今日は日本人の死因から、健康長寿のために我々がどうしたら良いのかを考えてみたいと思います。超高齢化社会である日本では、これまでと同じ医療が、受けられなくなる時代に突入しています。
1位、がん(悪性新生物)
原因は免疫力低下、年齢が高くなるにつれて多くなる。日本人が一生の間にがんになる確率は現時点で50%、今も増え続けていて70%まで上昇すると言われています。病院での治し方の原則は手術、抗がん剤、放射線治療が基本です。ノーベル賞の本庶先生の免疫チェックポイント阻害剤オブジーボなど、免疫療法という治療もできてきていますが、年間1000万円と高額な上、全員には効きません。
蒼野はがんになりたくありません。がんができてから考えるのではなく、生活習慣でがん細胞を日々死滅させてゆくことが重要です。がんは生活習慣病と言われて久しくなります。発がん物質を避けること、酸化、糖化、慢性炎症を避ける事、毎日の規則正しい生活と睡眠、運動で筋肉を作って、マイオカインを分泌し、炎症を抑えてゆくこと、などでがんの発症は抑えられます。
2位、心疾患と4位、脳血管疾患
どちらも血管が悪くなることで生じる生活習慣病です。狭心症から心筋梗塞、心不全、脳出血や脳梗塞などは、血管の老化や動脈硬化が原因となっています。高血圧や糖尿病、高脂血症などでリスクは激増してゆきますが、その源流には肥満、内臓脂肪の増加による、糖化、酸化、慢性炎症があります。やはり生活習慣の改善で防ぐことが出来ます。
3位、老衰
生活習慣病には全て老化が関連しています。体内にある抗老化システムをうまく使えれば老化関連疾患は予防可能です。生物学的年齢と見た目の年齢は、生活習慣によって大きな差ができるのは皆様ご存知だと思います。肺炎が減ってこの病名が増えてきているのは、少しずつ在宅で死ぬ人が増えているからだと思われます。超高齢化社会によって、物理的に病院で亡くなることがで難しくなってきています。在宅医療で看取るという、70年前までの状態に戻りつつあるのだと思います。
5位、肺炎 6位、誤嚥性肺炎
抗生物質の使い過ぎによる耐性菌の問題が大きくなり、根本的に免疫力を高めないと、解決しにくい疾患に変わってきました。寝たきりになって誤嚥性肺炎で亡くなる人も多くおられます。海外では、寝たきりや植物状態になったら、胃に栄養剤を入れて生かすのは虐待だというのが常識になっています。
蒼野が自分のことを考えると、意識がなくなってまで、胃管チューブや胃ろうから栄養剤を注入されながら生きたくは無りません。こういった寝たきりの方の最後が、肺炎であることは多いのです。日本は男性で9年、女性で12年も、健康寿命と平均寿命の差があり、これは世界一です。寝たきりの数も世界一なのが関係していると思います。
病院に入院すると、寝たきりになりやすく、肺炎にもなりやすくなります。病院は病気に対する治療にのみ、保険点数が付いているため、十分なリハビリは難しいのが現実です。例えば、高齢者が転倒し骨粗鬆症のために、大腿骨骨折になると、術後リハビリが復帰の鍵になります。人間は1週間寝たきり状態になると15%の筋力が低下し、3~5週間で50%もの筋肉が無くなります。全身の筋肉低下に合わせて、嚥下のための筋肉も低下するため、誤嚥が多くなり、肺炎を起こします。するとさらに絶食させられ、栄養が入らないまま、ベッド安静が続き、寝たきりになるのです。
入院後に動ける様になったら、動きましょう。自主的な運動が、元の生活に戻れるかどうかの分かれ目になる人は多いのです。そうでなくても、加齢と共に動かなくなり、サルコペニアやフレイルになってしまう人は、普通に暮らしている人の10%います。入院すると多くの人が、ベッド上で過ごすために弱り、復帰が難しくなります。
7位、不慮の事故
高齢の場合は認知機能低下やサルコペニアが誘因になっていることが多いです。
8位、腎不全
腎臓は加齢と共に悪化しやすい臓器ですが、生活習慣で負荷をかけずに守ることができます。70代の3人に一人、80代の2人に一人が慢性腎臓病です。何かのきっかけで腎不全に進行し、死亡の原因になります。食物繊維や抗酸化物質の摂取、運動が腎不全を予防します。
9位、血管性認知症、10位、アルツハイマー型認知症
今後は認知症が大きな問題になります。これも生活習慣が大きく関わっています。防ぐには運動と睡眠と食事が大きな比重を占めています。血管性認知症は脳血管疾患の末になってしまう病態、アルツハイマー型認知症は脳内に、アミロイドβやタウ蛋白などのゴミが溜まる病態です。中年くらいから動脈硬化や脳にゴミを溜めない生活習慣で防ぐことができるのです。
現代医療は西洋医学が全盛です。これはかつての抗生物質の発見で、劇的な成果が得られた過去が影響しています。しかしこれも耐性菌の問題で、人類が勝ったとは言えなくなってきています。1位から10位まで見てみても、不慮の事故以外は、全て慢性疾患です。その疾患になるかならないかに関して、生活習慣が一番大きな要素であることがわかるのでは無いでしょうか?
