医師ゴールキーパー論!

2023/05/23

 今日は自分の頭の中にずっと持っていた、現代の西洋医学のイメージについて書いてみたいと思います。38年前に医師になった蒼野ですが、毎日医師の仕事をしていて思うのは、自分の仕事って、サッカーで言えばゴールキーパーの仕事みたいだなあ、という事です。患者様を救えるかどうかというのは、点を入れられないようにゴールを守っているイメージです。

 蒼野が大学で習ってきた西洋医学というのは、病気になった人を治す学問です。元気な人が病気にならない様にしたり、病気になりそうな体調の悪い人を、元気な状態に戻したりする方法は一切習った事がありません。体調が悪い人に対して、生活習慣のアドバイスはできますが、時間が掛かる上に、聞いて実行してくれる人は一握りです。そしてアドバイスしても、治療費としては一切変わらないシステムなのです。

 人の役に立つ仕事、幸せになる仕事をしたいと思って始めた医療ではありますが、大怪我や大病に罹った人は、命は救えても、元通りの生活に戻せるかどうかは、ある程度運任せです。一旦身体が戻らないくらい壊れて仕舞えば、後遺症が残るため、本当にその人が幸せになる手伝いは難しい事があるのです。もちろん元通りになる、運の良い患者様もおられますし、その時には達成感を感じ、医者をやっていて本当に良かったと喜びを噛み締めます。

 最高の結果が、元の生活に戻るという点では、ゴールキーパーが危ないシュートを防いで、失点せず、試合に負けなかったというイメージなのです。患者様によっては、その経験を機に、大きく生活習慣を変えることが出来て、二度と病気にならない様に、シュートを決めてくれる事もあります。我々はその人の人生の試合に勝利できるかどうかを、一番後ろで祈っている立場なのです。

 生活習慣病が始まるイメージは、フィールドプレーヤーが、栄養不足の生活を続けたり、毒になる化学物質を摂り続けたり、毎日寝不足だったり、練習(運動)不足だったり、ストレスのためチームワークがバラバラになったりしている状態のように思えます。誰も走れなくなると、失点しない(病気を発症しない)最後の砦はゴールキーパーだけになります。

 味方が全員走れない状態では、キーパーは、敵である高血圧選手や糖尿病選手、脂質異常症選手や肥満選手に取り囲まれ、心臓病シュートや脳卒中シュート、癌シュートなどありとあらゆるシュートを、好き放題に撃たれます。医者一人では、とても守り切れるものではありません。フィールドプレーヤーが復活して(生活習慣を改善して)、全員で守らなければ、失点してしまうのです。

 今まで元気だった人は、病気になれば病院に行けば治してくれると思っている人が多いのかもしれません。しかしすごいシュートを打たれたら、あっという間に失点して、人生という試合で負けてしまうこともあるのです。今日も脳幹出血で、4月の終わりに突然植物状態になってしまった、高校の先生の奥様とお話ししました。「まだ信じられませんし、ダメだと分かっていてもあきらめたくないんです」とおっしゃられていました。本当に病気になるのはあっという間なのです。

 そして最近のキーパーは、守備位置が細分化しています。脳外科医はお腹や心臓の事は詳しくありませんし、外科医は脳や認知症のことは分からないと思います。ゴールの右隅だけを守っていたら、ゴールの左はガラ空きなのです。これも臨床でよく経験することなのですが、時間が勝負の病気というものがあります。最初に見てもらった医者の専門分野と、自分の疾患が合っていなかった場合には、普通なら防げたシュートも、ガラ空きのサイドに蹴り込まれてしまうこともしばしばなのです。病気を発症すると、医者との巡り合いも運頼みです。

 キーパーとしては、フィールドプレーヤーが生活習慣で動けない状態になったら、薬を使って呼び戻し、なんとか失点を免れようとします。しかし薬で呼び戻したプレーヤーも、相手のシュートが当たって、コースが変わるような副作用が出て、自殺点を献上することもあります。

 最後の方法は手術という、横っとびのセービングです。うまく防げれば、カッコいいです。しかしそれはチームが負けないというだけで、患者様の人生という試合で勝った事にはなりません。長年の生活習慣で押し込まれ続け、PKを取られるところまで行って仕舞えば、負ける確率が圧倒的に高いことは、皆様にもご理解頂けるでしょうか?

 皆様が監督だったら、どんな戦術で人生という試合を戦いますか? 元気に働いて、生きがいと幸せを感じながら生きることができれば、その日は試合に勝ったと言えると思います。しかし現代という環境は、生物である人間が、意識しないまま健康でいられる環境では無くなっています。気をつけていないと、いつの間にかフィールドプレーヤーは走れなくなり、自軍のペナルティエリア内でボールを回され、医者というゴールキーパーだけでは、命というゴールを守り切るのは難しくなっているのです。

 病気になって、死んでしまったり、後遺症が残って、笑顔を無くしてしまったりする人を、蒼野は沢山見てきました。自分が事故で死にかけたこともあり、残してもらった二度目の人生は、負けそうな試合を救うゴールキーパーの仕事よりも、ゴールをゲットしてチームを勝利に導く『三苫選手』のような仕事に憧れています。

 それは生活習慣の改善を意識することで達成できます。予防医学と呼ばれている方法です。フィールドプレーヤーの全員が守れて、全員が攻めることができる元気があれば、人生という試合は勝ち続けることが出来ます。ずっと相手のサイドでボールを回していれば、時には羽目を外してパスミスしたり、ボールを奪われる事があっても、すぐに得点を奪われることはありません。そうやって最後に寿命に負けてゴールを決められる前日まで、勝ち続けられれば、それは最高の人生では無いでしょうか?

 自分の身体の監督は、自分以外には居ません。若い頃の健康は当たり前過ぎて、少々不摂生しても元に戻るため、人はずっとそれが続くと思い込んでしまいます。血圧が高いとか、血糖が高いとか、コレステロールが高いとか、お腹がぽっこり出てきたとかというのは、痛くも痒くもありません。放っておいても、今までの健康はずっと続く様に思えてしまいます。

 生活習慣病は、長年の生活習慣で起こる病気です。医者にかかって薬を飲んでも良くなる病気では無いということは、絶対に知っておいて欲しいことになります。生活習慣病を完治させ、フィールドプレーヤーをまた戦える状態にする、ずっと相手のサイドでボールを回し続けるためには、生活習慣を変えてゆくしか無いのです。

 座り過ぎの運動不足、忙しいストレスだらけの日常、加工食品と糖質過多の偏った食事、タバコやアルコールなど、現代生活は、200万年の進化で、環境に適応してきた我々の遺伝子が対応できない、激しい変化に溢れています。監督である自分自身が、フィールドプレーヤーである身体の調子を気遣い、良好な状態を保てる生活習慣を取り入れてゆくことが、病気で人生を負け試合にしないために一番重要な事なのです。

 蒼野はゴールキーパーの経験を元にして、フィールドプレーヤーを元気にして、毎日の試合に勝つ、お手伝いをしたいのです。皆様のパフォーマンスが上がり、相手ゴールにシュートを突き刺すのを一緒に喜べる仕事こそが、ゴールをじっと守っているよりも、自分がやりたかった、やり甲斐のある仕事だと感じています。

 健康は失くして初めて、それが人生の必須アイテムである事に気づきます。日頃から自分の身体の声に耳を傾け、ちょっとした不調を見過ごさないように暮らしてゆきましょう。もしお困りの事がある様なら、公式ラインでご連絡下さい。予防の段階での対処が何よりも大事です。生活習慣の改善で不調を消す事ができれば、それは貴方の人生の大きな武器となるのですから!

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