今日は尊敬する樺沢紫苑先生の新刊『これからの生き方図鑑』の感想を書いてみたいと思います。334ページにも及ぶ分厚い1冊なのですが、これからの激変してゆく世の中で、生き方に迷った時に紐解くと、きっとぴったりのヒントに巡り会える、そんな1冊になっています。累計230万部にも及ぶ、樺沢先生の集大成とも言える一冊です。

　今の蒼野を幸せに導いてくれた本の一つが、樺沢紫苑先生の、『三つの幸福』という本です。脳外科クリニックの院長であった私は、2020年に交通事故に遭いました。頭蓋骨が頭蓋底まで割れて、急性硬膜外血腫を発症し、手術を受け命を取り留めました。しかし右目を動かす神経が傷んでしまい、複視の後遺症が残ってしまいました。

　事故の後、クリニックもクビになり、電子カルテやパソコンを、長時間見ると気分が悪くなります。今までポジティブシンキングをモットーに生きてきた私も、これからは運転も、大好きだったゴルフも出来ないと悩んでいた時に、そのままの自分でも、実は幸せだったんだと気づかせてもらった一冊が『三つの幸福』でした。

　まず事故に遭ったにも関わらず、知能も働く能力も残っていて、体を動かして愛犬と散歩出来る事に気づけました。今まで当たり前だった健康＝セロトニンの幸せに気づくことが出来ました。また妻や娘達がどんなに心配してくれていたかも、感じる事ができました。家に帰った時に愛犬も、見たことがないくらい喜んでくれました。心からオキシトシンの幸せに気づけました。

　身体を鍛えながら少しずつ勤務時間を伸ばし、普通に働ける様になった蒼野は、自分も医者として、今までやりたかった病気になる前の人を救う仕事をやって見たいと思う様になり、毎日健康になる方法を探して、自分でも試しながら、健康ブログを書く様になりました。書き上げてSNSで反応をもらうと、ドーパミンの幸せも、手に入る様になりました。

　幸せになった蒼野が、この本で最も参考になったのが、第2章のこれからの「自分をもっと成長させる」習慣です。2年間ブログを書いてきて、63歳になっても、自分が成長しているのかなと思えるのは、とても楽しく嬉しいものです。しかしこの章を読むと、まだまだ自分に足らないものがあることがよく分かります。

　自分が健康だと思っている、働き盛りの忙しい人達に、将来病気にならないための情報を届け、本当に実践してもらうのは、とても難しいことです。38年の臨床生活で、軽い脳卒中などで入院した人でさえ、生活習慣が変えられずに、再発して寝たきりになったり亡くなったりする人を目にしてきました。もっと自分が成長する必要があるというのは、ひしひしと感じています。　

　「知識によって実際に行動できる人は1割しかいない」という記事を読んで、今までの患者様のことを思い、なるほどなあと納得しました。その解決策として、目標を低く設定し、行動を細分化し、最初の一歩のハードルを出来るだけ下げるというノウハウは、健康習慣を獲得してもらうために必須のアイテムだと直感しました。

　自分は事故という大きな出来事のおかげで、毎日の晩酌も止めることができ、筋トレも習慣化できましたが、考えてみると、事故が無ければ、知っていても変われなかったと思います。このままでは危ないので、この習慣をつけましょう、と指導していましたが、今からは樺沢メソッドで、患者様を指導してゆこうと思いました。

　次は自分の成長のヒントです。説明力を磨く方法の中の、「非言語コミュニケーションを重視する」というのは、今まであまり意識したことがなく、新たな気づきになりました。確かに樺沢先生の講義も、動画で視聴するよりも、リアルで聞いた方が何倍も残ります。内容だけを理解するのではなく、見た目や言葉の裏の情熱まで感じ取れることで、より伝わるというのは真実だと思います。自分が伝えてゆく時も、意識してゆきたいポイントです。

　最後は、「仕事の忙しさに負けない」です。先週自分の病院で悲劇が起こりました。外来だけ行っている先輩の脳外科の先生が、脳卒中で入院されたのです。週2日だった外来が4日に増えました。昔からの多くの患者様を担当されておられたため、一気に患者数は3倍になった感じです。ちょっとクラクラしたのですが、この「忙しい」を「充実」に置き換える考え方で、忙しさをゲームの様に乗り切りたいと思います。

　この本には、今幸せを感じることができない人のための、これからの「もっと幸せになる」生き方や、職場の人間関係に悩む人の、これからの「自分も人も伸ばす」働き方。メンタルの悩みを解消する、これからの「メンタルを安定させる習慣」。そして自分も、全ての人に伝えたいと思う、これからの「健康であり続ける」生活など、どんな人でも参考になる記事が47個も書かれています。

　樺沢先生の実生活についても、伺い知ることが出来て、真似したくなるものがいっぱいでした。一回見たら忘れにくいイラストがついていて、まさに図鑑としても楽しめます。よりよく生きたい人、今悩みがある人、幸せになりたい人におすすめの1冊でした。自分も樺沢先生の後を追いながら、予防医学を広めてゆきたいと思っています。

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