ミトコンドリアの増やし方!

2022/08/08

 蒼野が最近ブログを書いていて思うのは、抗老化の話にも、免疫の話にも、運動の話にも全てにミトコンドリアというものが、関係しているということです。今日はわかっているようで、知られざるミトコンドリアについて、深掘りしてみたいと思います。

 まずはミトコンドリアと我々の細胞の出会いから…。15億年前の地球は、高濃度の酸素に満ちていて生物が住みにくい環境でした。その中に酸素を使ってエネルギーを作る方法を会得したバクテリアが生まれ、環境に順応してゆきました。

 このバクテリアの一種が、他の動物の細胞内で繁殖する共生関係となり、二つが組み合わされた細胞が10億年の間に進化し、植物や動物、そして人間を作る細胞になりました。このバクテリアがミトコンドリアで、酸素を取り込み、エネルギーであるATPを作ることで生命を支えています。

 ヒトの全ての細胞にはミトコンドリアが、数百~数千も入っており、呼吸器で酸素を取り込み、それを血液に乗せて、身体の隅々の細胞にまで循環器系が血管網を介して運びます。腸から吸収した栄養と酸素を、ミトコンドリア内で反応させて、我々を生かし続けるATPを常に産生し続けているということです。

 逆にいうと我々の全細胞は、機能するためにATPが必要であり、ミトコンドリアが元気であれば、健康に過ごすことができるということになります。ですから、ミトコンドリアというレンズを通して、健康を考えてみるというのもとても重要な考え方になるのです。

 ミトコンドリアは、全身の細胞に1000兆個存在します。各ミトコンドリアは毎秒600個のATPを生成しています。すごい能力ですよね! 若い人がエネルギーに溢れているのはこのためです。しかしミトコンドリアは30代以降減少してきます。病気とはミトコンドリアが足りなくなった状態という見方もできるのです。

 身体には悪くなったところを治す力、自然治癒力が備わっています。治すためにはエネルギーが必要です。エネルギーが十分にあれば、すなわちミトコンドリアが十分にあれば、病気になっても、健康に戻すことができます。ミトコンドリアを減らさず、増やしてゆくことが健康につながるのです。

 さてミトコンドリアを増やすにはどうしたら良いのでしょうか? それは細胞にエネルギーが不足していると認識させることです。一つは脈拍が上がるような、少しキツい運動をすることです。細胞の中には細胞内のATPの量を監視している酵素があります。少しキツい運動をすると、ATPが不足し、この酵素がONになるため、ミトコンドリアが分裂を始めます。

 HIITのブログでも書いたように、その指標が、スタミナ、持久力の指標でもある最大酸素摂取量(VO2max)です。VO2maxが高い人はミトコンドリアが多い人ということになります。全身持久力が低い人の死亡率が、3~4倍も高くなるというのは、ミトコンドリアから考えると納得できると思います。

 HIITがハードルが高いという人には、ミトコンドリアを効果的に増やす運動としてオススメなのは「インターバル速歩」です。1、ややきつめの早歩き3分、2、次に普通の速度で3分、を繰り返すだけです。普通の速度ではミトコンドリア増加のスイッチが入りにくいのです。ややキツめの早歩きがポイントになります。

 次は姿勢です。背筋にはミトコンドリアが多く存在します。二本足歩行を行うヒトでは、姿勢を維持する筋肉で多くエネルギーを使うためです。日中背中をピーンと伸ばし、良い姿勢を維持する人は、ミトコンドリアが増えやすいのです。猫背になると老け込む、また老けると姿勢が悪くなるというのはこの裏返しなのでしょうね!

 忙しい人には、通勤の行き帰りの1分間だけの早歩きや、階段を登るときの1段飛ばし、隙間時間のスクワットなどでも、ミトコンドリアスイッチはONにすることができます。習慣化することによって、スタミナがつき、バテにくくなり、歩くのが楽になり、疲れにくくなります。

 ミトコンドリアを増やす食事も、エネルギーの不足を細胞に認識させることがキーとなります。つまりカロリー制限や断食です。食事を25%以上減らすことで、ミトコンドリアは増えやすくなります。皆様お気づきのように、これはオートファジーの活性化でもあり、長寿遺伝子の活性化の食事でもあります。

 ミトコンドリアを増やせば、健康長寿が達成できるとも言えるのです。ミトコンドリアを増やすスイッチには、長寿遺伝子を活性化することとも繋がっており、話題のサプリ、NMNの効果の一つがミトコンドリアを増やすというのも納得できます。

 食材としては、タウリンが必要です。「ファイトー! いっーぱーつ!」の栄養ドリンクもタウリン1000mg配合ですよね。タウリンが不足しているとミトコンドリアは増えにくいようです。ビタミンB群と鉄も、ATP産生に必要です。

 タウリンは、たこやイカ、牡蠣、サザエやホタテなどの魚介に多いです。ビタミンB群は豚肉、うなぎ、レバー、牛乳、玄米、卵、納豆などに豊富です。鉄分はレバー、あさり、納豆、のり、ひじき、切り干し大根、大豆などに多く含まれます。

 サプリメントとしては、ミトコンドリアを増やし、活性酸素の害を減らしてくれる還元型コエンザイムQ10は重要です。ミトコンドリアを活性化しすぎると、ミトコンドリアが作る活性酸素が余ってしまい、身体を酸化してしまいます。上記の食材を含む、バランスの良い和食と、還元型コエンザイムQ10の摂取は、ミトコンドリア強化法の食事としてオススメです。

 激しい運動をしすぎると、かえって身体を傷めてしまうのはこのためです。活性酸素が処理できる範囲内でミトコンドリアを使うことが大事なこととなります。そのためには、十分な睡眠、適度な運動、ストレスや疲労の軽減が大切です。さまざまなストレスは、ミトコンドリアの活性酸素の過剰生産につながり、DNAの損傷、細胞の酸化によって、癌や老化を引き起こします。

 さらにエネルギーの不足を細胞に認識させる方法として、寒冷刺激が挙げられます。これもオートファジーと、長寿遺伝子活性化の方法と同じになります。このことからミトコンドリアを増やすことが、健康長寿につながるということを、蒼野もあらためて認識しています。

 ミトコンドリアに負担をかける生活習慣としては、早食い、ドカ食い、寝る前の食事、アルコール摂取などです。サーカディアンリズムに従い、日中はATP産生を促し、夜はATP産生を抑える生活が理想です。食事の量のバランスは朝>昼>夕にすることが理想のようです。

 ミトコンドリアの話は深いです。まだまだ書きたいことはあるのですが今日はこの辺で! 今日の夕方はできるだけ早足で息を切らせながら帰った蒼野でした。

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