マヨネーズは太らない!?

2022/04/14

 皆様はマヨネーズは好きですか? 蒼野は大好きです。脂肪が多くカロリーが高いということで避けられてきたマヨネーズですが、実はダイエットに最強、最適であることがわかってきました。今日はそんな話題です。

 1986年に米国やオランダ、イタリア、日本など7カ国が参加したコホート研究 Seven Countries Studyが行われました1)。その中で、大量に脂肪を摂取する米国人は心筋梗塞が多いというデータから、脂質をとらないほうが動脈硬化の予防になるのではないかという概念が広まり、脂肪が悪者で炭水化物をもっと取りましょうということになりました。

 炭水化物を50~60%、脂質を40⇨30%(特に飽和脂肪酸は10%に減らす)、コレステロールを300mg/日に減らし、砂糖、塩分を減らすという指導が全米で行われました。今見ても悪くないのではと思う人もいる割合ですよね! 動物性脂肪が悪いと言うのが一般的で、マーガリン、キャノーラ油が勧められるようになり、ローファット商品も沢山出てきました。

 その結果、30年間で脂肪摂取率は36.9%から32.8%と4.1%減少、糖質摂取比率が42.4%から49.0%と7.6%増加しました。しかし肥満者の割合は激増し、米国人のなんと1/3以上が肥満となり、2型糖尿病の患者さんも166%増加しました。

 元になった研究にはフランスとドイツは参加しておらず、そこに大きなミスがありました。フランス人はあれほど脂肪を採っているのに、なぜ心筋梗塞が少ないのかという疑問は、フレンチ・パラドックスと言われ、赤ワインが良いのでは、ということになっていたのですが、違っていたのです。

 21世紀になってから、本当は脂肪を採って炭水化物を減らした方が良かったという考え方が生まれ、研究されるようになると、「糖質制限は、低脂質食よりも減量効果に優れる」とか、「血糖改善に優れる」といった様々な報告が出てきています。まず2008年にアメリカ糖尿病学会が、肥満の改善効果を見て、糖質制限食を受容することになりました。

 現在では「食品から摂取するコレステロールや脂質の量を控えても、心臓病の予防にも肥満の予防にも繋がらない」というエビデンスが、新たな常識となっています。最新の栄養学では、「いい油を積極的にとろう」という考え方に変わってきました。

 さらに研究で、オリーブオイルやナッツに含まれる油、また、魚に含まれる油は、循環器系の病気のリスクを減らす、という研究結果が数多く集まっています。それでは良い油とはどんな油なのでしょうか?肉やバターなどの脂はダメなのでしょうか?

 シドニーダイエットハートスタディでは、飽和脂肪酸をリノール酸(オメガ6)に切り替えると新血管疾患による死亡率が増加しています。飽和脂肪酸の摂取の多い集団のほうが脳卒中が少ないというデータが2013年のJPHC、日本の多目的コホート研究で示されました。

 その結果を見ると、飽和脂肪酸に偏らなければ、減らす必要はないということになります。 ただ、トランス脂肪酸と過酸化脂質は取るべきではありません。肥満を防ぎ、健康的に生きるために、皆様はおいしい脂をしっかり摂ることが重要のようです。

 こうした新たな知見から、皆様が抱いてきたダイエットの常識で、見直さなければならないものが、たくさんありそうですよね。肥満の原因は炭水化物(糖質)の取りすぎによるインスリンの過剰分泌によるものです。極端な言い方をすれば、どれだけカロリーを摂取しても、インスリンの分泌量を抑える食べ方をしていれば、やせることができるということなのです。

 そのためには血糖値が上がらない食事の組み合わせが重要です。和風パスタは、だしや醤油の味つけで、砂糖やみりんが多く含まれています。一方、カルボナーラは、チーズ、生クリーム、卵、ベーコンなど、血糖値を抑える「タンパク質と脂質」が豊富です。実はカルボナーラの方が太りにくいのです。

 おやつのショートケーキやシュークリームと大福や煎餅も同様です。血糖値の上昇を抑制するタンパク質や脂質が含まれているショートケーキやシュークリームの方が太りにくいのです。もちろん沢山食べ過ぎれば、糖質量が多くなるため太りますのでご注意を!

 肥満の解消のためには、ある程度の糖質制限は絶対に必要です。ここで見落としがちなのが、調味料に含まれる糖質です。中でもドレッシングは、あまり気になりませんよね!最初に野菜を食べるのに、糖質の多いドレッシングをたっぷりかけてしまうと食後高血糖につながり、インスリンの過剰分泌につながってしまいます。

 マヨネーズは、実は糖質量が少なく、血糖の上昇を抑える脂質、タンパク質が豊富に含まれているため、食後高血糖を起こしにくいダイエットには最適の調味料なのです。応用範囲も広いため、蒼野も沢山使っています。ドレッシングなら、糖質が少なく、脂質、タンパク質が豊富なシーザーサラダドレッシング、フレンチドレッシングが良いでしょう。成分表を必ずチェックして買いましょう。

 他に注意が必要な調味料としては、とろみのついた餡には片栗粉が沢山使われています。ウスターソースやトマトケチャップ、オイスターソースやお好みソース(蒼野は広島人なので、これはかけてしまいます……)、様々なたれにも意外に多くの糖質が含まれているので、たくさん使うのは控えたほうがよいでしょう。

 皆様の食事の意識が、少しだけ変われば幸いです。炭水化物(糖質)も、脂質と一緒にとることで、血糖値の上昇が抑えられるだけでなく、満腹感が長続きします。白ごはんよりチャーハン、アイスキャンディーよりハーゲンダッツです。あんこが食べたければ、バターと一緒に食べましょう。

 カロリー制限に頼る、今までのダイエットは、続けることが難しく、リバウンドしやすいダイエットです。リバウンドをしないダイエットのカギを握るのはホルモンの働き。特に脂肪の蓄積と密接に関係のあるインスリンです。食後の血糖値スパイクを防ぐことが重要です。

 蒼野がお勧めするダイエットは、痩せるまでは糖質を抑えたケトジェニックダイエットです。脂質、タンパク質をしっかり摂りながら、糖質量は50g/日以下で一気に目標体重を達成し、その後はファットアダプトで血糖スパイクを防ぐように、1食の糖質量を40g程度でキープする方法です。

 一つ問題になるのはアルコールです。アルコールが入ると、肝臓がアルコールの代謝を優先するため、飽和脂肪を一緒に摂取すると、血中の中性脂肪がエネルギーにならずに、脂肪細胞に蓄積されてしまうのです。糖質制限しても痩せない方は、このパターンになっていると思います。また糖質制限せずにマヨネーズを沢山かけると太るので、ご注意を!

 蒼野も糖質は大好きです。でも脂肪も美味しいですよね!人類は飢餓の歴史を生きてきているため、エネルギーとなる糖質と脂肪が本能的に大好きです。脂肪優先にすることで、脳の報酬系を満足させれば、リバウンドしないダイエットが可能だと思っており、自分でも日々実践していて、体重はキープできています。

 毎日、マヨネーズを野菜にいっぱいかけて、ラカント入りホイップクリームを食べても、痩せたままの蒼野でした。

参照文献:
1)The diet and 15-year death rate in the seven countries study. American Journal of Epidemiology, 124(6), 903-915. 1986

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