水分不足は万病の元!

2022/04/15

 少し暑い日も増えてきましたね。地球温暖化の影響なのか、年々、春や秋なのに夏のような日が増えてきている気がします。暑くなると特に重要なのが水分摂取です。健康にはとても重要なことなのに、蒼野はまだブログに書いていなかったことに気付きました。今日は水についての話題です。

 蒼野は外来の血液検査で、しばしばBUN(尿素窒素)が高い人を目撃します。BUNは体内で余ったアミノ酸を、安全な形で排出するためのものになりますが、脱水の際によく上昇が見られるものです。腎臓が悪かったり、消化管出血があったり、タンパク質を食べすぎてなければ、通常は水分摂取が少ないのではと疑います。

 特にお年寄りではBUNが上昇している人が多いように思います。聞いてみると、水が飲めていない人がとても多いです。喉が渇いてから飲むとか、コーヒーやお茶しか飲まないとか、頻尿が辛いのでなるべく我慢するといった声が聞かれます。しかしこれは、命にも関わりかねない危険な習慣なのです。

 水分が健康な身体に必要であることは皆様ご存知ですよね! 脱水になると熱中症リスクはとても高くなります。中高年で多発する脳梗塞や心筋梗塞なども、水分摂取量の不足が大きなリスク要因のひとつになります。年々低下する腎機能に関しても、脱水で悪くなっていて、水分摂取を増やしただけで、改善する人も多いのです。

 厚労省のホームページなどでも、成人が1日に必要な水分量は2.5Lと書いてあります。毎日我々は、尿量は約1,500ml、便は約100ml、呼気と汗で約900ml排泄されます。最低でもこれは確保する必要があるのは理解できますよね!年齢や体重や活動量によって、必要量が変化するので指導するときには考慮が必要です。

 身体の中で代謝で作られる水分は300ml、食事から摂れる水分量は、1000mlと言われています。食事はスープや味噌汁をよく飲む人と、固形のものばかり食べる人ではかなり違いが出てしまいますので、自分の食事内容も考慮する必要があります。一般的には、残りの1200mlが最低限、純粋な水分で摂る必要があるということになります。

 もちろん身体の大きさによっても考慮が必要なため、蒼野は体重×40ml、60kgなら2400ml程度が、1日に必要な最低水分量と考えています。これから1300mlを引いた1100mlが、1日に飲まなければいけない水分量です。運動したり、サウナに入ったりして、発汗が増えるようならその分プラスが必要となります。

 ネットなどでは、体重×35ml~体重×40mlを水分で飲むように書いてあるため、蒼野も最初はそんな風に指導していたのですが、外来に来る90kgのお年寄りに、3.6L/日飲むようお話ししたら怒られました! 無理な量を指導しても仕方が無いため、最近ではマイナス1.3Lして指導するようにしていますが、それくらい飲めている人も、本当に少ないと思います。

 日本人の約70%が、1.5L/日の水分量が確保できていないということが、18~59歳の男女1142人の調査で判明しています。アメリカでは男性3.7L、女性2.7L。欧州では男性2.5L、女性2.0Lが、国が決めている適正水分摂取量となります。日本に比べるとずいぶん多いですね。

 水分を確保するコツは、なんといってもこまめに水を飲む習慣の定着です。忙しい現代人はこれができにくいですよね。普通には喉が渇いてから飲む人が多いと思います。この時点でかなりの脱水になっている状態ですので、健康リスクを減らすには、渇く前に飲むことが必要となります。

 ヒトは食べ物がなくても、水さえあれば1ヶ月近く生きることができます。しかし、水が1滴も飲めないと、2~3日で生命維持は困難となります。体から水分が1%の損失で、のどの渇き、2%でめまいや吐き気、食欲減退などが現れます。そして10~12%の損失では筋けいれん、失神、20%の損失では、命を落とす危険性も出てきます。

 筋肉には水分を蓄える働きもあるため、トレーニングをしていれば脱水には強くなります。年齢とともに筋肉量が低下することと、加齢で感覚が鈍化することにより、喉の渇きにも気づきにくくなる高齢者は、脱水症状に陥りやすく、特に注意が必要です。

 しっかり水分を摂ることでの健康メリットは沢山あります。肌や髪は体内水分が多いと、美しく、若々しくなります。水分が多いことで老廃物や添加物や環境汚染物質などのデトックス効果も上がるため、美容効果、アンチエイジング効果が認められます。細いモデルさんが毎日2L以上飲むのも納得です。

 便秘解消効果も大きいです。健康な成人女性を対象とした研究では、1日1,300mLの水または麦茶を5日間摂取した結果、便秘の自覚がある人は排便回数が増加したという結果が報告されています。蒼野も昔は飲み過ぎたりすると、お通じが硬くなっていました。アルコールは利尿作用と、代謝するのに水分を使ってしまうため、脱水になりやすい飲み物です。

 血流改善効果は、血管障害の予防に重要です。脱水で血液がドロドロになり、サウナで脳梗塞になる人はしばしばお目にかかりました。心筋梗塞も怖いです。しっかり水分量を確保することは、生活習慣病の予防に役立ちます。女性であれば、冷えの予防にも有用です。筋トレで筋肉も増えやすくなります。活力増強にもつながりますよ!

 血流が良くなれば、細胞が活性化し、代謝もアップし、消費カロリーが増えます。食事中の飲水は消化液が薄まってしまうため、できれば食事の30分前が良いと言われています。しっかり水分摂取してから食事を摂れば、食欲も落ち着きやすく、ダイエット効果が期待できるのです。

 ミネラルウォーターを飲むと、CaイオンやMgイオンの効果で、リラックスしやすくなります。交感神経が沈静化するため、自律神経が整い、免疫力も上昇します。プロゴルファーも何百万円が掛かったパットの前には水を飲んで落ち着かせると聞いたことがあります。

 外来で水を飲まない理由を聞いていると、おしっこが近くなるからと言う人は結構多いです。しかしデスクワークが多い現代人こそ、水分は常備しておき、こまめに飲んでトイレに行くのが良いと蒼野は思います。ずっと座っているのは、本当に身体に悪いですし、トイレの度に肩回しなどの体操をすれば、肩こりの予防になることなどもあり、メリットがいっぱいです。

 高齢者の場合は、トイレの回数が多くなるだけでも、フレイルの予防にもなります。夜中のトイレで寝れなくなるとの意見もありますが、2回以上行く場合には、食事の塩分を減らすことや、昼間にしっかり摂って、夕方以降摂取を控えること、夜のアルコールやカフェインを控えることなどを気をつけてみましょう。

 飲み物としては、天然水、ミネラルウォーターや炭酸水、ノンカフェインのお茶などがおすすめです。添加物や糖分、カフェインが入ったものは出来るだけ減らしましょう。お酒は水分では無いためカウントに入れてはいけません。日本の水道水は厳しい安全基準を満たしていますが、塩素やトリハロメタンなどが気になる人は、避けた方がBetterだと思います。

 意識して飲まなかった頃のBUNはいつも高値で、朝のどがカラカラになって目覚めるのが普通だった蒼野でした。誰もが必要な水分!毎日たっぷり摂りましょうね。

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。