褐色脂肪細胞!

2022/05/23

 今日は、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の話です。最近大食いの番組ってよく目にします。でもたくさん食べても太らない人がいるのは、不思議ですし、ちょっとうらやましいです。それが太りにくくなる脂肪細胞に秘密があるかもしれないという話です。 

 皆様にお馴染みの脂肪細胞は、ついてほしくない皮下脂肪と内臓脂肪で、これらは白色脂肪細胞です。エネルギーが余った時に、中性脂肪として、脂肪滴を内部に溜め込み、肥大してゆく機能があります。これは飢餓の時代にはエネルギーの保存のために重要な役割を果たしていました。

 飽食の現代では、肥大した白色脂肪細胞は、大きくなるだけではなく、分裂して数を増やし、それぞれが炎症性サイトカインを分泌するようになることで、インスリンを効きにくくし、動脈硬化を進め、肥満すると共に生活習慣病リスクを増大させてしまいます。

 一方褐色脂肪細胞は、新生児や冬眠動物が多く持っている、茶色く見える特殊な脂肪細胞です。「脂肪を燃やして熱を生産する」という役割があり、多くのミトコンドリアを持っています。酸素と脂肪を熱に変え、代謝を上げることで体温を調節しています。

 筋肉の少ない新生児の体温を保って、免疫力をキープしたり、動かない冬眠状態の動物の体温を一定に保つ機能があります。この細胞が多ければ、脂肪が減りやすく、基礎代謝も上昇するため、同じエネルギーを摂取しても、太りにくいということになります。沢山食べても太らない人は、エネルギーを熱に変える細胞を沢山持っている可能性があるのです。

 褐色脂肪細胞は、残念ながら、歳と共に減少します。成長して筋肉が発達してくると、熱産生が行いやすくなり、褐色脂肪細胞の必要性が低下するからです。成人する時点で赤ちゃんの時の4割、50代でさらに激減し、60歳を過ぎるとほとんど検出されなくなると言われています。これが中年太りの原因です。年々代謝が落ちて、脂肪は燃えにくくなるからです。

 褐色脂肪細胞の活性には遺伝による差があります。見分ける方法は、体温が高いかどうかと、食事誘発性熱産生です。日頃から体温が高い人や、食事で身体が熱くなりやすい人は、褐色脂肪細胞の活性が高いと思われます。冷え性もなく、免疫力も落ちにくい状態です。蒼野も、褐色脂肪細胞を増やしたいと願わずにはいられません。

 実は褐色脂肪細胞の活性は、様々な生活習慣の刺激で上げることができます。一つ目は食べることです。大食いの人は沢山食べるから、沢山熱に変えて消費している可能性があります。逆に食べないダイエットをすると、代謝が下がると言われていますが、食べないと褐色脂肪細胞が衰えて減ってしまうことがその一因です。食べないダイエットは大事な褐色脂肪細胞を減らしてしまうのです。

 赤ちゃんの時に全身にあった褐色脂肪細胞は、大人になると、後頚部、肩甲骨の周り、背骨の周りといった背中の部分に残りやすいと言われています。この部分を冷やすと、褐色脂肪細胞が、活性化して増えることが分かっています。サウナの水風呂も良いですし、冷水摩擦や、温まった後シャワーで水を浴びたりすると、代謝が上がり、免疫力もアップします。

 身体を冷やすと、寒冷刺激が脳に伝わることで、アドレナリンやノルアドレナリンが放出され、交感神経が活性化して、褐色細胞を刺激するのです。同じようにホルモンを放出させ、交感神経を刺激する成分は、褐色脂肪細胞を活性化してくれます。

 食べ物ではスパイスです。カプサイシンや、生姜、辛子、わさびなど、辛いものの刺激は温度と同じタンパク質で感知されるため、交感神経を刺激します。エキストラバージンオイルに多く含まれる苦味成分オレウロペインや、緑茶の茶カテキンも、温度受容体を刺激し、交感神経を刺激します。

 カフェインは直接、交感神経を刺激するため、コーヒーや紅茶、緑茶なども有効です。ただ午後遅くに摂取すると、褐色脂肪細胞が刺激されて、寝る時間に体温が下がり切らなくなります。体温が下がる時に、睡眠が誘発されるのが障害され、良眠できなくなるため、注意してくださいね! 寝る前の食事も同様ですので要注意です。

 褐色脂肪細胞は、速筋よりも遅筋を鍛えることで活性化します。有酸素運動で鍛えると、代謝が上がります。ジョギングやウォーキングはもちろん、冷やす作用も一緒にできるため、水泳や水中ウォーキングは特にお勧めです。肩甲骨回しなど、首から背部を動かす体操やストレッチも、褐色脂肪細胞に良い刺激になります。

 楽しいことをしたり、遊んだり、美味しいものを食べることなども、交感神経を刺激するため、体温を上げて、免疫力を高めます。ワクワク、ドキドキする日々を送れば、太りにくくなるのです。

 蒼野のように60歳を過ぎていたら、褐色脂肪細胞が残っていないのではないかと心配になる方もおられると思います。そんな時にはもう一つの脂肪細胞を刺激しましょう。白色脂肪細胞の中に混在する、ベージュの脂肪細胞があり、褐色脂肪細胞と同様に、脂肪と酸素から熱を生み出すことができるのです。

 実は、ベージュ脂肪細胞は、褐色脂肪細胞と比較しても熱産生能力は約6倍と高く、生活習慣で増やすことができます。白色脂肪細胞をベージュに変えるには、ミトコンドリア内の脱共役タンパク質(USP-1)を発現させねばなりません。USP-1があると、ミトコンドリアはADP→ATP生産をする代わりに、熱を生み出す反応が起こるのです。

 USP-1は寒冷刺激、運動、オメガ3のEPAやDHA、オレウロペイン、カプサイシン、カフェインなどで発現します。褐色脂肪細胞が減った後でも、白色脂肪細胞を、熱酸性が盛んなベージュ脂肪細胞に変化させてくれます。元々は人類が寒冷環境に適応するために、遺伝子に残している能力なのです。

 大人においては、純粋な褐色脂肪細胞ではなく、このベージュ脂肪細胞が、筋肉以外の熱産生に大きく影響しています。しかしベージュ脂肪細胞は刺激がなくなると、消えてしまうこともわかっています。近年の研究では、ベージュ脂肪細胞を誘導する薬を開発し、肥満や糖尿病の治療に役立てようという研究が進んでいます。

 蒼野は、寒冷刺激には、ホルミシス効果があり、アンチエイジングに役立つことを思い出しました。昔から乾布摩擦や冷水摩擦、寒中訓練や滝行など、何も理論が分からない時から、人は鍛錬と称して、寒冷刺激を行ってきました。それは本能で、それが身体に良いことだと感じていたからでは無いかと思います。不思議ですよねー!

 皆様も是非、できることから褐色orベージュ脂肪細胞を活性化する生活習慣を、取り入れてみましょう。蒼野が風邪も引かず、理想体重がキープできるのは、朝コーヒーや紅茶、緑茶などを日替わりで飲み、毎日1万歩以上歩いていることも大きいことがわかりました。

 夏に向けて、入浴の最後に水を浴びようと決意した蒼野でした。

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