性酸素が出てくるため、細胞は死んだり、癌細胞に変化したり、老化細胞が増えたりして、どんどん老化が加速することになります。生活習慣病は、老化が大きな原因になっているため、病気のリスクが、この悪循環で上がってゆくのです。

 ミトコンドリアの機能を維持することが重要です。ミトコンドリアがエネルギーを産生する時に必要な、ビタミンB群、マグネシウム、鉄、マンガン、銅などは不足しないように摂る必要があります。またビタミン、C、E、βカロテンなどの抗酸化ビタミン、ポリフェノールやフィトケミカルなどの、抗酸化物質も毎日摂るのが理想です。硫黄化合物やコエンザイムQ10、オメガ3脂肪酸もミトコンドリア機能を高めます。食材としては、果物、野菜、全粒穀物、豆類、種子、ナッツ、魚などの食品が重要です。

 定期的で適度な運動も重要です。運動しないとミトコンドリアの数や密度は減ってゆきます。有酸素運動は、ミトコンドリアからのエネルギーが主ですので、特に有効です。筋肉を鍛えるのと同様に、細胞内のミトコンドリアも鍛えれば、増えてゆき、機能も維持されやすくなるのです。日頃から、少し脈が早くなるくらいの運動を生活に取り入れておきましょう。

 それぞれの好みに合わせて、ウォーキング、ジョギングやランニング、サイクリングや水泳などを行いましょう。時間が無い方は、HIITを取り入れると、短時間でミトコンドリア活性が向上します。いずれにしても、やりすぎは禁物です。キツすぎる運動は活性酸素も多く作られるため、かえってミトコンドリアを傷害してしまうからです。ゆっくりと持続的に行う運動が、健康を守ってくれます。

 筋トレのエネルギー源は糖質であることが多いのですが、行えばもちろん、白筋のミトコンドリア密度や活性を高めます。有酸素運動が赤筋のミトコンドリアを高める影響ほど直接的ではありませんが、筋トレにはそれ以上の健康効果もありますので、どちらも行いたい運動になります。

 休息や睡眠は、ミトコンドリアの維持に必須です。睡眠中にオートファジーにより、古くなったり、機能が低下したミトコンドリアが再生されるため、昼間はしっかり動き、夜十分に休むことが大事なのです。睡眠不足は、細胞のメンテナンス不足となり疲れるのでしょうね!

 ミトコンドリア機能を損なう、過度のストレスは、考え方の癖を変えて、レジリエンスを高めたいですね。アルコールやタバコ、肥満もミトコンドリア機能を損なうため、生活から排除できれば、疲れにくく、老化しにくくなります。

 最後は今日のトピックの『黒ニンニク』です。ニンニクを、高温、高湿度で熟成させると、甘く、ドライフルーツのような『黒ニンニク』に変化します。アルギニンやグルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸は約2倍に増え、S-アリルシステイン(SAC)は47倍に増えます。強力な抗酸化作用、ミトコンドリア改善作用からの疲労改善効果だけでなく、研究では認知症予防効果も示唆されています。

 ラットの海馬にアミロイドβを注入した実験によると、SACをあらかじめ投与していた群では、その悪影響が打ち消され、学習能力や記憶障害の悪化が防がれていました。活性酸素や過酸化脂質の指標も、SACの注入で下がっており、その抗酸化作用が、細胞保護に寄与したものと考えられました1)。

 さらにアルツハイマーモデルマウスに対する実験では、SACが海馬の異常な受容体活性を抑え、ニューロンの発育を促す事が分かりました。これはSAC以外の黒ニンニクエキスに含まれる成分も関係しており、それらが神経栄養因子として作用することで、認知機能を改善するために有用である可能性が示唆されています2)。

 これから暑い時期が続きます。老化や病気の始まりは疲れからです。調べてみると『黒ニンニク』は使ってみる価値がありそうですね! ただしワーファリンや免疫抑制剤のシクロスポリン、ピル、抗HIV薬などを飲んでいる人は食べてはいけないのでご注意を! 認知機能改善に関しては、今日知ったので、早速母親に送りたいと思います。

 今日帰ったら、夕食の後、冷蔵庫にある黒ニンニクを食べようと思っている蒼野でした。

参考文献:
1)S-Allylcysteine prevents amyloid-β peptide-induced oxidative stress in rat hippocampus and ameliorates learning deficits. ; European Journal of Pharmacology 2004 :489 (3) .197-202

2)Improvement of Learning and Memory in Senescence-Accelerated Mice by S-Allylcysteine in Mature Garlic Extract. ; Nutrients 2020, 12(6), 1834; https://doi.org/10.3390/nu12061834

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