昨日は『副腎疲労』という概念について調べてみたのですが、現代社会では、かつて人間が経験してきたストレスとは違う、様々で複雑なストレスが我々の健康に影響していると言うことが、その根本にありますした。健康を保つ上で、これらのストレスをやり過ごすことは本当に重要です。今日はストレスを軽減してくれる食べ物について調べてみたいと思います。
ストレス反応を緩和してくれる第一の物質は、昨日描いたコルチゾールです。しかしコルチゾールレベルが高いまま、慢性化してしまうと様々な不調につながります。これに対抗してくれる物質は?というと、脳内伝達物質であるセロトニン、オキシトシン、ドーパミン、GABAやエンドルフィンです。
コルチゾールレベルが高まると、これらの伝達物質の放出も促され、一時的にバランスを取る方向に、身体は反応します。しかし長期間のストレスによりコルチゾールが出続けると、脳の構造や機能自体に影響が及ぶことで、これらの脳内伝達物質のレベルが下がりやすくなることが知られています。
ストレスを軽減してくれる食べ物というのは、これらの脳内伝達物質のレベルを上昇させやすくなる食べ物のことです。それでは紹介してゆきます。
1、プレバイオティックス、プロバイオティックス
腸と脳は密接に繋がっています。これらを常に補給することで腸内環境を良好に保てば、多様な腸内細菌が、セロトニンやGABA、ドーパミンやオキシトシンを増加させる可能性が報告されています1)。
直接腸内細菌が作ったセロトニンが脳内に入ることは無いようですが、脳と腸内細菌とのコミュニケーションによりセロトニン産生が促される可能性が指摘されています。安心とリラックスをもたらすGABAは腸から吸収されると脳内に達します。またドーパミン産生やオキシトシン産生についても、腸内細菌からの産生促進のサインが出ているようです。
2、ビタミンB群
⚫︎ ビタミンB1: ドーパミン産生に関与します。糖質の食べ過ぎやアルコール多飲などで消費して
しまうと、ドーパミンが作られにくくなります。
⚫︎ ビタミンB3(ナイアシン): セロトニン、ドーパミン、GABAの合成に必要です。
⚫︎ 葉酸(ビタミンB9):ドーパミン、セロトニン、およびノルアドレナリンの合成に必要です。
⚫︎ ビタミンB12: セロトニンの合成に関与します。
3、タンパク質
脳内伝達物質はアミノ酸から作られます。もちろん原料が枯渇していれば、作られにくくなります。
セロトニンはトリプトファンから合成されます。乳製品や肉、魚、豆、全粒穀物、ナッツ、種などに含まれます。バナナにも多く含まれるので、朝食に青いバナナを取り入れると良いと思います。すぐに黄色くなりレジスタントスターチ(食物繊維)が減ってしまうので、蒼野は冷蔵庫で冷やした青いバナナを食べるようになりました。冷やすとレジスタンとスターチが増えるので一石二鳥です。
ドーパミンとエンドルフィンはフェニルアラニン→チロシンから作られます。これらも乳製品や肉、魚、豆、全粒穀物、ナッツ、種、バナナに含まれています。
オキシトシンにはシステインが必要です。これは乳製品、鶏肉、卵、豆、全粒穀物、種などに含まれます。ナッツの中では、特にクルミに多く含まれます。
GABAはグルタミン酸から作られます。グルタミン酸は旨味成分でもあり、肉、魚、チーズ、醤油、椎茸や昆布、鰹節などに含まれます。うま味調味料のMSG(グルタミン酸ナトリウム)は取りすぎで、塩分過剰にもなり、問題が起こりますので、自然に存在する食材から取りましょう
4、マグネシウム
セロトニンやドーパミン、エンドルフィンの合成の際にマグネシウムが触媒として働きます。マグネシウム不足では合成ができなくなります。またオキシトシンやGABAの受容体の機能に関与し、これらを最適化するためにも重要なミネラルです。便秘薬として知られる酸化マグネシウムは吸収されずに排出されるため役に立ちません。緑の野菜やナッツ、種、豆、魚介類、乳製品、オートミールなどに多く含まれています。塩を岩塩や海塩にしたり、硬水を飲んだりするのもプラスになります。
5、オメガ3脂肪酸
セロトニンにはEPA(エイコサペンタエン酸)、ドーパミンとエンドルフィンにはDHA(ドコサヘキサエン酸)が、合成段階で重要な役割を果たします。またオキシトシンやGABAの受容体を増やし、結合を促進する作用があるため、魚を食べると気持ちが落ち着きやすくなるのです。サプリメントは酸化が懸念されるため、新鮮な魚を食べる頻度を増やしましょう。
6、ダークチョコレート
カカオに含まれるフェニルエチルアミンとアナンダミドは、エンドルフィンの放出を促進することが示唆されています。カカオが古代から、鎮痛目的に薬として使用されていたのは理由があるのです。カカオ含有量の多い、少なくとも70%以上のチョコレートを食べましょう。蒼野はカカオ100%のチョコを、コーヒーに溶かして飲んでいます。
7、カプサイシン
辛い香辛料に含まれるカプサイシンにも、エンドルフィンの放出を促進する効果が知られています。唐辛子、ハラペーニョ、ハバネロ、タバスコなどに多く含まれています。江戸時代には薬として七味が使われていたのも納得できます。辛いものに弱い人にはお勧めはしませんが、蒼野は大好きです。
以上ざっとストレスに強くなる食べ物を上げてみました。蒼野が考える、一番重要なことは、やはり腸活でお腹の調子を整える事だと思います。便秘や下痢、お腹の張りなどを抱える現代人は多く居られます。いつも調子が悪い人では、25%くらいにSIBO(小腸内細菌異常増殖症)やIBS(過敏性腸症候群)、炎症性腸疾患などが隠れていて、これはプレバイオティックス、プロバイオティックスだけでは良くなりません。こちらについてはまた書きたいと思いますが、過去ブログもご参照ください。
お腹が大丈夫だけど、ストレスを何とか乗り切りたいという方は、とりあえず食べるものを変えるだけですので、ぜひトライして、自分の調子が良くなる食べ物を見つけて欲しいと思います。子供の頃は神経質でお腹をよく壊していましたが、今はストレスを感じる事なく、楽しく暮らせている蒼野でした。
1)Gut Bacteria and Neurotransmitters. ; Microorganisms 2022, 10(9), 1838; https://doi.org/10.3390/microorganisms10091838
過去ブログ:
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