緑茶の最新エビデンス!

2022/11/27

今日は身体に良い飲み物のお話です。先日コーヒーについて書かせて頂きましたが、緑茶についてもコーヒーに劣らないエビデンスがあり、こちらもできれば生活に取り入れてもらいたい飲み物になります。蒼野の家には、玄関の横にレモンの木があり、そろそろ黄色くなって収穫の季節になりました。身体に良いと言われるレモン緑茶を今朝作って飲んでみたので、その情報も併せて書いてみます。

 緑茶は日本人に馴染みの飲み物であり、日本人での研究が発表されています。まずは大きな研究からご紹介します。日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸のために、全国の11の保健所の管轄地域の40~69歳の男女約9万人について最長21年間追跡し、緑茶の習慣的摂取と全死亡・主要死因死亡との関連を調べています1)。緑茶は1杯100mlの設定です。

 期間中12,874人の死亡が確認され、1日1杯未満、毎日1~2杯、毎日3~4杯、毎日5杯以上の4群で比較しました。1日1杯未満の群に比べ緑茶の摂取が増えるにつれて、死亡率は低下してゆき、男性では毎日5杯以上の群で13%、女性では17%死亡率が低下していました。

 男性では脳血管疾患と呼吸器疾患の死亡率が明らかに下がっており、女性では心疾患と外因死が減っていました。緑茶には、血管内皮の修復作用や、体重減少作用、血糖値を低下させる作用、気管支拡張作用などが報告されており、血管病や呼吸器疾患などへの良い影響が考えられます。外因死に関しては、認知機能や注意力の改善による影響ではないかと推測されています。

 二つ目の論文は、大阪大学が40~79歳の4万6,213人を18.5年(中央値)追跡した研究です。追跡期間中に9,253人が死亡しました。コーヒーまたは緑茶の摂取量と全死亡リスクの関連を解析しています。1つ目の論文では除外していた脳卒中478人または心筋梗塞1,214人の既往者についても調べています2)。

 脳卒中既往者では緑茶を飲まない群に比較し、1日に3~4杯飲む群の全死亡は44%減。5~6杯飲む群は48%減、7杯以上飲む群は62%減という結果でした。心筋梗塞既往者も、1日に7杯以上飲む群は53%減であり、衝撃的な減り方です。ただし、脳卒中や心筋梗塞の既往のない人では、緑茶摂取量と全死亡リスクに有意な関連は認められませんでした。

 コーヒーに関しては、脳卒中または心筋梗塞の既往のない人の死亡率と逆相関していました。1日に1杯飲む群は14%減、2杯以上飲む群は18%死亡率が有意に低下していました。心筋梗塞既往者でも2杯以上飲む人は39%、死亡率が下がっていました。緑茶やコーヒーに含まれるフラボノイドが、心血管系の健康に良いというエビデンスは多く報告されており、それは日本人でも同様であるようです。

 緑茶には認知症予防の効果があることも昔から報告されています。宮城県で行われた65歳以上(平均年齢73.8歳)の13645人を5.7年間追跡した前向きコホート研究では、緑茶の摂取量と認知症リスクは逆相関の関係にあり、1日に5杯以上緑茶を飲む人は1杯未満の人と比較して、27%認知症発症リスクが低下していました3)。

 コーヒーも素晴らしい飲み物ですが、緑茶も負けず劣らず、生活に取り入れたい飲み物です。カフェインは集中力、注意力を上げ、脳機能を高めてくれます。これはどちらの飲み物にも入っています。緑茶はコーヒーに比べるとカフェイン含量は少なめです。カフェインに弱い人は緑茶から試してみるのもお勧めです。

 緑茶にはもう一つL-テアニンという成分が入っています。脳を落ち着けるGABAの活性をアップし、脳波を落ち着かせてα波を増やします。リラックス効果が高く、カフェインと一緒に摂ることでストレス耐性を上げながら、集中力、注意力を増してくれるので、人によってはさらに仕事の効率が上がる可能性があります。

 緑茶には不安関連障害を予防し、睡眠を深く安定させる作用があります。交感神経を抑えてくれるため、夜間の覚醒回数も減ると言われており、L-テアニンが配合された睡眠サプリも多くみられます。温かい緑茶を飲むとホッとしやすいのは、この点が大きいのかも知れません。

 緑茶には驚くほどの抗酸化物質が入っています。ポリフェノールであるカテキン類が4種も入っています。茶カテキンはビタミンCの約90倍、ビタミンEの約23倍の抗酸化力があり、アンチエイジングに有効です。コーヒーにもクロロゲン酸というポリフェノールが豊富で、コーヒーと緑茶を飲む習慣がある人は紫外線シミが抑えられていたという論文もあります4)。老化の原因とされる酸化に対抗する事ができる上、糖化も防ぐのです。

