パレオダイエットは肥満とは無縁!

2021/11/11

 原始人の食生活は、現在完全に分かっているわけではないのですが、現存する狩猟採集民族の、実際の食事を参考に、人類の遺伝子に矛盾のない食生活をすることで、人類の持つ自然治癒力、パフォーマンスが最大化できるのではないかという考え方のもと、研究が進んできています。

 現存する狩猟採集民族である、タンザニアのハッザ族(毒矢でヒヒを狩る)や、パプアニューギニアのキタバ族などの研究によると、狩猟採集民には、肥満は皆無で、がん、糖尿病、心疾患、痛風などの現代病は見られず、肌も綺麗で、虫歯や歯周病もない。もちろんメンタル疾患も見られません。

 狩猟採集民族が食べている物は、もちろん土地によってバラバラなのですが、基本的には自然の中で狩った肉や魚、採集した野菜、フルーツ、木の実などです。人口的に加工された食品は、口に入りません。精製された穀物や砂糖は食べておらず、また朝食はめったに食べず、1日1~2食であることが多いようです。

 原始人(狩猟採集民族)の食事を再現した食事が、パレオダイエットで、パレオダイエットを実践した2015年の、159人のデータをまとめたメタアナリシスは、ウエストサイズや高血圧、中性脂肪を減らす効果が、国際メタボ予防ガイドラインよりも高かったと報告されており、健康効果が高い食事と言えます1)。

 世の中には、数多くのダイエット法が紹介されてきており、どれも本気で取り組めば、摂取カロリーを減らして、痩せられることが分かっています。しかし健康のためには、無理せずに、リバウンドせずに、1年以上長続きするダイエットであることが、一番重要です。

 人類には本来、ホメオスタシスと言って、体を最適の状態に調整する機能が、備わっています。体重もその例外ではありません。食欲増進のホルモン『グレリン』と、食欲低下のホルモン『レプチン』が、正常に働く食生活をしていれば、肥満になることはないのです。

 しかし現代の食品産業は、現代科学で分かった最先端の技術で、人間の『レプチン』が働きにくくなるような、つまり食べ始めるとやめられなくなるような加工を、製品に施しています。人間の本来の食欲以上に、食べたくなるような製品を開発し、マーケティングして、我々の興味をそそり、そして中毒にして、食べさせ続けようとしているのです。

 コンビニ食、冷凍食品、大量生産のお惣菜、スナック菓子、ファーストフード、チェーン店での食事など、我々の日常で、普通に食べられているものがこの技術を応用しています。人類は飢餓の歴史の中で、生き延びてきたので、カロリーの多い、甘いものや脂肪分は、特に美味しく感じるようにできており、生き延びるために沢山食べてしまうようにできています。

 加工食品は、中毒になりやすい糖質や、クリーミーな脂肪を、最も沢山食べられる割合で詰め込み、塩分を入れ、旨味成分を人口的に入れることで、人類の本能、脳を刺激して、何度でも、多量に食べたくなるように開発されているのです。そこには人類の健康を維持する栄養は乏しく、カロリー過多にもなっていて、狩猟採集民が食べていた食事とは、全くかけ離れたものになっています。

 以上より、食事の大部分を、自然からとれた、加工していない食材を、自宅で調理して食べることが、人類本来の体重と健康をキープしてゆく上では何より大切なことになります。もちろん現代生活で、加工食品を全く食べない生活は、不便だし、外食もしにくくなりますので、せめて全体の食事の2割以下に抑えることが重要です。

  加工食品の割合が減るのに比例して、体脂肪率も下がることが分かっています。体脂肪率は男性で12~14%、女性で20~22%程度が健康的で、見た目もスッキリ見える体型となります。狩猟採集民族も男性13%前後、女性21%前後ですので、この値が人類の自然な体脂肪率であり、それを目指すのが健康長寿への指標になるものと考えます。加工食品の割合が2割以下に減れば、自然にこの体脂肪率に近づいてゆくのです。

 蒼野も色々なダイエットにトライしたことがあるのですが、なかなか思った体重をキープすることはできませんでした。初めて長期間、リバウンドなしに成功したダイエットが、このパレオダイエットにならった方法です。食事の満足感も含めて、健康長寿を目指すのであれば、基本的にパレオダイエットを参考とすることをお勧めします。

 朝食抜きの16時間断食を続けながら、糖質を控えめにして、できるだけ加工食品を食べないようにしています。飲酒を控えめにして、時には少量の加工食品やスイーツも含めて、好きなものを、お腹いっぱい食べてゆく方法ですが、現在、体重は大学生の時と同じになり、お腹の皮下脂肪もびっくりするくらい無くなりました。全く辛くありませんし、体調も良好で、風邪にもコロナにも罹ることなく過ごしています。ありがたいことです。今後も続けてゆこうと思っています。

 もちろん運動や睡眠も、大きな影響があると思いますので、また書いてゆきたいと思います。長くなってきたので本日はこの辺で……。

参考文献:
1)Paleolithic nutrition for metabolic syndrome: systematic review and meta-analysis. ; Am J Coin Nutr. 2015 Oct; 102(4): 922–932.

参考書籍: 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書  鈴木 祐

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