今日は蒼野が最近知った、未来の生活を変える新しいイノベーションについて、書いてみたいと思います。それは「ボディシェアリング」という技術です。蒼野は技術者でも科学者でも無いので、自分が理解した範囲でしか説明できないのですが、すごい発明では無いかと感じたので、是非みなさまにも紹介したいのです。
人類は自分の体験や、他人の体験を知識として蓄積し、賢くなってきました。他人の体験を吸収する方法としては、話を聞くのはもちろんですが、文章を読んで理解したり、映像で見て理解したりします。デバイスも徐々に発達し、ラジオから始まり、テレビや映画、最近ではyoutubeなどのSNSが主流になっています。メタバースは、自分のアバターが仮想空間で様々な体験が出来るものになります。
しかしながら、それらから如何に情報を得るかについては、大きな個人差が生まれます。想像力がある人は、より他人の体験に没入することが出来て、それを自分の体験のように知識として保存することができます。一方視覚や聴覚からの情報だけでは、没入できない人にとっては、自分の中に残る体験にはならなかったのです。そこで出てきたのが、この「ボディシェアリング」という技術です。
人間は能動的な体験をすることで、賢くなり、人生を豊かにすることができます。能動的な体験のためには、様々な感覚への刺激が必要です。脳で感じる視覚や聴覚、味覚や嗅覚や平衡感覚、皮膚表面で感じる触覚や温冷覚、圧覚や痛覚、皮膚の深部で感じる重量覚や抵抗覚、位置覚や深部痛覚(固有感覚=深部感覚)、内臓で感じる内臓覚など、人間は多くの感覚への刺激を総合して、体験を自分の財産にします。
研究によると、これらの様々な感覚の内で、視覚・聴覚の次に、身体の深部で感じる固有感覚の情報が加わると、俄然臨場感が増し、自分のことのように没入できることが分かってきました。自分の身体がどんな動きをして、どのくらい力を入れているかという感覚です。この技術は、その感覚をモニターして、伝えられるのです。言葉で書くと、ちょっと分かりにくいですよね。
具体的には、落ちてきたリンゴをキャッチする時の感覚を考えてみます。手のひらでりんごをキャッチした衝撃と重さが感じられ、手を伸ばして受け止めている感覚があり、りんごがあるので指がそれ以上は握り込めない抵抗が感じられます。それを客観的にモニターして、ロボットや他の人に伝えることが出来るようになったのです。
複雑な原理は、蒼野は完全には理解できていないのですが、リンゴをキャッチして動いた筋肉の動きを、特殊な光を当てることで、反射する光を分析し、コンピューターで解析する方法を使います。それによってどの筋肉を電気刺激でどれくらい緊張させる(収縮させる)と同じ固有感覚になるのかが分かります。その情報を元に、他人の筋肉を動かすと、リンゴをキャッチしたかのような固有感覚が伝えられるという原理のようです。
視覚や聴覚の情報を合わせて伝えると、あたかも自分がリンゴをキャッチしたという体験をすることが出来るというのが、「ボディシェアリング」なのです。例えばマングローブの生えた海をカヤックで冒険するといった体験を、視覚と聴覚だけでなく、固有感覚を含めて体験出来たりします。パドルで感じる水の重さや、筋肉の緊張の情報がリアルに伝わる臨場感は、本当に海の上を進んでいる体験として脳に記憶されるのです。
楽器の達人の動きやゴルフのスイングなどを、自分で再現することなども行われています。同じ動きに見えても、プロと素人では全く筋肉の使い方が違うのだそうです。実際に上手くなりたいと思っている人が、何度も「ボディシェアリング」で動きを体験すると、上達スピードが上がるそうです。面白いことに、上手くなりたいと思っていない人だと、ほとんど上達しないそうなので、意志の力というのも大きな要素になります。
また自分の固有感覚をロボットで再現させることもできます。自分が動かした通りに、ロボットを動かすことが出来るということです。『エヴァンゲリオン』や『パシフィック・リム』を操縦する未来が、すぐそこまできているのです。応用範囲は無限にありそうです。
ふくらはぎにモニターをつけると、筋肉の緊張状態から、その人の体調や緊張状態も把握できるそうです。緊張すると筋肉は、本当に小刻みに伸縮しているのです。緊張して手が震えたり、恐ろしくてガタガタ震えるのはそれが甚だしい場合です。職場で、そのモニターが共有できれば、もっとお互いのコミュニケーションがスムーズになる効果もあるそうです。
「ボディシェアリング」のデバイスが発達すれば、自宅にいながら、いちご狩りに行ったり、陶芸体験を行ったり、ダンスを習ったりすることができます。わざわざ現場に行く必要なしに、様々な体験が出来るようになるのです。体験によって人は変わります。これからの人類はもっともっと進化するかもしれませんし、我々の今の感覚は昔の物になってしまうのかもしれません。
味気ないと感じる方もおられるかもしれませんね! 魚でも天然物と養殖物があるように、現時点では天然のリアルな体験の価値はまだまだ高いです。しかし「ボディシェアリング」の技術が発達すると、養殖の体験もどんどんリアルに近づいていく日が来るのだと思います。そうすれば、例え体が動かなくなっても、どんな人でも、豊かな体験をすることが出来るようになるのです。
動物になることもできます。雌牛になって乳搾りされる体験も、やってみた人がいるそうです。他人の体験に本当にリアルに没入できれば、本当の意味でその人の気持ちも理解できるし、動物の気持ちも分かるかもしれませんね。めちゃくちゃ夢のある技術だと、蒼野は感じました。
この技術を発明したのは、琉球大学工学部初の女性教授で、ベンチャー企業のH2L代表取締役でもある玉城絵美先生です。2020年国際会議AugmentedHumanにて、近年で最も推奨される研究論文として表彰され、世界からも注目を集めている存在です。これは10代の時の長い入院体験が元になっているそうです。
入院中に、みんなが参加したバーベキューなど、体験出来なかったイベントを多く経験したことと、高齢の入院患者さんの人生体験を沢山聞いたことなどから、自分の体験を増やす技術を、探し始めたそうです。世の中にそんな技術は無いことが分かり自分で作るしか無いと思ったのだそうです。元々あまり外に出ることは好きでは無いため自宅で体験できる方法を追求した結果が「ボディシェアリング」につながりました。
起業して、すでに研究用と個人向けの「ボディシェアリング」の機械を売り出しています。様々な人に使ってもらいながら、それをモニターして、悪用されないよう、安全性についても織り込みながら開発を続けておられます。YouTubeで何本もお話を聞かせてもらいましたが、天才ですが人間味も深く、とても魅力的な方だと感じました。
2029年に、人間が人生で体験できることの量を、現代の3倍に増やすことを目指しておられるとのことです。ひとつの空間から別の空間に、どんどん体験が重ねられるシステムになる予定です。ゲームやアバターやメタバースとの相性も抜群ですね。自分の知識と体験が、人間の知恵になってゆきます。体験が増える分、人間はどこまで進化できるのでしょうか?
6年後、どんな社会になっているのか、ワクワクが止まらない蒼野でした!
参照ページ: H2Lホームページ http://h2l.jp/technology/
参照書籍: BODY SHARING 身体の制約なき未来 玉城 絵美
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