ゴースト血管の対処法!

2024/01/16

 患者様と話していると、冬になると冷え性に悩む方は多いようです。蒼野自身は布団から足先を出さないと寝れないくらい暑がりなので、あまり気にしたことがなかったのですが、今日は冷え性とも関係のある、毛細血管の血流について調べてみることにします。

 我々は37兆個の細胞でできているのですが、その一つ一つに栄養と酸素が必要です。それを送り届けているのが血管です。大きな血管が枝分かれしてゆき、毛細血管となって細胞に栄養と酸素を送り届け、老廃物と二酸化炭素を回収します。大きな血管の障害は命に関わるので注目されがちですが、実は毛細血管の血流が、細胞が健康を保つための鍵を握っているのです。

 人体の血管の長さを合計した距離は約10万キロメートル!なんと地球を2周半する長さです。このうち99%を占めるのが髪の毛の10分の1の細さしかない毛細血管なのです。毛細血管は小さいが故に脆く、加齢とともに減少しやすいのです。食べ物や紫外線、喫煙などの影響で血流に大きな影響が出ます。

 毛細血管の血流が悪くなると、血管があっても血が流れない状態が観察されます。これはゴースト血管と呼ばれ、その状態が続くと徐々に血管自体が消滅してしまいます。その領域の細胞の機能が低下し、皮膚は老化してシミやくすみ、たるみなどに繋がります。

 これは蒼野が、様々な人の脳のMRI画像を見ていても実感します。脳の白質に、小血管の血流が悪くなって生じる、小さな脳梗塞の卵と言える病変が現れてくるのです。70歳で2~3個というのが平均なのですが、早い人では20代でも見られることがあります。そんな人に問診すると、必ず生活習慣に問題が見つかります。

 脳白質病変が増えてゆけば、血管性認知症を発症します。アルツハイマー型認知症患者においても、脳の毛細血管の数は3分の2から半分ぐらいまで減っています。ゴースト血管になると、アミロイドβの回収も滞り、蓄積が加速することが、アルツハイマーの発症に関与していることが疑われています。

 皮膚と脳だけでなく、骨粗鬆症の原因にもなります。骨は日々作り替えられています。栄養が行き届かなければ、新しい丈夫な骨は作れません。もちろん冷え性の原因にもなります。冷えによって肩こりやむくみ、便秘などにも繋がります。頭皮の血流が悪くなれば、髪の毛も傷み、抜け毛の原因にもなります。

 がん細胞は比較的低酸素でも生き続けることができるため、ゴースト血管となった低血流組織は、攻撃されるリンパ球がやって来ないため、居心地が良い場所になります。免疫細胞は栄養や酸素が少ない組織では活動出来ないのです。

 このように、毛細血管の機能が低下すると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を悪化させ、認知症、骨粗しょう症、肝障害、腎疾患の引き金にもなり、がんや老化にも大きく関係するのです。一言で言えば老化が加速し、老化に伴う病気のリスクが高まるということになります。

 それではどんな生活の人が、ゴースト血管が出来やすいのかを解説してみます。蒼野が感じるリスクNo.1は、お菓子、ファーストフード、パンで食事を済ませてしまう人です。スナック菓子やカップ麺などの超加工食品が多いのが特徴です。ゴースト血管に一番影響するのは、血糖値です。

 これは蒼野が経験した、20代で脳白質病変が既に見られる人に共通している食生活です。砂糖と炭水化物、特に小麦系の物中心の食生活です。女の子が多かったのは、パン好きが多いからのように感じます。蒼野の昔の職場の看護師さんも、お菓子で生きていると豪語していた方が、20代後半で、脊椎圧迫骨折を起こされたのを覚えています。

 血糖値が高いと、毛細血管の内皮細胞や壁細胞を活性酸素が攻撃します(酸化)。この活性酸素によって壁細胞が障害を受け、血管内皮細胞同士の隙間が開きます。すると血流は滞り、酸素や栄養はどんどん漏れ出てしまうのです。組織がむくんでいる人は、このような状態にあるといえます。こうして、ゴースト血管が増えてゆきます。

 また血糖値が高いと糖化が進行します。余った糖分はタンパク質と結合して、糖の終末糖化産物であるAGEになります。これが毛細血管の壁細胞に引っ付いて、血流を邪魔するだけでなく、血管を消滅させてゆきます。酸化と糖化が、毛細血管を減少させることで、老化が進んでゆくのです。糖尿病が万病の元といわれるのには、このようなメカニズムが働いているからです。

 自分がゴースト血管予備軍なのかどうかについては、微小循環障害(血液ドロドロ)=東洋的に言えば瘀血の状態になっていないかが目安になります。目の下のクマ、重たい頭痛、酷い肩こり、末端冷え性、便秘、肌のくすみ、唇や口の中が黒っぽい、下肢静脈瘤、いつの間にかアザが出来るなどはないでしょうか?

 改善方法としては、第一が血糖のコントロールです。砂糖よりも果物、パンよりは、玄米や五穀米、もち麦ご飯が良いです。甘い飲み物は無糖に変えましょう。ベジファースト、タンパクファーストで食べるのも良いです。主食よりもおかずを多く食べましょう。腹八分目がベストですが、食べ過ぎたら10分以内にストレッチ、1時間以内にウォーキングなどで血糖を下げると良いですね。

 第二は肉食過多、揚げ物過多にならないよう、魚、特に刺身、鍋料理などを増やしましょう。もちろん野菜・果物で350g/日摂ることを心がけましょう。水分をしっかり摂るのも重要です。食事中の水分も合わせて、体重×40ml/日の水分摂取は必要です。特に喉が渇かない冬は意識して水分を摂りましょう。

 第三は適度な運動です。毎日のストレッチと、少し脈が早くなって、体が暖かくなるような早足での歩行は生活に取り入れたいですね。1日最低20分で良いと思います。特にふくらはぎを鍛えると効果的です。冷えがある人は足先や指先などのマッサージも効果的です。激しすぎる運動は、活性酸素で毛細血管が痛むので逆効果です。

 第四は睡眠とストレスコントロールです。交感神経が優位な状態では、毛細血管は収縮して血流が悪くなります。リラックスして副交感神経優位な状態のまま、ぐっすり眠るのが重要です。睡眠中に成長ホルモンなどの、血管修復のためのホルモンが分泌されます。半身浴や温冷浴なども、副交感神経を優位にしてくれます。夜は興奮するような動画は見ないようにしたいですね! 1日のリズムは大事です。

 最後はゴースト血管の特効薬です。漢方薬には駆瘀血剤というものがあります。これには生薬として桂皮(シナモン)が配合してあります。他にもルイボスティーに含まれるポリフェノールや、香辛料のヒハツ(ロングペッパー)には、毛細血管を強くして正常化する効果が認められています。通販などで簡単に手に入るので、生活に取り入れてみると良いと思います。

 東洋医学では、「難病の奥には必ず瘀血が隠れている」という教えがあります。また医学教育の基礎を築いた米国の医師ウィリアム・ オスラー博士は「人は血管とともに老いる。」と言っています。確かに調べてみると納得できますね! 微小循環を保って細胞の老化を防げば、加齢と共に増える病気に悩まされることは無くなるのだと思います。

 蒼野は時々ルイボスティーを淹れ、毎日コンビニコーヒーにシナモンを振りかけ、食事の時はコショウとしてヒハツを使っています。簡単なアンチエイジング法として広めて行きたいと思っています。

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