CBD(カンナビジオール)!

2022/06/21

 今日は最近話題になっている成分CBD(カンナビジオール)について調べてみましたので、出来るだけ分かりやすく書いてみたいと思います。大麻から抽出されるポリフェノールの一種であるCBDは、我々の体に対する様々な効果があることが判明してきており、近年急速に、健康への応用が始まっている物質になります。

 大麻と聞くと、マリファナが想像され、所持したり使ったりすると検挙される麻薬であるという認識が、現在も一般的だと思います。芸能人やアーチストが、時々捕まって大変なことになっているのは、蒼野の記憶にも沢山残っています。

 これは大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分に、幻覚作用、記憶障害、学習能力低下、知覚を変化させる作用がある上、依存性があるということで、違法とされているからです。一方CBDには向精神作用や依存性は無く、様々な医療的な可能性が発見され、世界では健康商品のトレンドとしてブームを巻き起こしているのです。

 我々に身体には、エンドカンナビノイド・システム(ECS)と呼ばれる、様々な調節に関与する細胞間の情報伝達システムがあります。CBDはこのシステムのカンナビノイド受容体に作用し、痙攣発作を抑えたり、、抗不安作用や抗炎症作用を発揮したり、疼痛を緩和したりする作用があるのです。そしてCBDは違法成分でもありません。

 ドラべ症候群という難病があります。生まれつきの遺伝子欠損により、幼少期から痙攣発作を繰り返し、ほとんどの方が若くして亡くなる病気です。従来の抗てんかん薬では、コントロールが難しかったのですが、2013年にこの疾患で痙攣発作に苦しんでいた6歳のシャルロットちゃんがCBDオイルで痙攣が消失したドキュメンタリーが放送され、世間が動き出しました。

 大麻から作られる医療用大麻製剤ということで、米国FDAでCBDを有効成分とする抗てんかん薬(商品名:epidiolex)は、2018年にようやく承認されています。同年THC成分が0.3%以下の農業生産物も、ヘンプという名前で合法となりました。さらに2019年にはTHC1.0%以下と、基準値も緩和されています。

 現在CBDが有効である可能性がある疾患としては、アルツハイマー病、多発性硬化症、線維筋痛症などの痛み止めが効きにくい疾患の鎮痛、統合失調症、不安症、うつ病、睡眠障害、クローン病などの炎症性腸疾患、心筋梗塞の縮小、抗がん作用など、様々な疾患への可能性が指摘されているのです。

 日本でのCBDは、大麻取締法のため、製剤として臨床応用される様になるにはまだ時間がかかりそうです。現在CBDは健康食品、化粧品、ペット用品などに、欧米を中心として急速な市場拡大が認められ、ゴールドラッシュならぬグリーンラッシュと呼ばれています。その市場規模は2025年には数百億ドルとなるとされ、投資家も注目しているのです。

 大麻から作られるものに対する法律は、大麻取締法です。これはTHCの含有が多い葉や花穂などから抽出されたものが違法で、繊維としての使用や神社のしめ縄の材料に使う茎や種子から採れたものは合法であるという、部位別の規制がある法律です。そのためいまだに大麻由来製剤の医薬品としての使用は禁じられているのです。

 今回CBDという、規制が必要ない大麻成分が出てきましたが、法律がCBD生産の足枷となっており、国内での生産も現時点では難しいのです。輸入した健康食品としては使えるため、楽天やYahooのページを調べてみても、CBD製品は山ほど売られているのが現状です。世界市場への参入からは出遅れてしまっています。

 現在利用できるCBDは医薬品ではなく健康食品や化粧品ですので、調べられた時にCBDだけでなく、THCが含まれている可能性があります。アメリカの一部の州では、大麻が合法化されているところもあるからです。実際に輸入製品を調べた際に、THCが基準以上に混合している商品も摘発されています。

 THCの多い製品を手に入れて、それを知っていたにも関わらず、所持して使い続けると、大麻取締法で逮捕される可能性もあるとのことですので、十分な注意が必要です。売った側は自己責任として片付けてしまうため、蒼野としては、まだお勧めではないと言わざるを得ません。

 かといって、医薬品では効かないつらい疼痛や、メンタルの不調、特に欧米では認可された抗てんかん薬としての使用などは、法整備も含めて進めていって欲しいと思います。過去にも様々な医薬品が、植物の成分として開発されたりしてきましたが、素晴らしい効果があるのに、一部の麻薬成分がある植物だからという理由で、使用を制限し続けるのは理解できません。

 痙攣が難治であったドラペ症候群に関しては、欧米で120名の無作為比較試験も行われています。20mg/kg/日のCBDオイル内服群60名と、プラセボ群60名で14週間の試験を行いました。CBDオイル投与群では、平均 12.4 回/月あった発作が 5.9 回/月に減少しました。プラセボ群はほとんど現象は見られませんでした。60名中3名で発作が完全消失しました。

 これを健康食品でやろうとすると大変です。20kgの子供でも1日400mgのCBDが必要です。一般に1500mgのボトルは36000円で売られているため、1日9000円が必要です。年間で考えると、とんでもない額になってしまいます。日本ではCBD含有の多い葉や花穂からの抽出は違法であるため、高濃度のCBDオイルには大量の大麻の茎が必要になる上、殺虫剤や重金属などの有毒物質の含有も増えてしまいます。

 もちろん関係者はこれを黙って見過ごしてはおらず、花穂から抽出されているepidiolexの臨床試験申請準備や、承認に関する要望を厚生労働大臣に提出しています。現時点では大麻取締法の改正も見据える必要があるため、日本ではまだまだ使える段階には達していません。

 2015年に、末期の肝がん患者が自ら大麻を栽培し苦痛を和らげていましたが、大麻所持により逮捕・起訴されるという事件があったそうです。この患者は無罪と医療大麻の合法化を訴えましたが、公判中に死亡されました。他の鎮痛薬が効かなかったのでしょうか? それとも値段が高かったのかもしれませんね。

 CBDが働きかけるエンドカンナビノイドシステム(ECS)は最近の研究ではランナーズハイに深く関与していることがわかってきています。痛みが無くなり、最高に幸せで、うつや心配も吹き飛びます。このことから病気だけではなく、アルコール依存や禁煙に応用できたり、体重コントロールやスポーツのリカバリーに使えたりすることも報告されています。

 腸内細菌叢の乱れからくる炎症に対しても、CBDが抗炎症効果を発揮して抑制することも報告されています。ストレス社会を乗り切り、アンチエイジング効果も期待できることから、健康長寿にとっても魅力的な成分だと思います。

 今は法律の問題があることや、どの製品が本当に良いのかが分かりにくいため、自己責任でトライするしかない様ですね! しかしエンドカンナビノイドシステムを活性化するものは他にもあります。必須脂肪酸の摂取、カカオ、コーヒー、節酒、瞑想、ヨガ、マッサージ、呼吸法、鍼灸や寒冷刺激などが良いみたいですよ! 

 今話題のCBD! 蒼野の大麻に対するイメージは変わりました。これからも法律の改正も含めて、動向を追ってゆきたいと思います。

参考書籍: CBDのすべて 健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド 

                 アイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン 

参考文献:Use of Cannabidiol in the Treatment of Epilepsy: Efficacy and Security in Clinical Trials. Molecules 2019; 24: pii: E1459

参考ページ: GREEN ZONE JAPAN ホームページ https://www.greenzonejapan.com/about/ (医療大麻使用を日本の希望患者に届けるための啓蒙、活動を行う団体)

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