脳に良い食べ物は何ですか?

2023/05/26

 昨日、脳のエイジングケアについて、オンライン対談をさせて頂き、『脳に良い食べ物は何ですか?』との質問を頂きました。思いつくままに、自分が普段よく食べているものをお答えしたのですが、後から考えると結構抜けていたかもと思いました。健康に良い食材については、今までも、さまざまなブログで書いているのですが、今日は脳のエイジングケアという観点から、もう一度まとめてみたいと思います。

 それでは、脳のパフォーマンスを上げ、認知症の予防になる食材を紹介してゆきます。大前提となるのに、意外に気づきにくいのが、腸に良い食べ物です。腸脳相関と言って、腸と脳は密接につながっています。腸内細菌のバランスを良好に保ち、腸が健康な状態であれば、老化の元でもある体内の慢性炎症が抑えられ、脳だけでなく、全身の健康に良い影響が与えられます。

 これにはお馴染みの、プレバイオティックスと、プロバイオティックスが重要です。現代人は意識して食べていない限り、食物繊維不足であることは間違いありません。美味しい加工食品が増えており、食物繊維は食べにくさにも繋がるため、ほとんど排除されているからです。野菜をもりもり、うさぎのように食べる人は、周りを見回しても、あまり居られないような気がします。

 食物繊維には不溶性と水溶性があります。不溶性は便の量を増してくれて、腸からのデトックスに大きく寄与します。便秘の予防や解消、女性のがん死No.1となっている大腸がんリスクの低減に有効で、体内の不要な物質や、有害物質の排出を助けてくれます。デトックスはアンチエイジングにも必須ですよね! 食材としては、全粒穀物、ナッツや野菜(キャベツ、ブロッコリー、玉ねぎetc.)、りんごの皮などに多く含まれます。

 腸の善玉菌を増やし、腸の健康状態をアップさせてくれるのが水溶性食物繊維です。血糖値を下げてくれたりコレステロールも下がりやすくなります。β-グルカンという食物繊維を豊富に含む、オートミールやキノコ、もち麦、などは、どれかを毎日食べましょう。免疫力の強化にもなり、アレルギー系の疾患にも良い影響があります。海藻も摂りたい食材です。フコイダンを始めとする水溶性食物繊維が豊富に含まれているため、海苔やワカメ、モズクなどを積極的に食べましょう。

 水溶性食物繊維は、豆類、ナッツや種(くるみ、アーモンド、チアシードなど)、フルーツ(リンゴ、オレンジ、ベリー類、キウイ、青バナナなど)にも多く含まれます。もちろんオクラやブロッコリー、ニンジン、芋類にも入っています。厚生労働省は、1日350gの野菜+果物を推奨しています。ベースとして毎日の食事は、こういった植物食を主体で組み立てられると、非常に健康的です。

 昨日の質問にもあったのですが、バナナを冷凍して食べると、青バナナほどではありませんが、一部の糖質がレトログラデーションという過程を経て再度、抵抗性デンプンに戻る可能性があります。これは、デンプンが加熱された後に冷却されると、その構造が変わり、消化が難しくなるという現象です。温かいご飯よりも、冷やご飯の方がレジスタントスターチは多くなります。

 プロバイオティックスは、良い菌を補給することです。発酵食品に含まれているので、ヨーグルトや糠漬けをはじめとする漬物類、ピクルス、みそ、キムチ、納豆、チーズ(特にカマンベール)、サワークラウトなども、補給しましょう。これらには乳酸菌やビフィズス菌が含まれるものが多いのですが、腸の健康には、特に酪酸菌を補給するのが効果的です。納豆の中にはアンチエイジング成分のポリアミンの一種である、スペルミジンが含まれますので、積極的に摂りたい食品です。

 酪酸菌は糠漬けに入っています。量が取れないので、薬局でも買えるビオスリーミヤBMといった整腸剤を追加で摂るのも良いと思います。蒼野はミヤBMを愛用しています。また同時にiHarbという通販で、PGX1”)という高純度の水溶性多糖類複合体のサプリメントも飲むようにしています。アレルギーや、コロナに罹った時の免疫暴走を防いてくれて、重症化予防の効果も期待できます。組み合わせて摂ることは、「シンバイオティクス」と呼ばれ、腸の健康が身体と脳の健康につながります。

