人類のデフォルトは植物食!?

2021/11/29

人類が食べてきたものは、何なのでしょうか? 

 蒼野が子供の頃、流行った漫画に『はじめ人間ギャートルズ』というのがありました。若い方はご存知ないでしょうね。マンモスの肉なんかを、骨つきで持ち歩き、食べている姿が描かれていて、子供ながらに原始人は、狩猟をして、肉を食べていたんだなあと思い込んでいました。

 元宮崎大学教授の島田彰夫氏によると、動物の食性は爪、歯、消化機能などに表れるそうです。人類はもちろん武器を使い出す前から、食べ物を食べています。爪は平爪で、肉食動物はかぎ爪です。肉食動物の歯は全て尖っていますが、人類は切歯が上下4本ずつ、犬歯が2本ずつ、臼歯が親知らずも入れて10本ずつなのです。肉を食い千切るには、頼りないラインナップです。

 消化機能に関しては、肉食動物は食いちぎって飲み込むだけですが、人類は咀嚼します。しかし草食動物の牛や馬の歯と比べると、臼歯は豆や穀類などの粒状のものを噛む形をしていて、草などの長いものをすり潰すのに効率的な牛や馬の歯とは異なっているのです。

 唾液にデンプンを消化するアミラーゼが入っている動物は、人類、類人猿、豚、ネズミなどで、肉食動物では皆無ですし、草食動物の唾液にもほとんど入っていないのです。さらに人類の膵臓からもアミラーゼが分泌されることから、人類の食性は植物食、フルーツや生野菜、穀物や豆や芋や海藻、キノコなどを食べていたと考察されています。

 2002年のネイチャーに載った論文に、人間とチンパンジーの遺伝子は1.23%しか違わないと発表されました。想像すると、武器を持たない初期の人類は、森の中に入って、木の実や果物を採集して、食べられるものを食べていたと思われます。

 チンパンジーなどの霊長類は、50%がフルーツ、40%が野菜や柔らかい草、5%が根菜だそうです。昆虫や肉なども少量は食べますが、基本になる食事は植物食なのです。これは人類にも遺伝子として残っていると思われます。

 ブルーゾーン(超長寿地域)の一つである、昔の沖縄の人々の食事は、さつまいもを中心とした、植物性食品(プラントフード)を主体とした食生活で、大豆はよく食べますが、肉は滅多に食べません。サルディーニャや、他の地域に関してもいずれも植物性食品中心の食事なのです。

 現代でも、南米エクアドルのアンデス山中にある村、ビルカバンバに住む人は、心臓病と骨粗鬆症患者がほとんどいないと報告され、有名になりました。村から徒歩で2時間かかる診療所に、118歳の老人が歩いてきます。血圧は110/64mmHgで、採血結果も全て正常、そのほかにも100歳以上の長寿者がゴロゴロいます。

 ビルカバンバはミネラル豊富な綺麗な水が豊富で、森が多く、毎食と間食にフルーツを食べます。主食はインディカ米にヒエ、栗、キノコなどを入れて炊いたものか、とうもろこしか芋を焼いたもの。副食は大豆と生野菜で、基本的には動物性蛋白は摂らず、たまに少量の肉を食べます。少量の自家製ワインを楽しみ、ストレスは少なく、よく歩く生活をしています。

 一方世界には短命なことで有名な部族もいます。中央アジアのウイグルから800km離れた場所で暮らす、カザフ族です。この部族の寿命は50歳が限度で、30歳まで生きられない人も多いのです。彼らは『野菜は羊が食べる物で、人間の食べ物ではない』という思想を持っています。

 その食事は、羊の肉、羊の乳、バター、チーズ、羊の脂入りのパンで、羊づくしです。野菜の酵素や、抗酸化物質は皆無です。若い頃から消化器癌、脳卒中、心臓病が多発しており、10代で発症する人も多いのです。

 何度も書いていますが、人類は飢餓の歴史を超えて生存してきました。脂や糖をみると、できるだけ、お腹に詰め込んで生き残るという本能を、持ち続けてきたのです。飽食の時代になってしまった現代では、本来の人類の食性に合わない食べ物を、沢山食べてしまうのは、自然な事ですし、皆が好むものが、沢山出回っているのも自然な事だと思います。

 しかし人間が本来食べていたものに戻そう、と考える人たちは増えてきているようです。欧米の賢いセレブは、ヴィーガン(完全ベジタリアン)だらけになっているようです。お金を持っても、病気はしたくないセレブ達は、健康に気を付け始め、プラントフードだけ(ローフード半分、 加熱プラントフード半分)で生活しているのです。

 だから、80歳になっても90歳になっても若々しい。クリント・イーストウッドは90歳。ダスティン・ホフマンやアンソニー・ホプキンスは、83歳です。リチャード・ギアは70歳。元大統領のジム・クリントンは74歳。元大頭領候補のアル・ゴアは、71歳。ビル・ゲイツは64歳。みんなヴィーガンです。

 日本では、糖質制限はだいぶポピュラーになってきましたが、ますます野菜離れは進行し、肉の売りあげはますますアップしていますね。蒼野の食生活もまだまだです。お肉や魚が美味しくてやめられないのです。しかし現代の慢性病は、食に原因があることが多いと感じています。健康を維持するためには、食の知識は欠かせないものだと思いますので、これからも勉強していきたいと思っています。

 色々みてみると、人類の本当の食べ物は、1、プラントフード(植物性食品)2、ローフード(生食)3、ホールフード(全体食)であるようです。合わない食べ物を与えられた動物は、病気になります。食べるものを選べる現代だからこそ、主として食べるものは選ぶ必要があると思います。

 美味しく感じるものは、少量楽しむことにして、少しずつ野菜の量を増やしてみませんか? 今日の夕飯も生野菜を、兎のように食べてみた蒼野でした!

参考書籍: 世界の医師が注目する 最高の食養生  鶴見 隆史

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