 またウイルス感染にも茶カテキンは有効である可能性があります。試験管内では、ウイルスのスパイクたんぱくに結合し、細胞への感染能力を低下させる効果が確認されています。茶カテキンは血液中への移行は少ないため、口腔内でウイルスを不活化したり、感染している人が飲むことで、他人に移しにくくなる効果は期待できるとされています5)。

 そして本題のレモン緑茶です。緑茶には、インスリン感受性を上昇させ、血糖値を下げる効果や、糖尿病の発症を42%も抑える効果があります。肝臓での脂質代謝が高まり、コレステロール吸収を抑え、エネルギー消費が高めます。内臓脂肪を減らし、痩せやすくなる効果があることは、トクホの飲み物でも謳われています。

 一方レモンですが、レモンを摂ると血中のアディポネクチンが上昇し、脂肪を燃焼します。レモンの酸っぱい刺激は交感神経を高めて満腹中枢に働きかけ、空腹ホルモンの「グレリン」を抑え、満腹ホルモンの「レプチン」の分泌を促す作用もあるのです。レモンと緑茶の組み合わせは、ダイエットにとても有効で、減量の大きな助けになるようです。

 ちゃんと研究もあります。緑茶で抗肥満作用を得ようと思うと、カテキン量は1日540mgくらい必要でした。これがレモンを加えることによって、146 mgのカテキン量で、有意に体重増加が防げることが証明されています6)。一般的に緑茶のカテキ ン含有量は約30~40mg/100mLですから、1日500mlくらいなら飲めそうですよね!

 緑茶を入れるお湯の温度は、茶カテキンがもっともよく抽出できる70~80度くらい、緑茶150mlに大さじ1杯のレモン果汁を加えるだけです。食前の20~30分前にレモン緑茶を飲んでおくと、食事前に満腹中枢を刺激し、食べすぎを防ぐことができるそうです。今朝初めて飲みましたが、酸っぱい中にちょっとお茶の苦味があって、蒼野としてはとても美味しく感じました。

 盛りだくさんの情報になってしまいましたが、最後に緑茶の効能を、まとめておきます。フラボノイドによる抗酸化作用や糖化を防ぐ作用、これにカフェインの抗炎症作用も加わり、抗がん作用や血管保護作用などによる死亡率低下、アンチエイジング効果があります。認知症予防効果、糖尿病予防、肥満予防、抗ウイルス作用もあります。仕事の能率が上昇し、メンタルの安定作用もあるのが緑茶です。

 これぞ日本が誇るスーパードリンクですね! 緑茶5杯以上、コーヒー3~4杯というのはちょっと厳しいかも知れませんが、ちょっとでも効果はあるので、甘い飲み物はやめて、緑茶かコーヒーを選びましょう。胃が悪い人にはお勧めしませんが、痩せたい方には特にレモン緑茶はお勧めです。

 今までも毎日緑茶とコーヒーとレモン炭酸を飲んでいた蒼野です。レモン緑茶を朝沢山作って職場に持っていこうと思っています! 

過去ブログ: 抗ウイルス作用はこちらが詳しいです。
https://blue-zone-life.com/紅茶と緑茶!/

参考文献:
1)Association of green tea consumption with mortality due to all causes and major causes of death in a Japanese population: the Japan Public Health Center-based Prospective Study (JPHC Study). ; Ann Epidemiol. 2015 Jul;25(7):512-518.

2)Green Tea and Coffee Consumption and All-Cause Mortality Among Persons With and Without Stroke or Myocardial Infarction.. ; Stroke. 2021 03;52(3);957-965. doi: 10.1161/STROKEAHA.120.032273.

3)Green Tea Consumption and the Risk of Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study. ; The American Journal of Geriatric Psychiatry Volume 24, Issue 10, October 2016, Pages 881-889

4)Consumption of Polyphenols in Coffee and Green Tea Alleviates Skin Photoaging in Healthy Japanese Women Clin Cosmet Investig Dermatol.; 13,165-172, Feb 10 2020

5)Significant Inactivation of SARS-CoV-2 In Vitro by a Green Tea Catechin, a Catechin-Derivative, and Black Tea Galloylated Theaflavins. ; Molecules 2021, 26(12), 3572; https://doi.org/10.3390/molecules26123572

6)The combined effect of green tea and α-glucosyl hesperidin in preventing obesity: a randomized placebo-controlled clinical trial. ; Scientific Reports volume11 Article number: 19067 (2021) / https://doi.org/10.1038/s41598-021-98612-6

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。