本来我々の身体には、病気にならないシステムがいくつもあることがわかってきています。最近では老化も病気であるという考え方が段々認知されるようになり、西洋医学も抗老化のシステムを動かすことで、さまざまな病気を防ごうというような方向が出てきています。残念ながら実装されるのは少なくとも30年後以降では無いかと蒼野は思っています。それならば、今できることは生活習慣の改善なのです。
現在の医療は、細分化、専門化されている事が大きな問題です。例えば心筋梗塞を防ぐには、血中LDLコレステロールを80以下にするのが良いという論文が出てから、心臓外科医や、循環器内科医はこぞって、高脂血症薬を使いコレステロールを下げようとしました。確かに心筋梗塞による死亡は減るのですが、脳卒中死に関して見てみると、LDL80以下が最も死亡率が高く、LDLが160以上ある方が低かったのです。総死亡で見るとLDLは120~140くらいが最も死亡率が低く、LDL100以下が最も高いという結果になってしまいました。細分化されたデータだけ見る専門家の言うことを聞いていると、健康をなくしてしまうということもあるかもしれません。
エビデンスが全盛で、正しいとされる世の中ですが、例えば7割の人に効く薬は、素晴らしい薬ですが、3割の人には効きません。その3割の人の中に、薬の副作用が出たらどうでしょうか?良い例がコロナワクチンです。ワクチン接種が進み、コロナの死亡率は1/30になりましたが、ワクチンが引き金となったサイトカインストームで亡くなっていると思われる若い方は、稀ですがおられますよね!
薬や医療は大部分の人に、ある程度の確率で効果があるものしか無いのです。積極的に治療することによって、思わぬ結果になることはかなりあると思われます。証明することはできないので、大きな問題になっていないだけで、例えば1973年にイスラエル全土で、1ヶ月間、医師のストライキが決行された時には、診察する患者の数が1日あたり6万5000人が、本当の救急のみの7000人になりました。その結果、同国の死亡率が半減しました。しかし病院が再開したら、元に戻りました。
高齢になると複数の疾患を患う事が多くなります。現在では75才以上の40%が5種類以上、25%が7種類以上の薬を服用しています。そしてその有害事象は15%も認められます。1剤なら副作用までちゃんと調べられていますが、一度に多種類の薬を飲むと、どんな反応が起こるかは正確には分からないのです。
人間の体は未だにブラックボックスです。全ての臓器や、反応がつながっており、バランスを取っています。生活習慣は我々の細胞一つ一つに対するメッセージです。遺伝子はメッセージによって、さまざまな反応を見せます。良いメッセージを届ければ、健康が維持できますし、悪いメッセージだと、バランスが崩れ不調、病気になります。
医療や薬は、一つの反応を強く起こさせる特別なメッセージです。どんなに良いものでもやり過ぎはバランスを崩して、思わぬ副作用があるのです。副作用無しに、健康を取り戻す方法は、生活習慣です。食事、運動、睡眠、ストレスコントロールが良好であれば、人間はそう簡単に健康を失ったりしません。360度の健康を取り戻す環境に身を置いて、少しずつでも生活習慣を変えてゆく必要があるのです。
人間は、誰でも自分は病気をしないとか、今まで大丈夫だったのでこれからも大丈夫という認知の歪みを持っています。また変化を嫌うという本質も持っています。ストレスを過剰に受けないための脳の仕組みですが、そのために生活習慣が変えられない人が多いと感じます。
いざ病気にになれば、元通りにはならないということは、多くの患者様を見ていてそう思います。健康は無くした時に、初めてありがたさに気づくのです。日々の忙しさの中で、健康な生活習慣に取り組むことを後回しにしないよう、皆様には現代医療の限界も知っておいてほしいと思います。
内容が多すぎてざっとした記事になってしまいましたが、長年医療者として感じていることを言語化してみた蒼野でした。
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