今日は、風邪を引いた時に食欲がなくなる理由について書いてみたいと思います。食欲が無くなるのは、身体が風邪に対抗する一つの反応なのです。体力をつけるために無理して食べるという方も居られるかもしれませんが、逆に風邪を治りにくくしてしまうという事をお伝えしたいと思います。
体調が悪い時に、動物は食事を摂りません。水分だけ摂ってじっとして回復を待つ場合が多いのです。人間も同じ哺乳類ですので、食べたく無い時には食べない方が、病気を追い出すのに有利になる可能性が高いのです。
風邪のウイルスに対抗するのは、身体の免疫力です。ウイルスとの戦いに勝つためには、戦う免疫細胞をフルに動員するのが有利となります。身体の免疫システムの7割が腸に集まっています。栄養を取り込む必要がある腸は、栄養と共に必ず入ってくる病原体や毒などを、免疫細胞の働きで迎え撃つ必要があります。
風邪のウイルスに使われるための免疫細胞が、食べ物の消化でも使われてしまい、ウイルス撃退に集中させる事ができなくなります。免疫細胞を総動員するために脳が出している命令が、食欲を無くして消化管に物を入れないという反応につながっているのです。
また食べ物を体内で代謝してエネルギーに変える際にも、体内の酵素やエネルギーが使われます。体内の酵素も有限ですので、食物に対する消化酵素や代謝酵素で多く消費してしまうと、ウイルス除去のための反応が起きづらくなってしまうのです、この点でも消化管に物を入れない方が有利に働きます。
細胞のオートファジー反応は、細胞内のウイルスもやっつけてくれるのですが、これは空腹、断食を行うことで活性化します。細胞内のウイルスをやっつける事ができれば、ウイルスの増殖は起きなくなります。オートファジーの活性化のためには、食欲を無くして食べないことが大切です。
これが風邪を引くと食欲が湧かない理由になります。もちろん長期間食べなければ、体はエネルギー不足になり、免疫に使われるエネルギーも不足してしまうので、補充が必要になりますが、2~3日であれば、身体には脂肪やグリコーゲンなど、貯蔵されたエネルギーで賄えますので、無理に食べる必要は無いのです。
ウイルスと戦っている時には、じっと寝ていれば、エネルギーを免疫反応に振り分けやすくなります。消化にも多大なエネルギーが使われますし、筋肉を動かせばエネルギーが消費されてしまいます。ですから動物は病気の時には食べずにジッとして回復を待つのです。
たとえ消化の良い物であっても、食べたく無い時には食べない方が正解です。風邪を早く治すためには、食べずに、布団をかぶって体温を上げて、しっかり睡眠を取る事が重要です。体温が上がると、身体から出てゆく不感蒸泄や汗などが増えるため、水分とミネラルは補給しましょう。
OS-1などの経口補水液や、海塩などの自然塩を入れた白湯などをしっかり補給するべきです。風邪を引いたら、消化の良いものを食べて、暖かくしてしっかり寝ましょうという、昔ながらのアドバイスは、食べたい時には正解でしょうが、食べたく無い時には守らない方が良い様です。
蒼野はここ何年も風邪で寝込む事はなく、食欲も落ちる経験も有りません。若い頃は風邪を引きそうな、まだ症状が出る前にはかえって異常に食欲が亢進することが有りました。調べてみても明確なエビデンスは有りませんでしたが、感染が悪くなる前にエネルギーを貯めようと身体が反応しているというのは、考えやすい理由では有ります。
もちろん世の中にはさまざまな病気があって、命に関わる事態も無い訳では有りませんが、もともと元気な人のウイルス感染による風邪には、免疫力で対抗する以外には治す方法はありません。食べず、動かず、温めるという方法がベストになります。
身体の声に耳を傾けて、それに従うのが大事です。しんどい時には休む。眠たい時には寝続ける、食べたく無い時には食べないという事だと思います。仕事でなかなか休めないという方は、漢方で体を温めたり、免疫力を助けてもらったりするのが次善の策でしょうか?
風邪回復を邪魔する食べ物は知っておきましょう。まずはアルコールです。アルコールは代謝で多大なエネルギーと酵素を消費するためNGです。特に薬を併用する場合には、さらに肝臓の負担が大きくなってしまいます。胃腸にも負担をかけ、免疫力が落ちますので控えましょう。利尿作用で脱水を助長するのも悪影響を与えます。
風邪の初期には卵酒(日本酒+卵+ハチミツ)という民間療法がありますし、西洋でもエッグノッグと言って、牛乳に溶き卵・クリーム・砂糖・シナモンを加え、時にはウイスキーやブランデーを加える風邪の初期の飲み物があります。蒼野の考えとしては、必須アミノ酸摂取が不足気味の時代では、本当に初期の風邪なら、体が温まり、エネルギー補給やアミノ酸補給、睡眠に入りやすくなる効果などで効いていたのだろうと思います。食欲がなくなる時期には飲まない方が良いと考えます。
ウイルスと闘っている最中には、砂糖も避けましょう。血糖値スパイクで体内に炎症を起こし、免疫反応を邪魔してしまいます。お菓子類やオレンジジュースなどの甘い飲み物、ポカリスウェットも避けた方が良いでしょう。人工甘味料入りの飲み物も、腸内細菌を変化させて免疫力を下げるため飲まない方が良いです。
食欲が無い時に、脂っこいものは食べたく無いと思いますが、消化に時間とエネルギーを消費する脂肪分が多い食べ物も摂らないほうが賢明です。胃腸に負担をかけ、脱水を促してしまうコーヒーなどのカフェイン入りの飲み物も避けておきましょう。常温のミネラルウォーターや白湯などが望ましい飲み物になります。香辛料など刺激の強い食べ物や生ものも、胃腸に負担をかけるので避けましょう。
食欲が出てきたら、免疫細胞や酵素の材料となる必須アミノ酸をっかり摂りましょう。豆腐や卵、白身魚、豚肉などを味噌汁や鍋物にすると良いです。しょうがや大根、かぶなども組み合わせ、身体を温めましょう。林檎のすりおろしやバナナ、お粥などでエネルギーを補給しましょう。
腸活は免疫力を上げることになるため、発酵食品と水溶性食物繊維、オリゴ糖なども積極的に摂るのがお勧めです。インフルエンザもこれからが本番になりそうです。コロナとも共存してゆかねばなりません。基本は風邪と同じ対処になりますので、頭に入れておいて頂ければ幸いです。
今朝のニュースで、インフルエンザコロナ同時感染の患者様のインタビューを見て、本当に気をつけようと思った蒼野でした。
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