五島の健診旅行で感じたこと!

2023/11/03

 秋の過ごしやすい季節、世の中は行楽シーズン真っ只中ですよね。現在の職場は、有給の消化もしやすい病院なので、非日常を味わいたくて、長崎五島列島の健診のバイトに応募し、3日間働いてきました。3日間で250人前後の健診を行ったので、今日は少し生々しい感想をご報告したいと思います。

 五島は福岡空港から45分、プロペラ機でひとっ飛びです。ジェット機に乗り慣れていたため、雲の下を飛んで、地形がよく見えるのが新鮮でした。朝からのバイトなので、前日の夕方、病院を少し早く出て五島に向かいました。夕日も綺麗でワクワク感が募ります。6時過ぎに到着です。

 到着後、荷物が出てくる順番が遅く、空港の外に出ると、タクシーは蒼野の前の人が乗った後、全くいなくなりました。バスは最終が5時台で、明日までありません! Googleマップでホテルまで4.4kmと出たため、トランクを押して歩き始めました。

 大きな道を歩いたのですが、とにかく真っ暗で新鮮でした。スマホのライトを頼りに歩きました。ゆるい下りだったので、それほど辛くなく、1時間ほどでホテルに着きました。チェックインしてから、海鮮の店を探しましたが、8時前なのに、ネタがもう無いからと3件断られ、ここでもカルチャーショックを受けました。何とか老夫婦がやってる寿司屋に入り、刺身と天ぷら、五島うどん(麺が細い)でお腹を満たしました。

 翌日からは朝7時半集合で健診です。10代から70代までの男女を3日間で250人くらい診ました。腹診希望の方も多く、いつもは脳外科医なので、これも新鮮でした。漢方で触り慣れているので問題ありませんが、3日間を通じて、さまざまな方のお腹を触ることができました。そこで感じたのは、着痩せしている女の方でも、閉経後は結構な確率で内臓脂肪が溜まってくる事です。

 もちろん健診ですから、治療はできないため、問診して生活のアドバイスを行います。内臓脂肪が溜まっている方に共通するのは、運動習慣が無い事です。筋トレはもちろんのこと、車通勤でデスクワークの方も多く、あまり歩くことも無いようです。お酒に関しては、毎日ビールを飲む人は、よりお腹が大きくなっていて、ビール腹って本当だなあと実感しました。

 お酒の強い男性では、どのくらい飲みますかと聞くと、”普通”と言われます。ビールでなくとも、焼酎を大きなコップで毎日4杯くらい飲み、ご飯やうどんを普通に食べていたら、お腹はパンパンに張ってしまいます。焼酎は直接脂肪には変わりませんが、カロリーとして使われるため、食べた物がそのまま内臓脂肪に変わってしまいやすいのです。

 食事では、炭水化物が大好きな人が多かったです。お酒を飲まない人でも、あまり意識せずに、若い頃と同じように食べていると、畑仕事をしているような男性でも、結構お腹が硬く、パンと突き出ている方が多いです。そんな方に限って、血圧もバカ高かったりするのですが、元気に動けているからと、病院に行った事がないとのことでした。

 拡張期血圧が100mmHgを超えているような方には、病院受診を指示しました。確かに40代くらいだと、すぐにどうかなる確率は低いと思いますが、50代、60代で、脳や心臓の発作につながる確率は高いと感じてしまいます。”一旦薬を飲み出すとやめられないでしょう?”と言われるのですが、生活改善を徹底すれば、血圧も下がってやめられる場合はあるのです。

 蒼野自身、事故の前に50代でクリニック勤務となり、車通勤、1日中座る生活を続けてしばらく経った頃、140/90mmHgを超え始めて、心配になり降圧剤を飲み始めました。しかし事故の後、毎日歩くようになり、体重が7kgくらい減ると、夏のふとした瞬間にフラッとして倒れそうになる場面が増え、家庭血圧が100を切っていたので、降圧剤を中止した経緯があります。

 どうしてもアドバイスは短時間になってしまいますが、聞いていただける人が少しでも居れば、健診した甲斐があるというものです。食生活や運動は、なかなか変え続けるのは難しいのは、承知していますが、メタボの中年男性は初老期の心血管発作が心配ですし、メタボの中年女性では、膝や腰の痛みで動けなくなり、サルコペニア肥満に陥るのが、本当に心配されます。

 人数は数える程でしたが、逆にお腹は柔らかく、皮下脂肪だけという感触の方では、運動を心がけておられる方が多いのも、印象的でした。人間は必要なければ、なるべく動かないというのが、飢餓の歴史を生き抜いてきた遺伝子が示す生き残りの方法です。意識して運動習慣をつけることは、飽食の時代になってからの健康法ですので、出来ていない人が多いのは仕方がない事なのかもしれません。

 仕事は13時半には解放されるため、3日間蒼野は色々島の中を見て回りました。最初の日は9km離れた堂崎天主堂を見に行きました。バスで15分ですが、バス停で降りてから、教会まで1kmありました。バスの便数が少なく2時間に1本です。おかげでゆっくり見れましたが、帰りはバス停で1時間待ちました。

 2日目は、鬼岳という福江島のシンボルのような火山に行きたくて、レンタルで電動アシスト自転車を借りました。店じまいが4時半という事なので、ぴったり3時間/1000円です。坂道なので良い運動になりました。山頂からの景色は素晴らしく、とても気持ちが良かったです。五島に来たら行って欲しいところの一つだと感じました。

 帰りは遠回りして、鬼岳が噴火してできた溶岩で出来た、ゴツゴツした鎧瀬溶岩海岸を周り、牛の匂いがする民家の間を抜けてぐるっと回って帰りました。ちょうど20kmくらいは走ったと思います。夜はバナナマンの日村さんが「せっかくグルメ」で行った五島牛の店で、ステーキを堪能しました。

 3日目は6時15分の飛行機まで、市内観光しました。ジブリの美術背景を描いていた山本二三美術館を訪れ、「もののけ姫」や「天空の城ラピュタ」「火垂るの墓」「時をかける少女」などの原画を見て感動しました。これは美術作品だと、改めて認識しました。

 五島観光歴史資料館も山本二三美術館と合わせて500円で入れたので、行ってみました。五島のバラモン凧は有名ですが、その絵柄は、鬼に向かっていって頭から喰われた武将で、鬼が兜を正面から齧っている姿であることを初めて知りました。

 鬼に喰われているのは切ないですが、強いものに向かっていく勇猛果敢な武者のように、逞しく元気に育って欲しいと、端午の節句に孫ができたお祖父さんが、鬼岳で揚げるそうです。凧の上部にブーンと音が出る「うなり」が取り付けられていて、その音が子どもの厄を払うのだそうです。

 3日間、よく動いて、楽しかったです。ただ1周約100kmもある島内を動こうとすると、交通手段がどうしても車になってしまいます。都会よりも逆に歩く機会が少ないことが、メタボ率の高さに反映されてしまうのかも知れません。遠すぎて行けなかった大瀬崎灯台や高浜ビーチにも、いつか行ってみたいなあと思った蒼野でした!

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