ナッツで死亡率減少!

2022/04/13

 今日は身近なナッツのお話を書いてみます。皆様はナッツは好きでしょうか? 蒼野は、糖質制限、ケトジェニックダイエットを始めてからは、便利で美味しく、腹持ちも良いため、よく食べています。

 原始時代、狩猟採集生活をしていた人類は、好んで食べていたと思われる食材でもあり、人類のDNAに合致している、貴重な食べ物だと思います。ナッツは健康に寄与し、寿命を延ばす効果があることが、様々な研究で多くのエビデンスが示されています。

 米癌研究所が行った共同研究で、一つかみのナッツ(28g以上)を定期的に食べる人は、全く食べない人に比べて、30年間の全死亡率が20%低かったそうです。7万6464人の女性、30年間のデータと、4万2498人の男性、24年間のデータの分析結果だそうです。

 ナッツを週1回未満しか食べない人でも、全く食べない人に比べると、死亡率は7%低く、毎日食べる人は20%低いことが判明しています。ナッツの種類には関係なく、より長い期間、沢山食べるほど寿命は伸びていました。心臓疾患や、呼吸器疾患による死亡率が大幅に低下していましたが、正確なメカニズムは分かっていません。

 世界の4大長寿地域であるロマリンダの男女3万4192人の12年間の追跡でも、ナッツの常食は平均余命を1.5~2.5年延ばす効果が確認されています。これらの研究で分かったこととしては、カロリーが高いにも関わらず、ナッツ摂取が減量や体重維持に役立っていたことです。ナッツはほとんど体重が増えることがない食べ物だったのです。

 2013年のスペインの論文では、健康的な食事にナッツを加えることで、インスリンが安定し、空腹にもならないと報告されました。食事の一部をナッツに置き換えると、体重が平均635g減少し、ウエストが1.3cm細くなりました。

 また別のスペインの研究でもナッツを週2回以上食べた人は、ナッツを食べなかった人に比べて、体重が増加する確率が31%低く、体重が増加した人を比較しても、週2回以上食べていた人の増加率は、食べなかった人の半分程度でした。

 米パデュー大学でナッツ研究をしているリチャード・マテス博士が行った3段階の実験では、第一段階で、食事の脂肪分500kcalをピーナッツ500kcalに置き換える。第2段階で、いつもの食事に500kcalのピーナッツを加える。第3段階で各自が好きなやり方でナッツを加える。という方法で観察しています。

 結果としては、どの段階でも血中の中性脂肪値は有意な低下(最大24%)が見られ、心血管リスクの低下が見られました。また1日500kcalのピーナッツ追加で、有意な体重変化も見られませんでした。この実験の10年後にマテス博士は2型糖尿病予備軍の137人を、アーモンドの摂取量で5群に分けて追跡しています。

 この実験でもやはり、アーモンドを食べている人は体重が増えず、場合によっては減っていることが確認されています。皆様もご存じのように、ナッツは少し食べても、食欲が満たされやすいことから、食欲が抑えやすい可能性や、栄養豊富なので、基礎代謝が上がりやすいこととか、よく噛まずに飲み込むと、全て吸収されていないこと、腸内細菌の餌になるので、腸内フローラが変わる可能性などが指摘されています。

 他の食べ物でこのような健康効果が高いものは、数える程しかありません。ナッツに含まれる脂肪の質が大いに影響していると思われます。ナッツに多い脂肪は、不飽和脂肪酸です。摂り過ぎが肥満につながりやすい、グレインフェッドの肉の飽和脂肪酸とは異なり、人間に必須の脂肪なのです。酸化しやすい脂なので、新鮮なナッツのような形で摂ることが理想的です。

 またナッツにはビタミン・ミネラル・タンパク質などの栄養素がバランスよく入っているほか、肥満予防に重要な働きをする食物繊維も豊富に含まれています。さまざまな種類があるナッツですが、ここでは3大ナッツと呼ばれる、アーモンドとマカダミアナッツ、くるみについて書いてみたいと思います。

重量100g当たり

アーモンド   糖質 9.3g  タンパク質 18.6g  総カロリー 608kcal 
飽和脂肪酸4.13g  一価不飽和脂肪酸35.1g  多価不飽和脂肪酸12.7g  脂肪酸総量51.9g 

マカダミアナッツ  糖質 6g  タンパク質 8g  総カロリー 720kcal
飽和脂肪酸12.46g  一価不飽和脂肪酸59.2g  多価不飽和脂肪酸1.6g  脂肪酸総量 73.3g 

くるみ    糖質 4.2g  タンパク質 14.6g  総カロリー 674kcal
飽和脂肪酸7g  一価不飽和脂肪酸10.3g  多価不飽和脂肪酸50.3g  脂肪酸総量 67.5g  

 100g食べるとなると、手のひらに軽く盛って四つ分になります。糖質がとても少なく、脂肪量が多いことが分かりますね! 蒼野は人類本来のエネルギー形態は、ファットバーニングだと考えているので、糖質制限、ケトジェニックダイエットをする場合にはとても使いやすい食材だと思います。太らない不思議な食材ですので、是非ダイエットに活用しましょう。

 アーモンドにはたんぱく質と食物繊維が豊富です。23粒でビタミンEの1日の摂取量(約7mg)を摂取可能です。ビタミンEは抗酸化作用が強く、老化、免疫機能の低下、がんや動脈硬化などを防ぐ効果があります。ビタミンB2も豊富で脂肪がエネルギーに変わりやすいナッツです。牛蒡の約2倍、玄米の約7倍の食物繊維も含まれています。

 マカダミアナッツは脂質が豊富で、オリーブオイルと同じオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸が含まれます。マグネシウムやデトックス効果が期待させるセレン(セレニウム)、食物繊維などを含み、便秘予防にも役立つ食材です。ナッツで唯一パルミトレイン酸を含み、血行を促進する働きがあり、新陳代謝を高め、肌の調子を整える働きや、くすみ解消の効果も期待が出来ます。

 クルミは紀元前7,000年ごろから食用されてきた「最古のナッツ」です。オメガ3脂肪酸であるα‐リノレン酸がナッツの中ではもっとも豊富です。ビタミンEやフラボノイド、コリン、トリプトファンなどを含んでおり、クルミは脳機能の向上・認知症予防や症状の緩和に効果があります。

 書いていても、食べたくなってきますね! 選ぶ時の注意としては、塩分や油など、余計なものは摂りたくないので、素焼きで無塩の、無添加のナッツを選びましょう。また不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、酸化していない新鮮なナッツを選んでくださいね!

 7月22日は「ナッツの日」とされています。ナッツにはうなぎ以上にたくさんの栄養素が詰まっており、夏場に健康を維持するのにぴったりな食材でもあるようです。うなぎ同等のビタミンB群を含み、マグネシウムや鉄、銅などの含有量は、ナッツがうなぎを大きく上回っています。最近急に暑くなってきていますね。土用のうなぎではなく、毎日少しずつ、ナッツを食べるのが、元気に暑い季節を乗り切る秘訣かもしれませんよ!

 個人的には殻付きのマカダミアナッツを、割りながら食べるのにハマっている蒼野でした。

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参考文献: Association of nut consumption with total and cause-specific mortality.

 The New England journal of medicine. 2013 Nov 21;369(21);2001-11. Ying Bao at.al.