Netflix! 

2022/06/05

 今日はNetflixを始めとする、現代の依存症ビジネスについて書いてみたいと思います。コロナの巣篭もり期間中、皆様はどうお過ごしだったでしょうか? 2022年の4月の段階で、Netflix会員は世界に2億2000万人、ロシアの会員が減ったこともあり、やや減少に転じているようですが、アジアも日本も会員数はまだ増加の一途のようです。

 蒼野自身、いつもはTVを長く見る習慣がありません。昨日は、朝6時台から気持ちよく散歩、午前中にブログを大体書き上げて、オンライン講座の受講もし、昼食後、娘がNetflixで、韓国のゾンビものを見始めたので、軽い気持ちで一緒にソファに座りました。

 1話を見てしまうと、もうダメでした。ちょうどハラハラの所で終わるので、2話、3話と見続けてしまい、合間にちょこちょこと夕食や、ブログの掲載、入浴などもしたのですが、結局1シーズン完了の12話まで、なんと本日の0時半になるまで見続けてしまったのです。

 見ているときは、ハラハラドキドキで、主人公たちが危機を乗り越えると、達成感を味わいましたが、終わって考えてみると、何も得られておらず(今日のブログのネタは得られました!)、虚しさと、夜遅いのになかなか眠れないことに気付きました。今朝もすんなり起きられず、目が覚めたのは7時半でした。

 恐ろしいですね! 蒼野はハマりやすい性格なので、これからはNetflixの第1話は見ないようにしようと思います。現代の資本主義社会で売上を伸ばしている会社は、やはり売れる理由があるのですね。それはヒトの報酬系に訴え、コンテンツや商品に対する依存になるようシステムを作ることです。

 皆様は依存症と聞くと、麻薬や覚醒剤を筆頭に、アルコールやタバコ、ギャンブル、薬物、最近ではスマホやゲームなどを思い浮かべる方が多いと思います。違法なものに手を出す人は少ないと思いますが、全て脳内でドーパミン(快楽ホルモン)が出るように仕向けるということでは、全てが共通しています。

 ドーパミンは太古からあるメカニズムで、トカゲを始め、進化の系列上にいるあらゆる動物に見られます。食べ物を食べたり、セックスを楽しんだりするときには必ず放出され、個人の生存から、種の繁栄までをコントロールしているのです。本能に沿った物質なので、ヒトを含め、その魅力には逆らえない様にできています。

 しかもドーパミンは「もっともっと」のホルモンです。ドーパミンが出ると、その時間にヒトは幸せを感じます。こんなに便利で、簡単にドーパミンが出せる物が満ち溢れた社会になるまでは、向上心とかモチベーションの原動力になる物でもあり、ヒトが生きる目的とするのに相応しい物だったのだと思います。

 パーキンソン病という病気があります。脳の中の黒質線条体系という、ドーパミンを分泌するシステムが障害されて、ドーパミンが欠乏する病気です。パーキンソン病の人は、少しでもドーパミンの作用が増強される様な薬で治療されますが、そういった患者様の13%にギャンブルや買い物、過食や性欲亢進などを含む、病的な問題行動が見られると報告されています。

 薬によって、通常はそれほどハマらないことにも、ドーパミンの作用が増強される事によって、ヒトは逆らえなくなると考えられています。このように、ヒトの行動や欲望にとって、ドーパミンは決定的な影響を与える物なのです。

 資本主義社会では、お金を沢山得ることが正義です。企業は自社の製品やコンテンツが繰り返し売れ続けるように、企画する必要があります。消費者を依存させることができれば、その目的は容易に達成することが出来るのです。一番利益を出せる方法がそこにあるのであれば、やらない企業は潰れてゆきます。

 ドーパミンは、人々が行動を起こし、それをやり続けることに決定的に影響します。企業のマーケティングに応用されるのは、ある意味仕方のないことなのです。最強のビジネスモデルであると同時に、健康にとっては最悪のビジネスモデルである側面がある事を知っておく必要があります。

 蒼野も昨日体験して、Netflixの凄さを感じました。本当に見始めたら止まりませんね。ドラッグやアルコール依存に使われてきたテクノロジーが凝縮している感じです。楽しみの一つとして、否定はしませんが、自分で制限出来ないようなら、やはり近づかない方が良いと感じました。

 一般的には、一日仕事をして帰り、ストレスいっぱいの疲れた身体と頭を、夕食後にNetflixで癒すとか、予定のない休みの日に、日がな一日シリーズを見続けるとか、という使い方が一般的なのでしょうか? 寝る前のブルーライトは睡眠を障害しますし、あと1話だけ…となり易く、睡眠不足が心配です。座り続ければ死亡率が増加してしまいます。

 2018年に報告されたNetflix中毒の症例は、26歳のインド人男性で、1日7時間もNetflixを見続けることで、就職出来なくなりました。家族に仕事を探すよう言われるプレッシャーから、さらにNetflixを利用するようになり、その中にしか喜びが得られなくなったとのことです。

 精神障害の診断マニュアル「DSM-5」には、Netflix中毒の項目は存在しませんが、テレビゲーム中毒は精神障害として掲載されています。患者数が増えていけば、正式にNetflix中毒が掲載されるかもしれませんね! 8歳から14歳の若い世代はゲーム中毒がほとんどですが、ストレスを抱えた大人ほど、Netflix中毒が多いと言われています。

 23~38歳の2000人以上のアメリカ人を対象に、仕事の燃え尽き予防の対処法を調査したところ、回答者の16%は「NetflixやHulu、テレビ」と答えました。「寝る」「運動をする」がそれぞれ10%、「アルコールを飲む」(9%)、「ドラッグを使う」(8%)、「瞑想する」(8%)、「ネットサーフィンをする」(7%)、「友人や家族と話す」(5%)と続きます。

 デスクワークも増えていますし、さらに自宅でNetflixを一気に見るなどするライフスタイルによって、最近は「死んだ尻症候群(dead butt syndrome)」と呼ばれる病気が増えています。座りっ放しで、股関節の動きに関わる尻の筋肉が凝って固まり、姿勢も悪くなる上、股関節だけでなく、上下にある腰や膝にも痛みが出てくる病態です。

 大事なことは、ストレッチとアクティブな生活習慣です。1時間毎に立ち上がったり、スクワット、ヒップブリッジ、階段昇降などを取り入れることで防げます。運動習慣は自分で作ってゆくしかありません。痛くなって動けなくなる前にちょこちょこ動くことを心掛けましょうね!

 現代社会は、本当に便利で、すぐにドーパミンが出る物に溢れた社会になっています。今日書いた以外にも、糖質産業や小麦産業、フラペチーノ、スマホ、SNSやオンラインポルノなど、様々な物が、我々の本能に訴えかけてきます。どれも節度を持って楽しめば、健康を害する事は無いはずです。

 依存症ビジネスがどういうものか知った上で、何をどれくらい取り入れるのかを考えましょう。節度が守れなければ、健康やメンタルに大きなリスクがかかってきます。まずは良く知ることからだと蒼野は考えます。様々な方法はありますが、運動や自己成長できることなどをチョイスして、ドーパミンを楽しんでゆくことが、最も健康的で充実した人生につながる気がします。

 Netflixには距離を置いて、見るなら映画にしようかなと思っている蒼野でした。

参考書籍: 依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実  デイミアン・トンプソン

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