AIのある未来と、我々の欲求!

2023/05/14

 毎日の情報集めにチャットGTP4.0を使い続けている蒼野です。ここ数日、回答がさらに早く、より正確になって来ている印象を抱いています。いろんな意見はあるとは思うのですが、多くの仕事が無くなるとの話はよく聞きます。AIの利用で、仕事の効率が飛躍的に高まる近未来は、確かに豊かになるのかもしれませんが、人々は何をして暮らしてゆくのでしょうか?

 蒼野の世代は、大学の時に白黒で、普通持ち運べないだろうと思うような、35×28×24cmで重さも8.8kgのマッキントッシュを使い出した、いわばコンピューターの生みの親世代です。必要な時には、二宮金次郎のように、これを背中に背負ってあちこち出かけていました。そしてそこからのパソコンの急成長、スマホの発明などを見てきました。

 蒼野が生まれてから大学を卒業するまでは、情報源はテレビとラジオ、雑誌や本、そしてリアルでの口コミだけだったのです。それが今年になってからは、超賢い秘書が、何を聞いても答えてくれる時代になっています。今までの経験と知識があるので、よく知っていることについては、AIが間違っている事を指摘することが出来ますが、いつまでできるのかは不明です。

 今の子供達は、物心ついた時から、親の能力を遥かに凌ぐAIが存在する世界で大きくなることになります。タブレットで読み書き計算を覚え、個別に指導してくれる先生AIが、成績を評価する時代になりそうです。そこにはおそらく絶対的な信頼が生まれ、AIに従っておけば、大きな間違いはないと考える時代が来る様に思えてしまいます。

 遥かに人間の能力を凌ぐAIが、なんとなく危険かも、と感じるのは蒼野より少し後の世代までかもしれません。人間は一つの能力が進化するのに、最低でも数万年かかります。AIは日々、死なないので知識を蓄積し、どんどん賢くなります。人がするよりも、効率的に、そして正確に仕事がこなせるため、コストさえ安ければ、そんな仕事はAIが全て代替するはずです。

 新しく生まれ、必要とされる職業としては、AIのシステムエンジニアやプログラマーなどです。しかしAIの深層学習がどんどん進んでゆけば、人間の能力では、それ自体が理解できなくなる可能性がある様に思います。しばらくはAIと上手く共存できる人が、生きやすい時代になるかもしれませんが、共存できなければ生きにくくなることは間違いなさそうです。

 歴史上でも、便利なものが廃れた事はないので、我々の生活にAIはすごい勢いで入ってくるのでしょうね。蒼野の心配としては、AIが何かのバグで暴走したり、新型ウイルスで動かなくなったりしたら、どうにもならなくなるかもしれないと思ってしまいます。第4次産業革命と言われていますが、その通りの様な気がします。

 蒼野にはまだ孫はいませんが、そんな時代をどう生きれば、幸せになれるのかを、せめて娘たちにヒントを残してあげたいと思っています。そのためには人間自体がどんなもので、どんなふうに考え、行動するのかを知る必要があります。そして何が幸せに感じるかも知っておく必要があると思います。

 自分はいっぱい失敗し、間違えて今の年まで生きてきました。INPUTしたことを、やってみて(OUTPUTして)、それをフィードバックしてきたことで、成長してきた様に思います。そしてその過程を楽しんできました。最初から全部上手くいったら面白くもなんともないですよね! 

 AIは、膨大なデータを元に、最初から上手くいく方法を教えてくれるはずです。人間が幸せになるために作ったAIに、人間が従属するのでは、あまり面白い未来には、ならない気がしてしまうのです。AIがダウンしてしまうことも想定しながら、もっとリアルで、生物としての人間が楽しめる未来になることを祈りたいです。

 人間は特別な生物ではなく、生物の進化の中に生まれた種の一つである前提は変わらないはずです。蒼野が最近信じている概念は、『ヒトは遺伝子の乗り物である』という事です。ヒトの行動も心理も、ある程度これに則っている様に感じています。調べていて今日巡り会ったのは、進化心理学という考え方です。

