ミラクルフルーツと味覚の重要性!

2022/02/14

 今日はちょっと変わったフルーツの話を書いてみます。蒼野は食べたことがないのですが、ミラクルフルーツ(Miracle fruit)という大層な名前のフルーツです。西アフリカ沿岸部の一部に自生する低木で、どんぐりのような赤い実をつけます。

 ミラクルフルーツは、レモン等のすっぱい物、いわゆる酸味のある食べ物や酸味飲料を、甘く感じさせる不思議な果実なのです。果実に含まれるたんぱく質「ミラクリン」が甘味の味蕾(みらい)に結合し、酸性条件下、つまりすっぱいものを食べることで、甘味の味蕾を活性化させるのです。

 舌を麻痺させたりして、酸味を感じさせなくするわけではないので副作用もありません。例えて言うなら甘い味が四角い形をしていると仮定し、それが甘い味覚を感じる四角い味蕾にピッタリはまると甘みを感じるとします。三角のミラクリンと三角の酸っぱい物が合わさって、同時に四角い味蕾にはまったら、甘みを感じるという原理なのです。

 これは甘いものが食べたい人の、甘味として使うことで、糖質過多による糖尿病やメタボリックシンドロームを防ぐために応用できると考えられています。うまく使えれば医療費を削減できる可能性があるため、生活習慣病の予防のための利用が期待されています。

 実際には、ミラクルフルーツの実を2分程舐めた後に、レモンやグレープフルーツ等の柑橘類やトマト、お酢、ヨーグルト等を食べると、とても甘く感じます。甘味を感じる効果は舐めてから約30分~60分で個人差があるようです。

 日本国内でもミラクルフルーツの人工栽培が行われているのですが、収穫すると1週間ほどでミラクルフルーツが劣化して、ミラクリンが消滅してしまうため、流通は困難とされていました。しかし収穫後に種を取り除き、実の部分だけを氷点下20度以下で乾燥、粉砕することでミラクリンを壊すことなく錠剤化することに成功し、利用への道が開けました。

 糖尿病患者は、ミラクルフルーツを先に口に含んでから、体が欲する甘みを、酸味のきいた低カロリーのゼリーなどで食べることができます。甘みを我慢をしなくて済むため、糖質を抑えた食事を続けることができるため、実験ではミラクルフルーツの実を3~4カ月食べ続けることで、糖尿病患者の患者のヘモグロビンA1cが正常値に戻ったケースが確認されました。

 原産地である西アフリカでは、古くから、すっぱいものと一緒にミラクルフルーツを食べてきました。生のミラクルフルーツは、苗などが市販されているため家庭菜園で育てることも可能です。最適気温を15℃以上に維持すれば、一年中、開花と結実を繰り返します。ただ、植え付けから開花までは、5年程度かかるため、気長に待つ必要があります。

 ここで味覚について少し考えてみます。人によって個体差が大きい味覚は、胎児として羊水の中にいる時から、発達が始まります。妊娠中に、にんにくや唐辛子など多く食べた場合には、羊水に匂い成分が入り、その子の味覚に影響がおよぶため、その味が好きになるという研究結果があります。

 好き嫌いなくなんでも食べれるようになるためには、3歳までに味覚の発達を促すことが大事です。多くの種類の食材を何度も食べさせ、さまざまな味わいを経験させるのです。本来は苦味は本能的に毒であると感じて、避けるのですが、幼少期に口に入れたことがあれば、セロリなどの苦味がある野菜も、食べれるようになるのです。

 特定の食べ物が好物になるのもこの時期です。幼少期に食べて美味しかった記憶は、お袋の味として、ずっと残るため、大人になっても食べたくなるのです。食品会社の戦略として、小さな子どもにターゲットを絞り、「ハッピーセット」などのようなおまけをつけて、一生食べ続ける人になるよう刷り込むのです。

 味覚に関連する重要な要素は、匂い(風味)です。匂いは感情の記憶として脳と密接に関連しています。味覚は食べた時に舌で感じた味と匂いが組み合わさって、脳でおいしさを感じるのです。美味しかった時には、その時の思い出と一緒に、強烈に脳にその記憶が刻まれます。

 味覚は、その食べ物を摂取すべきか、すべきでないかを判断するために、必要不可欠な能力です。本来酸味が 未熟な果実や腐敗物、苦味が毒物の存在を示すシグナルですので、子供は嫌います。味覚によって食べ物の状態を判断し,好ましい味であれば飲みこみ, 受けつけられない味であれば吐き出します。

 加齢によって味に対する感度が低下するため、若齢者よりも高齢者の方が、より味の濃い食品を好むことが報告されています。味を感じる味蕾の数の減少が指摘されています。乳幼児期に比べて、高齢者(74~85 歳)になると 味蕾の数は1/3 程 度にまで減少するそうです。

 高齢者になれば、味覚が低下するために、調味料で塩や砂糖を使いすぎないように注意が必要です。高血圧や糖尿病の要因にもなるため、意識しておく必要があります。味覚は脳の報酬系とも密接に関連しており、カロリーの高そうな、甘いものに目がない人は多いのです。

 甘いものがどうしても食べたい、糖尿病リスクが高い人や、既に糖尿病になっている人などにとって、ミラクルフルーツの利用は、とても良い選択肢になるかもしれませんね! 蒼野も面白いので一度試してみたいと思っています。

 皆様にとってお袋の味とか、思い出の味ってなんでしょうか? 蒼野は広島出身なので、定期的にとても食べたくなるのは、広島風お好み焼きです。コロナでなかなか帰れませんが、広島に帰ると必ず食べに行くのですよ!

 今日は豆知識的な、軽い話題になってしまいました。また明日から頑張りますね!

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