論文で読み解くダイエットの基本!

2023/05/18

 急に暑くなりましたね! 暑くて眠れないので、蒼野は半パンで窓を開けて寝てしまいました。薄着もこれからが本番、ダイエットの季節でもあります。今日はダイエットに関係ある研究を二つ紹介したいと思います。世の中には様々なダイエットがあるため、ある程度エビデンスがあることから取り組むのが良いと思うからです。

 ダイエットといえば、食べ物を我慢するイメージですが、大事なことは他にもあります。最初は睡眠時間と体重の関係です。2013年の論文で、22~50歳の健康な成人225名を対象に行われた実験では、5連続夜で睡眠時間を4時間に制限した群と、全ての夜10時間の睡眠を取る群に分けて比較しています。

 睡眠を制限された群の体重は増加(平均0.97 kg)が見られました。十分睡眠を取った群では、体重は(平均0.11 kg)で、有意差を認めています1)。男性がより太りやすく、睡眠不足の生活は、食事回数が増えやすく、しかも深夜(22:00-03:59)の時間帯に食べてしまう傾向を認めました。太ることが分かっていても、本当にお腹が空いて、近くに食べ物があれば、食べてしまうのが人間です。

 睡眠時間が短く、就寝時間が遅い人ほど、1日のカロリー摂取量は増えやすく、しかも深夜の時間帯に食べてしまいやすいことが分かりました。体重が重くなるのは当然のようにも思います。ということは、十分に寝ないで、ダイエットに取り組んでも、なかなか結果は出ませんし、短期的には痩せられても、その状態をキープするのは至難の業になると思われます。

 ダイエットをしようと思うなら、まず十分に寝ることからですね。これは取り組みやすいのではないでしょうか? タイムマネージメントはダイエットの基本かもしれません。効率的にやらなければならないことを、集中して済ませてしまい、夜はゆっくりとリラックスして、早く眠りましょう。これはダイエットだけでなく、全ての健康につながる重要なポイントだと思います。

 次は食事の回数についてです。人類の進化の歴史からみると、毎日3回の 食事を摂取するようになったのはごく最近のことです。獲物が獲れなければ、獲れるまでは断食です。獲れた時にはドカ食いしていたのでしょうか? 農耕生活が始まるまでは、食事回数が問題になることはなかったと思われます。

 江戸時代が始まった頃は日本人も2食でした。早朝に起きて、ひと仕事終えた後に朝食をとり、仕事の合間に昼食を食べて、日が沈むとそのまま寝ていました。1657年の「明暦の大火」後、ほとんど焼けてしまった江戸の復興のため、職人たちは一日中働きました。きつい肉体労働を支えたのが食事でした。2食では間に合わず3食食べる人が増え、行燈の明かりが一般化して夜が長くなったこともあり、1日3食へと変遷したとのことです。

 昭和になって、外人と比べ小さな日本人を大きくするという目的もあり、3食が健康的、3食必要、3食が理想であるという説が一般的となりました。科学的なエビデンスがある訳ではありません。今までの研究結果では、食物摂取頻度と肥満との関連の研究結果は一貫していません。そこでアメリカで大規模な調査が行われています。

 米国の20歳以上の成人1万8,696人の食事内容と食事時間を評価する研究が2015年に行われました。その結果、推定エネルギー必要量に対する推定エネルギー摂取量の比率が同じであれば、つまり摂取カロリーが同じであれば、食事回数や間食の回数とBMI25以上の肥満や、腹囲の増加は関係はありませんでした。

 しかし、1日5回以上に分けて食べているグループは、3回以下のグループに比べて、男性で54%、女性で45%も肥満の確率が高かったのです。腹囲に関しても、男性で42%、女性で29%多くなっており、有意差を認めました2)。食事回数が増えれば、摂取カロリーが増すと言うことになります。

