漢方薬が飲めない人の対処法!

2022/08/21

 今日は苦手な人もいる漢方薬の飲み方について書いてみたいと思います。コロナが蔓延して、蒼野の病院の発熱外来も忙しい日々が続いています。保育所や幼稚園、学校などでうつる子が多くなっているようで、外来の看護師さんが濃厚接触のために休まないといけないことから、自転車操業が続いている状態です。

 以前から書いているように、蒼野はウイルス感染症に対しては、漢方しかないと思っていて、コロナ陽性の方にお勧めするのですが、苦手で飲めないという方が2割前後は居られる印象です。仕方なく、錠剤の対症療法の薬を出すのですが、治癒を助ける薬では無いため、本人の免疫力頼みということになってしまいます。

 そこで苦手な人でも、漢方が飲みやすくなる方法について解説いたします。苦手な人の反応は次の3つです。粉が苦手。苦味、えぐみ、酸味などの味が苦手。匂いが苦手と言われることが多いです。独特な味、匂いは漢方薬の生薬に由来するものです。これは薬によって様々なので、漢方の種類によっては飲めるものもあると思うのですが、最初に飲んだ漢方がダメだったのでしょうね!

 身体は、不足しているものや必要としているものは美味しく感じるように出来ています。お腹がぺこぺこの時のおにぎりは、めちゃくちゃ美味しく感じますし、野菜不足の時には、野菜が美味しく感じたりもします。漢方は薬と食べ物の中間のようなところがあって、体が必要としている漢方は、その時だけは、美味しく感じたり、不味いけど飲めたりすることが多いです。

 すぐに飲める簡単な方法としては、直接舌に当たらない飲み方が基本です。苦手で無い人でもこの方法がスタンダードになります。口の中に水や白湯を含んで、上を向いて水の表面に粉を乗せて、そのまま一気にごくりと飲み込む方法です。これは粉を口に入れてから、水を飲むよりも、味を感じる時間が少なくて済みます。

 口に含んだ瞬間の匂いや、少しの味でもダメという人は、オブラートを使いましょう。オブラートに顆粒を入れて折りたたんで蓋をし、少量の水を入れたコップに落として2~3回回します。オブラートがゲル状になって、顆粒を包んでいる状態のまま、一気に飲んでしまうと、ほとんど味も匂いも無いと思います。

 市販のものとしてはオブラート以外にも、漢方用のゼリーがあります。専用のゼリーは薬効に影響する成分は入っておらず、ローカロリー・ノンアレルゲン・ノンカフェインでもあるため、常用されても問題ない製品になっています。子供さんには特にチョコ味のゼリーが、味や匂いが隠れるので、飲みやすいかも知れません!

 オブラートもゼリーも無いと言う方は、アイスやヨーグルト、ゼリーなどでも代用はできますが、組み合わせによっては、漢方の薬効が少し落ちる可能性はあるかも知れません。なるべく味が濃いものの方が、マスキングされやすいため、、チョコアイスやココアがお勧めです。コーラなら飲めると言う人や、お年寄りなら味噌汁に混ぜて飲むと言う人もいます。

 漢方薬の名前には、葛根湯などの湯と付いたものが多くみられますが、これは本来はお湯などに溶かして煎じて飲むものです。処方で出てくる顆粒のエキス製剤でも、勿論溶かして飲むと少し効果が上がるようです。

 特に生姜や乾姜などのショウガの生薬が入っているものは、身体を温める効果を増強するために、エキスをお湯に溶いた上に、生の生姜をすり下ろして入れて、一緒に飲むことで効果は倍増します。漢方製剤の8割にショウガの生薬が入っていますので、血の巡りを改善したい時には生のショウガと一緒に煎じる飲み方を試してみてくださいね!

 漢方の名前に、例えば五苓散のように散が付くものは生薬を砕いてそのまま飲む原末で服用する漢方です。エキス製剤ではあまり関係有りません。桂枝茯苓丸のように丸が付くものは、本来砕いた生薬を蜂蜜で丸めた丸薬です。エキス剤でもスプーン1杯のハチミツに顆粒を混ぜながら固めると、丸薬になります。粉が飲めない時にも、丸薬なら飲めたという患者様もおられました。

 味は大丈夫だけど、入れ歯に挟まるのが嫌と言う場合には、オブラートの一気飲みか、30~80mlのお湯で煎じて飲む方法がお勧めです。煎じた時の味が気になる方は、冷やして飲むと飲みやすくなったりもします。緑茶やコーヒー、牛乳、ジュースなどは、薬効に影響する場合がありますので、水か白湯、お湯が良いとされています。

 漢方の処方は、エキスパートが「証」を見極めて出さないと効かない、長く飲み続けないと効かないと思われている方は多いのですが、症状だけで判断しても、タイミングと量を間違えなければ、本当にすぐに著効する事が結構あります。

 先日も39歳の建設作業員の患者様が、全身が攣って、痛くて動けないと言う症状で救急搬送されて来られました。採血上、著明な脱水があり、熱中症と診断し、カルシウムとマグネシウム入りの点滴を落としながら、芍薬甘草湯を飲んでもらいました。5分くらいで全身の筋痙縮が治まって、痛みと引き攣りが改善しました。

 点滴はまだそれほど入っていない時点でしたので、こむら返りだけでなく、全身の筋痙縮にも効くのだなあと、実感する事ができました。身体のバランスを戻すことが漢方の働きですので、タイミング良く使えば、著効します。他にも5分以内に効果が出てくる漢方は複数ありますし、3日くらい使えば効果が分かるものが多いのです。

 蒼野は『急性期こそ漢方は有用!』と思っています。ただ生薬の数が多くなる程、効果は遅くなりますので、芍薬と甘草だけで出来ている芍薬甘草湯は、普通の量で効きますが、コロナなどのウイルス性疾患の初期などには、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を、短時間の間に畳み掛けるように飲むのがコツだったりするのです。

 漢方薬も副作用がゼロではありませんが、症状が取れれば止めて構いません(廃薬)。最後まで飲み切らなくても構わないのです。短期間しか飲まない時には、副作用についてはあまり気にする必要がないと思います。

 初診時に病名がはっきりしない急性疾患は結構あります。そんな時に漢方をタイミング良く始めることで、症状が良くなれば、病名を決めることもできますし、それがそのまま治療になります。家族がコロナで濃厚接触しており、発熱し、喉が痛い患者様は、100%コロナだと思うのですが、簡易な抗原検査ではマイナスになる事が少なく有りません。

 そんな時も蒼野は自信を持って、葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏を3日分処方し、最初は2時間おきに飲むよう説明します。早い段階で身体がウイルス撃退モードになれば、それだけ早く治り、後遺症も少ないはずなのです。

 頭ごなしに「漢方は飲めないので錠剤をください」と言うよりも、いろいろ飲み方を工夫してもらいたいなあ、と思っている蒼野でした。

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