野菜と果物をたくさん食べる方法!

2023/06/18

 先日のブログで、新鮮な野菜と果物をたくさん食べましょうと書いたのですが、世の中には野菜嫌いな人も多い様に感じます。蒼野は外来で、時間がある場合には、患者様に食生活についてよく質問するのですが、独身男性(独身女性も)は、自分で料理する人でなければ、あまり野菜を食べていない人が多い印象です。

 今日はその理由と、どうすれば摂取量が増やせるのかを考えてみたいと思います。まずは子供時代です。蒼野も子供の頃は、ピーマンや茄子が嫌いでした。皆様も子供の頃は食べれない野菜は多かったのではないでしょうか? 子供の味覚は鋭く、本能的に好きな味は、甘味、塩味、うま味の3つと言われています。

 味にはそのほかに酸味と苦味があります。酸味と苦味は、食べ物が腐敗したり、毒を含んでいたりすると出てきやすい味覚なのです。子供が本能的に避けるのは、種の保存のためにも必要なことでした。苦かったり、酸っぱかったり、青臭かったり、匂いが強かったりする野菜や果物は食べれないのが当たり前なのです。

 子供が好きな野菜としては、じゃがいもやとうもろこし、きゅうりやトマトやカボチャです。嫌われ者としては、ゴーヤやピーマン、ネギ、なす、水菜などになります。甘みが強く、クセのない野菜なら食べやすいのです。しかし大人になるにつれて、味覚は鈍り、また食べてみた体験から「思ったより美味しい!」と感じたら食べれる様になります。蒼野も今では、ピーマンも茄子も大好物です。

 しかし、子供時代に親に言われて、必要以上に嫌いになると、大人になっても食べたくありません。ずっと避けていると、美味しいという体験も得られないのです。もし小さなお子様がおられる家庭であれば、無理強いせず、調理法で味を変えたり、食べやすいドレッシングやソースをかけたり、綺麗に盛り付けたり、キャラクターを模したり、家族が美味しそうに食べるのを見せたりすると、食べられるかもしれませんね。自主的に食べたいと思えることが大事です。

 蒼野が独身で、仕事で一人暮らしになった頃は、ちょうどバブル期でもあり、お呼ばれの外食も多く、そうでない時には、朝はおにぎりやサンドイッチ、昼は病院の食堂、夜は定食屋さんのご飯を食べていました。今考えると、果物を買うことは無く、付け合わせの野菜だけでしたので圧倒的に、野菜、果物不足だったと思います。若いですし、仕事も忙しかったので、増やせなかったのが実情でした。

 本格的に野菜が増えたのは、野菜好き、果物好きで料理も上手な妻と結婚してからです。基本的に好き嫌いのない蒼野は、色々なものを食べる経験が増えるにつれて、野菜好きになりました。妻が妊娠中にはわざわざオーガニックの店に、買いに行ったりもしていました。高い野菜や果物は確かに美味しいことも多く、ますます野菜が好きになりました。

 時には外食もしますが、「外食するよりも、家で作ったものの方が美味しくて安いよね」という結論になり、いろいろな健康生活をやってみたい蒼野としては、糖質制限まで始めると、主食は野菜になりました。旬の野菜は値段も手頃で、沢山食べれます。旅行や学会で外食が続くと、体調が今ひとつになることも経験すると、自宅で作る野菜いっぱいの食事が食べたくてたまらなくなります。

 個人的な経験を書いてしまいましたが、野菜を食べる習慣ができるかどうかは、野菜が美味しいという経験と、それが毎日食べれる環境の要素が大きいというのは、論文でも報告されています1)。料理しやすい環境であるのか? 野菜や果物が手に入りやすい環境であるのか? その手間とコストを払う価値がわかっているのかなどが大きいのです。

 もし引越しする場合などには、手軽に寄ることができるスーパーが近くにあるとか、新鮮な野菜が手に入る市場や八百屋が近くにあることなどは、見過ごされやすいけれども、大きな要素になります。特に歳を取って免許返納などという事になると、一気に新鮮な野菜や果物が手に入りにくくなったりするからです。

 我々は様々なものが、食卓に並ぶと全部味見したくなってしまいます。ビュッフェバイキングなどで食べ過ぎるのは、飢餓の時代を生き抜いてきた我々の本能です。野菜や果物の量を増やすには、沢山の種類の野菜料理を作っておいて、少しずつ出すと食べやすくなります。綺麗な器などで見栄えを良くするのも食欲を増す秘訣です。最初に野菜料理を出すと、ベジファーストにもなり、沢山食べやすいのでオススメです。

 作る側は大変なのですが、休みなどに、一人もしくは夫婦揃って沢山野菜料理を作り、冷蔵庫にストックしておくと、毎日多くの種類の野菜が食べやすくなります。有難いことに蒼野家は夕食のおかずは3品以上あって、うち2品は野菜です。妻が野菜好きで本当にラッキーでした。デザートに果物を用意しておけば、糖質、炭水化物をたくさん摂らなくても、満足して食事を終えることができます。

 外食が多い人では、なるべく彩り豊かな野菜料理を1品つけたり、果物がついた定食を選んだり、ラーメンならヤサイマシマシの物にするなどが対策でしょうか?カレーだけ、丼だけというのをデフォルトにしないことが重要です。蒼野の経験では、野菜、果物いっぱいが習慣になってしまうと、食べないと気持ちが悪いというのが実感です。

 野菜嫌いの人や子供がいる家庭は、家庭菜園で野菜を自分で育てると、積極的に食べたくなる様です。その野菜の栄養などの知識を得るとさらに食べたくなるのです。簡単には豆苗や、ブロッコリースプラウトなどから作ってみるのがオススメです。蒼野家の台所にもわしゃわしゃ生えています。

 野菜、果物摂取と疾病、死亡率との関係は、今まで多くの研究でも、その逆相関が確認されています。2021年の新しい研究でも、66,719人の女性と42,016人の男性を28~30年前向きにフォローした検討において1日に野菜385g、果物400gくらいまでは、食べる程、死亡率が低下していました2)。

 もちろんそれ以上食べた場合でも、死亡率は横ばいで、上昇はしていません。全死亡で13%、心血管疾患が12%、癌が10%、呼吸器疾患死亡で35%の有意な減少が認められたのです。これは過去の24のコホート研究を加えた1,892,885人で検討してもやはり、全死亡は13%低下していました。例外として、果物のジュースやポテトの摂取については死亡率の低下と関係はありませんでした。

 やはり素材としての野菜、果物の威力はすごいと思います。これだけ食べる人では、やはり加工食品や、糖質過多の食事にはなりにくいように思えますよね! 昨日も書いたように、高血圧予防にとっても重要な食事になります。現代社会では、仕事も含む環境の問題で、美味しい野菜に気付けていない人が多いと感じます。

 旬の野菜や果物は美味しいです。ハードルは高くなりがちではありますが、腸内細菌の多様性のためにも、多種多様な野菜果物が効果的です。特に料理をしない独身男性、忙しすぎる女性に、なんとか料理や家庭菜園にトライしてもらい、美味しさと体調が良くなるのを感じてもらいたいと思った蒼野でした。

参考文献:
1)Increasing vegetable intakes: rationale and systematic review of published interventions. ; European Journal of Nutrition55 : 869–896 (2016)

2)Fruit and Vegetable Intake and Mortality : Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies ; Circulation. 2021;143:1642–1654

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