 もちろん食べる内容にもよるのでしょうが、1日5回も健康的な食事や間食を摂れる人は少ないと思いますし。食事の合間に簡単に食べられる完食は、お菓子だったりするのは当たり前ではないでしょうか? 糖質を合間に食べると、それだけインスリンは分泌され続けます。インスリンが出ている間は、体脂肪の燃焼はストップしますし、インスリンが体脂肪を貯蓄させるのに働くため、太るのは当たり前のように思えます。

 人間は食べる回数が増えると、余計にカロリーを摂りやすく、食べる回数が少ないとお腹がいっぱいになり食べられないということなのでしょうね。当たり前ですが、太るかどうかを左右するのは、食事回数よりも1日の必要エネルギー量と摂取エネルギー量の差にあります。腹八分目で3食食べるというのは、有効なダイエット法でもあり、健康法な方法です。

 もし2食にするのであれば、食事時間が空いた、最初の食事の糖質を制限する必要があります。どうしてもお腹が空いていると、いっぱい食べやすいですよね。お腹が空っぽになって初めて入れる食事では、血糖スパイクが起きやすい「ファーストミール効果」が働きます。急上昇した血糖は、インスリンによって中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。

 蒼野がお勧めする、アンチエイジングも兼ねた、16時間ダイエットのポイントは、16時間後の食事の糖質、炭水化物量をできるだけ控える事です。ただ朝を抜けば健康的という訳ではないのです。お昼はベジファーストで、先に野菜を食べたり、脂肪分が多いものを食べたりすると、血糖の上昇は緩やかになります。糖質は最後に、摂り過ぎないように食べて満足しましょう。

 また食べた後、少し歩き回ったり、軽くスクワットしたり、ランジを行ったり、片足で立ったりするのも効果的です。上がりかけた血糖が、筋肉に入ってゆき体脂肪に変わりにくくなります。特に糖質を食べ過ぎた場合には有効かと思います。

 患者様に尋ねてみると、朝食は以前から抜いているのに、痩せられないと言う方も多くおられます。厚生労働省によると、2019年の朝食欠食率は、成人男性で15.5%、女性で9.1%おられるそうです。これは忙しくて、夜遅く食べ、すぐに寝てしまう人に多い印象です。

 睡眠中に消化活動を行わなければいけないため、良い睡眠にもならず、消化管も疲弊した状態で朝を迎えるため、状態として食べたくないのです。同じように朝食を抜く場合でも、オートファジーを有効に活用しようとする16時間ファスティングとは、似て非なるものです。

 3食摂る場合でも、朝食にはファーストミール効果が働きます。朝パンやシリアル、甘い飲み物を摂るのはNGです。野菜ジュースなども糖質が高いため摂らない方が良いです。和食はとても良いですが、ご飯の量には気をつけましょう。蒼野的には、目玉焼きにサラダ、プレーンヨーグルト、フルーツなどがおすすめです。

 今日は、ダイエットのためには睡眠時間をしっかり摂ることと、食事回数を増やすと、余計に食べ過ぎてしまいやすいと言うことについて書いてみました。食事回数を減らしても、一度にドカ食いする生活ではかえって太ることも意識しておいてください。夕食はなるべく早く食べてしまいましょう。

 ダイエットに無理は禁物です。月に体重の1~2%の減量が理想的です。もし。1ヶ月に体重の5%以上を落としてしまうと、リバウンドは必至です。ダイエットも、習慣になるよう少しずつ行うことが、健康長寿につながります。ストレスは過食につながってしまい、ダイエットが続かなくなる大きな原因です。

 出来ることからゆっくり取り組みましょう。美味しいものを食べて良いので、食べる時間や量、順番を考え、運動の組み合わせで血糖スパイクを起こさない食べ方ができると良いですね。
以上を意識し始めてからは、BMI21がキープできている蒼野でした。

参考文献:
1)Effects of Experimental Sleep Restriction on Weight Gain, Caloric Intake, and Meal Timing in Healthy Adults. ; Sleep, 36, (7) 2013, 981–990

2)Eating Frequency Is Positively Associated with Overweight and Central Obesity in U.S. Adults. ; The Journal of nutrition. 2015 ;145(12);2715-24.

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