 脳を作る材料として、卵も重要な食べ物です。特に卵黄には、ひよこの神経系を作るための全成分が入っています。ビタミンA、B12、E、セレン、亜鉛なども含む上、学習や記憶に関与する伝達物質アセチルコリンの材料となるコリンが豊富です。ルテインやゼアキサンチンと言った抗酸化物質も含まれています。お財布との相談にはなりますが、なるべく健康的な環境で育った鶏の卵が良いのはもちろんです。

 天然の魚をよく食べる人は、認知機能が下がりにくく、脳が萎縮しにくいという研究があります。魚介類は週2回以上食べる70~89歳の高齢者は、5年間追跡した結果、有意に脳が保護され、機能が低下しにくいと報告されました1)。オメガ3脂肪酸である、EPA、DHAの作用が大きいとされますが、魚の中でも、水銀が少なく、アスタキサンチンという強力な抗酸化物質を含むサケは、その王様とも言えます。サプリではオキアミ油(クイルオイル)が効果が高いようです2”)。

 肉で市場に出回るものは、生育環境が劣悪で、ストレスを溜め、抗生物質漬けになった食肉が一般的です。しかしオーストラリアやニュージーランドなどの放牧牛肉=グラスフェッドビーフは、ビタミンやミネラルが豊富で、認知機能アップや、メンタルの安定効果が認められています。原始人が食べていた肉に近いものになるため、遺伝子に合った肉なのです。蒼野も通販でたまに買っています。

 野菜の中でも、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、ラディッシュ、ルッコラ、青梗菜など)は、食物繊維以外に、スルフォラファンという化学物質の元になる成分が含まれています。脳の炎症、腸の炎症、癌や肥満、自己免疫疾患にも有効な成分です。特にブロッコリーの新芽(スプラウト)には多く含まれているので、脳に良い食材です。蒼野もブロッコリースプラウトの自家栽培キットと、タネを購入しました。2週間ほどで収穫できるので、これから楽しもうと思っています。

 油はエクストラバージンオリーブオイルがオススメです。喉の奥がピリッとする、オレオカンタールという物質が含まれています。これは天然の強力な抗炎症物質で、痛みに対しても有効です。アミロイドβを除去する作用も報告されています(週1Lの消費はちょっと厳しいですが…)蒼野も毎日、弁当のサラダにかけたり、納豆にオイルと岩塩をかけて食べたりしています。オイルは偽物が出回っているので、選び方には拘りましょう。

 果物で言えば、ブルーベリーアボカドです。ブルーベリーにはアントシアニンという、強力な抗酸化物質が含まれており、これは海馬に蓄積して、認知機能の衰えをカバーしてくれるという報告があります。イチゴやラズベリーも脳に良い影響があります。アボカドは食物繊維が豊富な上、抗酸化物質の宝庫でもあります。脳の60%を占める脂質を守ってくれる作用があり、血圧コントロールに重要なカリウムも豊富に含んでいます。

 おやつにするには、ダークチョコレートナッツがオススメです。ポリフェノールの一種でカカオフラバノールを含み、これが認知機能の老化を食い止めます。有効なのはカカオ含有率が80%を超えるものです。蒼野は楽天などで、カカオ100%のチョコを手に入れ、コーヒーに溶かしたりナッツと一緒に食べたりしています。少し値段はしますが、週に1枚くらいで効果があるそうです。

 カレーのスパイスでもあるウコンには、クルクミンという強力な抗酸化、抗炎症物質が含まれています。アミロイドの塊を分解する作用も報告されており、インド人にアルツハイマーが少ないのは有名な話です。スパイスカレー巡りは蒼野の趣味でもあります。日常は抗酸化、抗炎症作用のあるシナモンをコーヒーに振りかけて毎日飲んでいます。

 飲み物で有名なものは、緑茶です。含まれるエピガロカテキンガレート (EGCG) は強力な抗酸化作用や抗炎症作用が報告されています。含まれるカフェインやテアニンも神経伝達物質に作用して活性化し、認知機能に影響します。蒼野は毎日600mlのお湯で緑茶を淹れて、生レモンを一個絞ってレモン緑茶にして持ち歩いています。

 今日のブログは、健康オタクぶり全開の内容になってしまいました。皆様も気になるものがあれば試してみてくださいね!そして気に入ったら続けてみてください。死ぬまで明晰な頭脳はキープしてゆきたい蒼野でした。

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過去ブログ:

参考文献:
1)Fish consumption, n-3 fatty acids, and subsequent 5-y cognitive decline in elderly men: the Zutphen Elderly Study. ; The American Journal of Clinical Nutrition, 85, (4), 2007, 1142–1147

参考書籍: 脳が強くなる食事  マックス・ルガヴェア

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