炎症老化と水素吸入の新たな可能性

2025/04/27

はじめに:年齢とともに増える不調の正体

年齢を重ねるにつれて、痛みなどの不調が増えていったり、さまざまな病気に罹りやすくなることは皆様ご存知のことと思います。その根本にある原因の一つが、体内の慢性的な炎症です。

炎症は本来悪いものではなく、身体にとって無くてはならない反応です。たとえば、手を切ったり、風邪のウイルスに感染したとき、患部が赤くなったり、熱を持ったり、腫れたりします。これが、免疫細胞が集まってきて、傷口を修復したり、ウイルスを退治しようとする炎症反応です。これは我々に必要な、急性の炎症で、怪我や感染症が治れば、自然に治る炎症です。

しかし残火のように、いつまでも炎症が続く状態は、逆に身体を傷つけ、病気や老化を進めてしまいます。これが様々な病気の一因であり、老化の一因とされる慢性炎症=炎症老化なのです。本来必要な短期間の炎症が、年齢やストレス、生活習慣の乱れなどで長引いている状態です。

近年の研究によると、加齢とともに、体内の炎症性サイトカインなどの、炎症関連分子が増加し、これが多くの慢性疾患の発症に関与していることが明らかになってきました。

問題は「消えない炎症」=炎症老化

炎症老化は、50歳頃から徐々に進行し、60歳を過ぎると急速に悪化すると報告されています。先日65歳になった蒼野も十分に気をつけたいと思います。

私たちの身体を作っている37兆個の細胞は、毎日、紫外線や、物理的ストレス、精神的ストレスなどによってダメージを受けています。若い頃はダメージを受けた細胞は、免疫細胞に除去され、新しく生まれ変わりやすいのですが、加齢と共に老化細胞の状態のまま残り、臓器の機能低下を起こし、周囲に炎症性サイトカインをまき散らすことで、周囲の細胞まで、老化細胞に変えてしまうのです。

もう少し詳しく見てゆくと、

加齢やストレス、毒素(環境汚染、炎症)でミトコンドリアが傷つく

   ↓

DNAに傷が増え、テロメアが短くなり、エネルギー不足で細胞が機能停止して老化細胞が増える

   ↓

老化細胞が分泌するSASP(老化関連分泌物質)により、さらに慢性炎症(炎症老化)が進む

   ↓

周囲の細胞に炎症が波及し、ミトコンドリアが傷つき、老化が加速する

つまり慢性炎症は、老化細胞を増やし、老化細胞が周囲の細胞を老化細胞に変えてゆくことで、臓器の機能が低下し、さらに炎症が続いてゆくことになります。ですから老化細胞は、ゾンビに例えられて、俗名はゾンビ細胞とも呼ばれるのです。

脳においては、炎症によってミクログリア(脳内免疫細胞)が過剰に活性化し、血液脳関門の破綻や、神経細胞の障害を引き起こし、認知症などのリスクを高めると考えられています。このように、炎症老化は体内のあらゆる部位に深刻な影響をもたらします。

炎症老化を防ぐ基本は生活習慣

皆様も、年は取りたくないと思われているのではないかと思いますが、若々しく、元気なまま人生を送ってゆくには、この炎症老化、老化細胞を増やさない生活習慣が重要となるのです。

まずやってもらいたいことは、運動習慣、バランスの取れた食事、ストレスマネジメント、十分な睡眠といった、皆様ご存知の健康的な生活習慣です。地中海食や和食などの、抗炎症的な食事パターン、軽い有酸素運動、瞑想や感謝の習慣、夜間は気持ちを切り替えてリラックスして過ごすことなどが、細胞の老化やミトコンドリア機能低下を防ぐ助けになります。

しかしそうは言われても、生活習慣を変えるのは大変です。現代社会では過重労働、時間不足、ストレス、睡眠不足、環境汚染など、どうしても避けがたい炎症促進因子も多いからです。

注目される、新しい健康習慣としての「水素吸入」

こうしたなかで注目されているのが、水素吸入という新しい手法です。水素分子(H₂)は、体内で発生する悪玉活性酸素(特にヒドロキシラジカル)を選択的に除去し、細胞やミトコンドリアへの酸化ダメージを軽減することが知られています。さらに、水素は正常な細胞機能を損なうことなく、過剰な炎症だけを鎮める性質を持っているとされており、非常に理想的な抗炎症戦略となります。

実際に、動物実験や臨床研究では、水素吸入によって脳梗塞後の炎症反応が抑制されたり、心停止後の復帰率が上昇したり、糖尿病性腎症の進行が遅延したりする結果が報告されています。これらの効果は、主にミトコンドリアの保護、細胞の酸化ストレス軽減、そして慢性炎症の抑制によるものと考えられています。

もちろん、老化細胞が分泌する炎症性因子(SASP:老化関連分泌表現型)を水素が抑制する可能性についても注目が集まっており、水素吸入が「老化の加速因子」を緩和する手段となる可能性も期待されています。

そこに、水素吸入を取り入れることは、体にやさしく、かつ効果的に「慢性炎症の火種」を静かに消していくサポートになり得るのです。蒼野も水素を生活に導入し、65歳の現在も不調なく毎日を過ごすことができています。

水素吸入によって、急に若返って何かができるようになる訳ではないため、実感しにくいとは思います。しかし年齢を重ねても元気でいるためには、「炎症老化を抑える」ことを意識することが、これからの健康の新常識となると蒼野は考えています。手軽に取り入れられる水素吸入を、生活の一部に取り入れてみるのは、いかがでしょうか。

過去ブログ