今日はLINEに質問頂いたことに対するお答えブログです。177cmの中年男性ですが、1食抜きの食事にしてから、体調は良いのですが、5kg程痩せて現在56kgしか無いので、もっと体重を増やしたいと言うご希望です。現在のBMIは17.87。最も健康的と言われるBMI22で計算とすると、12.92kgも足らないと言う事になります。
元々太れない体質とのこと、希望的には63kg位で筋肉質になりたいと言う御希望です。出来れば健康のために1食抜きは続けてみたいとのことです。現在体調は問題なく、睡眠は7時間、朝散歩は欠かさない生活とのことです。と言うことで蒼野なりに対策を考えてみたいと思います。
基本事項から書いてみます。体重が増えると言うことは、身体が成長モードになっていると言うことです。原始時代から、人類は栄養たっぷりの時に、少しでも栄養を溜め込んで、次の飢餓に備えてきました。タンパク質や糖質(炭水化物)を摂取するとインスリンが分泌され、余ったエネルギーは、脂肪として貯蔵されます。
逆に飢餓状態、栄養やエネルギーが不足状態の時には、身体は省エネモードとなり、体内の脂肪をエネルギーに変えたり、毎日の細胞の新陳代謝に必要なアミノ酸は、出来るだけ減らしたくはない筋肉を分解して調達する事になります。よって、筋肉も脂肪も、成長モードなら合成、省エネモードなら分解というように、常に綱引きをしている状態であるという事です。
筋肉だけを増やすというのは、筋肉だけを成長モードにするという事なので、自然の理屈から言うと難しいです。また元々脂肪の場合は合成が優位で筋肉の場合は分解が優位という性質も有ります。筋肉はエネルギー消費量の多い組織です。必要以上には付かないようにすると言うことは生存のためにも必要だったのです。
ですから少食の方が、食事を抜いたりすると、省エネモード優位が続くため、脂肪だけでなく筋肉も落ちやすくなり、どんどん体重も落ちてしまいます。成長モードになる=インスリンが出ている間は脂肪も筋肉も減りにくいため、体重を増やすためには、インスリンが出ている時間を増やす必要があるのです。
これは蒼野自身も経験があります。事故からの復帰のために、複視が細胞のオートファジーによって少しでも治らないかなと思うこともあり、また同時にボディメイクしたいという思いもあって、毎日16時間断食を始めると、体重はするすると落ちて行き、3ヶ月くらいで6kg痩せて、BMIは20.3、体脂肪率は9%まで落ちました。体重は毎日サッカーで走っていた大学時代と同じになったのです。
しかし還暦過ぎての痩せは家族には不評でした。自分では満更でも無かったのですが、「おじいちゃんみたい」と言われ心外な思いをしました。確かに週4回は筋トレして、毎日1万歩歩いていたのに、タニタ食堂でbody scanしてみると、筋肉量も退院時よりも3kgも減っていたのです。歩き過ぎると筋肉も減ると言うことも体感しました。
元々糖質制限を10年くらいしていて、さらにファスティングした事で、省エネモードが全開になったと思われます。インスリンが出る事で、身体は成長モードとなるため、糖質制限を緩めて、少し炭水化物を増やすようにすると、徐々に筋肉量も増えてきて現在に至ります。
数値で言うと、BMI20.3→22.2、体脂肪率9.2→11.0%、体重55.9→60.5kg、筋肉量48.2→51.0kgと、脂肪も筋肉も増えてきました。家族におじいちゃんと言われなくなったのと、ちょうどBMIが良い数値になったので、これをキープして行こうと思っています。
自分の経験からも、筋肉を増やして、体重を増やすにはある程度は脂肪も増やす必要があるのです。ボディビルダーの筋肉の増やし方は、計画を立てて、筋トレをしながら、それ以上のカロリーを摂り、脂肪と筋肉を同時に増やしてゆきます(バルクアップ)。そこから減量し、筋肉も少しは落ちますが、脂肪をより多く落とすことでムキムキの身体に仕上げるのが一般的です。
