現在『インフルエンザ最盛期』です!

2023/03/02

 今日は蒼野の病院の発熱外来からのホットな情報を! コロナは本当に少なくなりました。その代わりにインフルエンザが増えています。みんなA型で、先週あたりから病棟でも流行り、スタッフが5~6人ずつ休んでいるので勤務が厳しくなっています。お陰様で蒼野は風邪の兆候もありませんが、今後の状況についての注意などを書いておきたいです。

 もちろん病院は全員がマスクをしています。これまでも学校で流行り、お子様からもらったスタッフがちらほら休んでいました。今回は発熱の患者様が、入院時の抗原検査が、コロナもインフルもマイナスでしたが、スタッフがバタバタ休む形となり、再検するとインフルAが陽性になっていたのです。

 インフルエンザの抗原検査に関しては、感染初期では感度が低いことがあります。熱が出たスタフも、すぐの検査ではマイナスでしたが、経過中の再検でプラスになっています。一応検査の感度は90%以上と言われていますが、発症後24時間から72時間以内に行うことが推奨されていますので知っておいて下さいね。

 一般的なインフルエンザの感染経路は飛沫感染です。しかし今回の当院の場合の感染経路としては、接触感染なのだと思います。身近な少数例ではありますが、皆様もマスクだけではなく、手洗い、うがいには一層気をつけられる方が良いように思いました。

 全国の感染状況は少し遅れるので、今見れる最新のものは2/13~2/19までのデータでした。定点観測(1医療機関あたりの患者数)でのデータでは、多い順に福井県(48.95)、石川県(46.44)、岩手県(33.98)、富山県(27.98)、京都府(23.79)、大阪府(22.09)と続き、福岡県(19.84)は全国で7番目の流行で、10人以上の注意レベルを超えて、警報級の流行になっているようです。

 12月からの感染マップを見ていると、週を追うごとに、全国に感染が広がり、数も多くなる傾向にありました。首都圏は注意レベルですが、外来で見ている限り、現在福岡は大流行のレベルに入ってきているのかも知れません。例年2月が患者数のピークになるため、現在がピークである可能性はあると思います。3月中はまだ多いはずなので、もらわないように注意しましょうね。

 コロナ禍になってここ2シーズン、インフルエンザはほとんど診る事がありませんでした。コロナ前までは毎年、11月ごろから流行り始め、1~2月がピーク、我が国では毎年1千万人を超える感染者が見られます。しかし2021シーズンは1.4万人、2022シーズンは0.3万人と激減していました。

 コロナが流行り出してからの感染予防対策や、ウイルス干渉などの影響で、インフルエンザはここ2年間、鳴りを潜めていた様です。そして今年の2023シーズンにおいては、ワクチンを打っていない方の、インフルエンザウイルスに対する抗体価はグッと下がっており、感染しやすい状況になっているものと思われます。

 コロナとインフルと普通の風邪は症状からの区別は難しいとされています。これは蒼野の経験上からの私見ですが、最初から39度以上の高熱が出る人はインフルエンザの可能性が高い印象です。今回のインフルエンザに関しては、患者様に症状を聞くと、咳がひどくて困っておられる方が多いです。一方オミクロンのコロナに関しては、喉の痛みの訴えの方が多かったように思います。

 コロナでも無症状者がいる様に、インフルでも10~39%程度の無症状者がいると言われています。学校では学校保健安全法で、出席停止期間が決まっています。社会人ではその会社の規定が有ったり無かったりです。他人にうつさないためには、『発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで』と規定されていますので念のため。もちろん医療機関では患者様にうつすと大変なので、きっちり検査して、休養期間を守る様になっています。

 コロナと違ってインフルエンザでは特効薬(抗ウイルス薬)があることを知っておられる方は多いと思います。オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(商品名:リレンザ)、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)、ラニナミビル(商品名:イナビル)、アマンタジン(商品名:シンメトレル等)などになります。

 いずれもウイルスが細胞内で増殖して増えるのを防ぐ薬です。感染初期の増殖段階を阻止するのが効果が高いため、発症48時間以内の投与が推奨されています。それ以降であっても重症化を防ぐ効果は報告されている様です。インフルエンザの罹病期間は、個人差はありますが、薬を使わない場合には、発熱が3~4日続き、症状回復までは1週間ほどかかります。

 抗ウイルス薬を適正に使えば症状の軽減と重症化予防、罹病期間が1~2日短縮されると報告されています。有名なのはタミフルです。A型なら効くアマンタジンや、新しい薬であるゾフルーザ、タミフルには耐性が報告されており、効かないウイルスがいるのは問題です。

 現在蒼野が処方しているのはイナビルです。耐性の報告が無く、成人では他の抗ウイルス薬と同等の効果があり、小児では罹病期間が60時間以上短縮すると言うことで、効果が高い薬になります。1回吸入するだけの薬なので、しっかり吸入できれば、簡便に使用できます。小児や吸入が難しい人にはネブライザーで投与も可能です。

 インフルエンザは怖い病気の一つです。特に高齢者と小児は気をつける必要があります。重症化すれば命を取られるのはコロナと同様です。小児での注意点はインフルエンザ脳症です。1~5歳くらいまでに起こる事がほとんどですので、その年齢のご家族がおられる方は、ぜひ知っておいて下さい。ワクチンは有効ですので打っておく方が安心です。

 インフルエンザ脳症のはっきりした病態はまだ解明されていませんが、免疫の暴走による、サイトカインストームが疑われています。前駆症状として、おかしな言動が挙げられます。風邪症状と共に異常な言動が見られたり、痙攣が起こったり、意識が低下してくる様な事があれば、一晩様子を見てはいけません。すぐに救急車を呼びましょう。

 抗ウイルス薬は、インフルエンザが陽性にならなければ使えませんが、風邪でもコロナでもインフルでも初期から有効な薬は、蒼野が大好きな漢方です。少し風の引き掛けと思った段階で、『麻黄』や『桂皮』といった、身体を温め、発汗を促す生薬が入った漢方を、畳み掛ける様に飲むと、免疫力が上がりウイルスを撃退することが出来ます。

 暖かい物を摂って、布団にくるまり、しっかり休んで汗をかきましょう。葛根湯(風邪全般)、麻黄湯(特に若年のインフルエンザ)、小青竜湯(鼻風邪)などが有効です。虚弱な方や高齢者では麻黄附子細辛湯がおすすめです。熱が出ても38.5度以上の高熱でなければ下げる必要はありません。体温を高めて免疫を上げる反応を邪魔してはいけないのです。

 何度も書いていますが、市販の風邪薬には熱を下げる薬が入っています。市販の風邪薬や熱冷ましを、最初から飲んでいるとウイルスが繁殖しやすくなるため、罹患期間が長くなります。診断がついていない初期に飲んでほしいのは漢方です。これだけは忘れないで下さいね!

 汗が出たら、咳に対処したいですね。中枢の鎮咳作用がある『半夏』を含む漢方がお勧めです。小柴胡湯は半夏を含み、柴胡による免疫増強作用もあるため、症状が残る場合には飲んでみて下さい。麦門冬湯は喉が乾燥するような咳によく効きます。

 ウイルスに対抗するのは、我々の免疫力しかありません。しっかり睡眠をとり、毎日運動して、身体に良い自然な食べ物で食事を構成し、ストレスをやり過ごしましょう。寒暖差で風邪をひきやすい、今の時期を乗り切りましょうね! 

 ポストコロナで気分は明るいものの、第5類になって、どうやって入院患者様にうつさない様にするのかについては、まだ不安が尽きない蒼野でした。

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