 遺伝子としての種が、保存される事を最終的な目的として、人間は考えたり、行動したりしているとする学問です。ダーウィンの進化論でも言われているように、我々は多くの環境変化の中で、さまざまな遺伝子変異が生まれ、環境に適合する遺伝子が生き残ってきたというのは、真実であると思います。

 ですから我々の夢や、なりたい物、願望や欲望と言った物は、遺伝子の生存と繁殖に有利になるものが、元になっているという考え方です。それに関連した学問で、生物心理学という分野にも、蒼野は注目しています。脳内の神経伝達物質や、脳の構造、ホルモンや遺伝形質といった物が、行動や心理に影響しているのかを調べる学問です。

 有名な人間の欲求を解いた考え方に、マズローの欲求5段階説というものがあります。
(1)生理的欲求、食事や睡眠、排泄など、生きてゆくために必要な本能的な欲求。
(2)安全の欲求、心身共に健康、経済的に満たされた環境で、安心して暮らしたいという欲求
(3)社会的欲求、所属と愛情の欲求=家族や友人、会社等から受け入れられたいといいう欲求
(4)承認欲求、所属集団や他人に尊敬されたい、出世したい=他者から認められたいと願う欲求
(5)自己実現欲求、(1)~(4)が満たされた上で、満足できる自分になりたいという欲求 です。

 現在の日本では、ブラック企業等でなければ、(1)、(2)はクリアしている人が多いと思います。(3)、(4)あたりで悩んでいる人が多いかもしれませんね! 人間は(1)から順番に欲求を満たす様に考え行動してゆくとされています。なるほどとある程度納得できますが、唱えられたのは1943年で、現代社会には適合していないとする考え方も、結構見られます。

 そして2010年に心理学者のダグラス・ケンリック教授が、マズローのピラミッドを補完する形の、新しい欲求ピラミッドを提唱しました。人類は進化と共に生き残ってきた生物であり、遺伝子が生き残る事を目的とした欲求が基本となって(意識はしていなくても)、考え行動するという、少し赤裸々なピラミッドです1)。

(1)生理的欲求 (2)安全(自己防衛)の欲求 (3)所属と帰属の欲求(4)社会的地位を得て尊重されたいと願う欲求 (5)配偶者の獲得 (6)配偶者の維持 (7)子育て・育児 という階層になっていて、欲求に順番はなく、ピラミッドの上を解決するには、下の欲求が満たされることが必要です。それらが遺伝子の意向を満足させるという考え方になっている様です。

 確かに現代社会では、(4)までの欲求を満たすために疲弊してしまって、結婚が減り、少子化が進んでいるとも考えられますね! 人としての自己実現という崇高な欲求が語られていないということで、批判も多い様なのですが、研究対象が大学生だったと聞いて蒼野は納得しました。自分を振り返ると、独身の若い頃って、彼女を作ることしか考えていなかったからです。

 心理の裏に隠された、本音で、本能的な部分とも言えそうです。お陰様で、三人の娘が巣立ち、自分が事故で死にそうになった経験もあり、基本的な生活での欲求は満たされた現在では、ようやく、清く正しいマズロー寄りの欲求に近づけた様な気もします。多くの人の欲求を満たすということが、これからの人間に残された仕事になる様に思います。

 AI全盛となり、人間がする仕事が激減し、デジタルやバーチャル中心の社会になって、会社も学校も行かない人が増えたりすると(3)以降の欲求はなかなか満たされなくなるのでしょうか? それとも一生趣味に生きる人が増えたり、大恋愛時代になったりするのでしょうかね??

 これからも生物としての人間について研究し、その健康について調べてゆきたいなあと思っている蒼野でした。AIとの共存については、全然分かりません! もっと人間を研究してゆけば、答えが出るのかなあ?

参考文献: 
1)Renovating the Pyramid of Needs: Contemporary Extensions Built Upon Ancient Foundations. ; Perspect Psychol Sci. 2010 May; 5(3): 292–314.

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