この方法は、すごい身体になるためには必要な事の様ですが、健康長寿が目標である蒼野としては、全面的にはお勧めできません。バルクアップ時の食事は、インスリンをより多く出す必要があります。そのためには糖質も量を摂る必要があります。体内に酸化や糖化、炎症を起こし、老化を進める血糖値スパイクができる様な食べ方になってしまうからです。
中高年以降になってから、無理をすると病気につながる可能性も否定はできないため、血糖値スパイクをなるべく作らない様にしながら、増量を図りたいのです。そこでお勧めなのは、日替わりでファスティングと分食を行う方法です。
分食というのは、1日6食とかに分けて少量ずつ食べてゆく方法です。血糖値スパイクを作らないように、糖質を1食40g以下にしながら、タンパク質を多めに食べて、筋トレを行います。インスリンが出ている時間が長時間になる分食の日は、成長モードで過ごすことができ増量が期待できます。
タンパク質量は体重あたり1.5~2g/kg/日が必要です。質問者様の場合は、126g/日になるため、肉や魚、卵、大豆製品などの総重量で約630g必要です。お腹の調子を見ながら1食100g(タンパク質20g)が取れるのが理想です。難しい場合には、プロテインサプリメントなども使ってみて下さい。
健康のためのファスティングの日もしっかりタンパク質は摂りましょう。身体の中で作れない必須アミノ酸が不足すると、筋肉が分解されてしまいます。空腹が長く続いた後が一番筋肉が減りやすい時間になります。この時に筋肉が分解されにくくするには、サプリメントを飲むのも良い方法だと思います。
必須アミノ酸であるロイシンは、体内で代謝されてHMBという物質となって、筋肉の合成促進に働きます。もちろんロイシン入りのタンパク質をプロテインや食品などで摂ることもできるのですが、タンパク質摂取によってインスリンが出るため、断食のメリットであるオートファジーが止まってしまいます。
ロイシンの5%しかHMBには変化せず、体内で生成できる量は0.2~0.4g程度です。筋肉の合成促進や分解抑制の効果を得るためには、1日3gのHMBが必要とされているため、食事だけでは摂れ無い量になります。筋肉を出来るだけ増やして増量するには、断食の日は特に空腹時や就寝前、トレーニング前などにHMBサプリを取っておくのは有効だと思います。1日3回以上に分けて摂ると効果的です。
もちろん筋トレは必要ですが、いきなりきつい筋トレを始めると挫折します。簡単なのはアイソメトリックス(静的筋トレ)という方法です。筋肉は最低5秒間、最大負荷の80%以上の力を出し続けると急速に発達するのです。筋肉は強負荷で破壊され、休息することで超回復し、太く大きくなります。
スクワットや腕立て、ダンベルなども出来るならやって欲しいのですが、日常取り入れやすいのは5秒以上、おりゃ~と力を入れる方法です。怪我もしにくく何処ででもできます。両腕を曲げ、全身に力を込めて、力こぶを作る様にガッツポーズする”勝者のポーズ”や、両手を合わせて拝む様に左右から押す”祈りのポーズ”、左右の指を引っ掛けて引っ張り合う”鉤のポーズ”や、両手を上下に合わせて押し合う”重ねのポーズ”です。蒼野的には下半身も一緒に鍛えたいので、スクワットのように中腰にしゃがんでこれらを行うのが、時短にもなってコスパが良いと思います。
仕事の間や隙間時間にも出来るので、自分でトリガーを決めて行えば、筋トレが苦手な中高年でも、習慣化できると思います。休息も筋トレの一つですので、筋肉痛の時になどには、24~48時間しっかり休む、それから十分に寝ることも重要です。
何でもそうですが、習慣化してずっと続けてゆくことが重要です。筋肉を増やすことが出来れば、筋肉からのマイオカインのお陰で、若さも病気の予防も手に入れやすくなります。何歳からでも筋トレは有効で、本当に重要ですので、取り組んで頂ければ幸いです。
貯筋生活継続中の蒼野です。今の生活で筋肉が十分に付いたら、一度絞ってまだ見た事のない、自分自身のクッキリした6パックを見てみたいと夢見ています。
参考書籍: 60(カンレキ)すぎたら本気で筋トレ! 船瀬 俊介
過去ブログ:
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