行動を決める8つの本能!

2023/05/30

 マズローの欲求ピラミッド(5段階説)は有名ですよね。1943年に提唱された理論で、人間は食欲や睡眠欲といった生理的欲求を第一に欲し、満たされたら安全欲求を欲し、それが満たされたら社会的欲求を欲し、承認欲求、自己実現欲求と高度な欲求が生まれてゆくとした学説です。

 蒼野も随分前にこれを聞いて、なるほどなあと信じていました。しかし近年の研究では、実際の人間で検証すると、ちょっと違っていたという論文があるのを知ったので、今日はそれを紹介したいと思います。最近蒼野がハマっている、人類も遺伝子の乗り物であり、種の保存の確率を上げるような、心理に基づいて行動していると言う考え方に、通じるものでもあります。

 2011年の論文ですが、イリノイ大学のエド・ディナー先生が、世界123カ国から約6万人を集め、参加者の5段階欲求の満たされ方と、人生の満足度について調べたそうです。その結果、人間の欲求は、順番に満たされる事で、幸福度が増す訳ではなく、お腹がぺこぺこで食べ物が無くても、友人と慰め合えれば幸福度は上がり、病気で体調が悪かったとしても、他人に認められれば人生の満足度が上昇していました。ピラミッドではなくそれぞれが独立して、人生の満足度に影響している、と言うことが分かりました1)。

 蒼野も含めて皆様も、人生を満足のゆく物にして、充実させ、後悔なく死にたいですよね! そのために、それぞれが毎日、色んな活動を行っているのだと思います。独立した一つだけでも欲求が満たされれば、満足度が高まることが分かったのであれば、どんな欲求があるのかを、言語化しておくことが、我々の幸せがより明確になり、どんな行動すれば良いか分かるはずです。

 やはりその鍵になるのが、人類の進化の歴史です。ホモサピエンスが登場してから200万年の間、人類はその遺伝子を後世に残すために活動してきて、現在我々がここにいます。我々を突き動かす欲求は、遺伝子を残してゆくための欲求に集約できるのです。それは生殖を行い、自分のDNAを後世に受け継がせたい欲求と、個体としての自分を長生きさせたい欲求です。これらは本能とも言えるもので、我々の行動の奥底に、無意識の内に存在している物なのです。

 しかしこれだけでは、漠然とし過ぎていますよね! いろいろな考え方はあるようなのですが、蒼野が納得し易かったものは、8つの本能に分類される考え方です。それでは解説してゆきましょう! これらの本能は人によって、強い弱いがあることで、性格の多様性にもつながっています。

1、安全の本能

 私たちの祖先は、日常的に猛獣や病気の危険にさらされていました。また頭蓋骨の化石に残る外傷の痕を見ると、かなり頻繁に殺人が発生していたようです。安全の本能が強い人は、病気になったり殺されたりしないように、外出や社交を嫌い、多数意見に従い、目立ちたくない人です。伝統を好み、多様性は嫌いです。自分の感情は出したくないのですが、理解されると安心します。安全を重視する人生の送り方という訳です。

2、進める本能

 生存のための食料や水の確保を続けるための、スキルの習得、武器や調理法の開発などが生存の可能性を上げてきました。人間は本能的に自分が進歩している事を感じていたいのです。自分のやっていることが進歩していると実感できることが、最もモチベーションを上げ、停滞はやる気を削いてしまうというのは、蒼野もあるあるです。大きなことにチャレンジする時には、物差しを小さくして、ちょっとした進歩を意識するのが続けるコツであると聞いた事があります。努力が実れば人生は薔薇色になりますよね!

