恋の魔法と脳内化学物質!

2023/04/13

 このところ遺伝子の働きに関して、知りたくて仕方がない蒼野です。今日は恋愛感情というメンタルの変化が、遺伝子に働いて、実際に脳内化学物質が変化し、そのバランスの変化によって、行動が変わるという事について書いてみたいと思います。

 自分の体験を思い出すと、ちょっと恥ずかしいのですが、恋愛の始まりって『恋煩い』とも呼ばれるように、人が変わってしまいますよね! この時に脳内でどんなことが起こっているのか、まだ全ては明らかにはなっていないようなのですが、分かる範囲で解説してみたいと思います。

 自分の好みのルックスや体型などから始まって、性格や価値観、共通の趣味や関心などを知ると、相手に魅力を感じます。無意識のうちに、遺伝的適合性をフェロモンから判断し、種の保存の本能が呼び起こされるのです。

 この時、脳内のセロトニントランスポーター(SERT)の発現が低下し、再取り込みが抑制されるため、セロトニンの働きが弱くなります。セロトニンが減ると、ドーパミンの影響が強くなり、アドレナリン、ノルエピネフリンも分泌が亢進し、興奮してハイな状態になりやすくなります。まるで麻薬中毒患者の脳内です。

 セロトニンは情緒の安定や、自律神経の調節(食欲なども)、アラート機能などに関与しています。恋愛中は、相手のちょっとしたことが気になって取り乱したり、変な心配をしたり、相手の言葉を何度も思い出したり、メールを見返したりします。食欲に関心がなくなって、食べるのを忘れたりします。アラート機能が低下するため、相手の悪いところも見えなくなるのです。

 「恋は盲目」とか、「あばたもえくぼ」というのはその通りなのです。一緒にいると、ドーパミンとアドレナリンで、この上ない陶酔感や、ドキドキ感、顔が赤くなったりします。オキシトシンのレベルが上昇し、2人の親近感、結びつきは強くなります。ノルエピネフリンのレベルが急上昇し、時間の感覚が分からなくなります。

 これに伴って、痛みが抑制されたり、記憶力や創造性が向上することもあります。ロマンチックな恋愛は、遺伝子の発現を劇的に変化させ、脳の働きを活発にする、超能力か何かのようです。脳内の快楽中枢が刺激され、心地良さの閾値が下がるため、全てが素晴らしいと感じられるのです。思い出してみると、夢のような、青春の思い出ですよね!

 逆にセロトニン濃度が下がりすぎると、リスクもあります。強迫性障害のような状態となり、実らない恋のために、傷害事件が起こったり、無理心中が起こったり、ロミオとジュリエットのような悲劇も起こります。会うたびに毎回好きかどうか確認するのは、この時期です。

 しかし残念ながら、この超能力はずっとは続きません。恋愛関係が長期にわたるにつれて、一時的なドーパミンやセロトニンの働きが変化します。新鮮さが失われることで、意識への刺激が少なくなり、ドーパミンによる興奮やハイな感覚は弱まります。しかしセロトニンが戻ってくることで、情緒が安定し、ストレス緩和に寄与するようになります。

 触れ合うことでオキシトシンの分泌が続き、バソプレッシンがパートナーへの愛着や忠誠心を形成します。これが「恋が愛に変わる」ということなのだと思います。一方ドーパミンを求め続ける人では、関係が終わりやすくなったりします。個人差はありますが、一般的に、ドーパミンは2~3年程度で減少し始めます。

 セロトニンが戻ることで、恋愛中は気付けなかった、相手の欠点も気になり始めたりします。「3年目の浮気」とか、「数年での離婚」は、脳内伝達物質のイタズラかもしれません。お互い少しずつ、コミュニケーション、相互理解、信頼関係を深めてゆき、他の伝達物質を安定させることが、大切なのだと思います。

 それを支える物質が、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンや、浮気防止ホルモンと呼ばれるバソプレッシンです。これらを安定させることで、愛は深く落ち着いたものに変化していきます。ロマンティックではありませんが、幸福が脳内化学物質であるように、愛も脳内化学物質なのです。

 同じ相手と一生添い遂げるという特徴を持つ、プレーリーハタネズミでは、交尾後のオスの脳内には大量のバソプレッシンが分泌され続けることがわかっています。実験的にバソプレッシンをブロックすると、プレーリーハタネズミと言えども、あっという間に別れてしまうそうです。

 我々が、夫婦円満で添い遂げるためには、これらの脳内化学物質がカギを握っています。ちなみに、バソプレシンは、一般的には脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモンで、腎臓に働いて尿を濃縮する作用があり、体内の水分バランスをコントロールしています。バソプレッシンが出ないと尿崩症といって1日に3~20Lも出て命に関わります。夫婦円満の作用は医学部では習いませんでした。

 それでは、オキシトシンやバソプレシンをキープする方法について書いておきます。

① 抱擁やキス、手をつなぐなど、互いのスキンシップを大切にして、オキシトシンの分泌を促します。

② 共有できる趣味やアクティビティを見つけ、一緒に過ごす時間を増やし、コミュニケーションをとって、理解し合い、信頼関係を築くことが重要です。

③ 様々な問題に対して、互いに助け合い、サポートし合うことで、お互いをより大切に思う気持ちが育まれます。

④ お互いのストレスや悩みに気づいて、積極的に共有し、助け合うことで、夫婦間の信頼関係が深まります。

 蒼野夫婦は、先日結婚30周年を迎えました。娘も同居していて、趣味も違うので、①、②はちょっと自信が無いです。母親の介護や、娘の話、ペットの世話などは、一緒に出来ているかもです。一緒に(別々にはなりますが)サウナに行ったり、疲れていたら足裏のマッサージくらいは、やったりします。もう空気のような存在でもあり、あまり意識していないのですが、考えてみれば有難い存在ですよね!

 確かにパートナーがいなくなると困るなあ! コロナも明けたので、元気なうちに一緒に旅行したり、食べに行ったりすることも計画しようと思った蒼野でした!

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