3、決する本能

 猛獣に食われたり、他人に殺されたり、餓死してしまわないためには、自分の行動、自分の人生は自分で決め、コントロールできる個体が生き残りました。他人任せだと死んでしまいます。皆さんも自分の事は自分で決めたいですよね! これは本能なのです。

 自分のことが決めさせてもらえない、過保護の子供はメンタルがやられます。自分の仕事が、自分で決められない、やらされている職場は、離職率が高く、満足度も低いのです。頭の良い先端IT企業などは、従業員に独自の仕事ができる時間を与え、モチベーションを高めています。

4、有する(持っておきたい)本能

 食料の備蓄は、獲物が獲れない時の生命線でした。節約して、なるべく保有しておきたい本能がある人間が生き残ってきました。我々は沢山持っていると、安心して満足します。貯金やコレクションなどにハマったり、物が捨てられないのも本能です。

 これは物質だけではなく、エネルギーも当てはまります。必要なければ、なるべく時間が掛からず、労力が少ない事がしたいのです。もちろん損になる事はしたくないですし、有利であってもギャンブルしない人は、この本能が強い人です。難しいことにトライするのは、別の本能が勝った時なのです。

5、所属の本能

 人類は、一人一人は弱く、集団でないと生き残れなかった社会的動物です。自分を受け入れてくれる集団、友人の中で暮らしたいと願うものが生き残りました。自分が好むイベントやグループへ参加したり、友人が増えたりすると嬉しいです。特定のファッションに身を包んだり、誰かにプレゼントしたり、同じ思想の人が集まったりする事で幸せを感じます。

 SNSに中毒性があるのもこの本能があるからです。これは安全の本能にも繋がる物ですが、安全の本能は自分の内に向かう行動ですが、こちらは外に向かう行動になります。コミュニケーションの重要性がその鍵となります。人間関係を学びたい人は、この本能が強いのでしょうね!

6、高める本能(お金や名声など)

 他の動物集団でも、群れのリーダーは、最初に食べることができ、水を確保でき、モテやすいです。地位を高めて認めてもらうのが、自分と自分の遺伝子の保存につながります。集団の中での地位を高く確立したい欲求、出世欲や権力欲、マウントを取りたい心理、誰かを支配したいという願望などにも繋がります。

 競争心が高く、高級品を買いたがります。自信過剰であったり、攻撃的で他人を否定したりする場合もあります。ズルく立ち回り、自分にとって有利な人と付き合おうとします。個人目標を優先しますが、リーダーになるために、自己犠牲を払ったり他人のためにお金を使ったりする人もいます。非難されても、本能なので仕方がない面があるのです。

7、伝える本能

 高める本能ほどダイレクトではないですが、自分の良いところ、優れたところをアピールして、集団の中で認められ、良いポジションにつく本能です。自分が集団の繁栄に役立つ人間であり、パートナーに相応しいのか伝えることで、自分と自分の遺伝子の保存を有利に進めます。

 人の話の4割は、自分の話。SNSでは8割が自分の話です。自分の話を聞いてもらうと気持ちが良くなるのは、この本能があるからです。得意なことを語る時の脳は、食事やsexと同じ部位が活性化し気持ちよさを味わうようにできています。

 高める本能は、競争に勝ち、いま自分に足りないものを増やして、自分の評価を高めたい欲求、伝える本能は、すでに持っているものや、手に入れたものを示して、自分の評価を高めたい欲求です。蒼野も身に覚えがあります。

8、物語る本能

 人間は物語が大好きです。過去の経験を伝えるのにストーリーは最適なのです。経験をストーリーで伝えることよって、種の生存の可能性を高めることができたからです。他者の経験を自分に準えて学ぶ方法ですので、分かりやすく、誰もが強く惹かれます。

 この本能が強い人は、映画や小説好きだったり、宗教やスピリチュアル、占いなどに惹かれます。自分のルーツにこだわったり、陰謀論や都市伝説を信じたりします。面白いですね! どの本能が強いかで、色々な人の個性が説明できそうなのが、蒼野には衝撃的でした。

 これからは人と話す時に、どの本能が強い人なのかを考えると、より人間関係がスムーズになるように思いました。皆様はどれが強いですか? 蒼野は事故の前は、自信があって4.6.7.を追求しがちな、ちょっと嫌な奴だったかもしれません。今は2.3.5あたりを追求したいと思っています。どれも満たされると気持ちの良い本能なので、良い悪いは無いはずです。バランスよく追求するのが重要だなあと思いました!

参考文献:
1)Needs and subjective well-being around the world. J Pers Soc Psychol. 2011 ; 101 (2) : 354-65.

参考書籍: 人が持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング    鈴木 祐
      (Amazonプライム会員は現在0円で読む事ができますよ~!)

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。