短時間の昼寝で元気ハツラツ!

2023/01/30

 蒼野は仕事の合間にブログを書いたりするのですが、午前中は忙しいことが多く、昼食後の午後から書き始める事が多いです。しかしいつも15時前くらいになると筆が進まなくなり、気がつくと居眠りしている事が多いのです。今日はどうしてそうなってしまうのかという事と、その対処法について調べてみます。

 調べてみると、午後2時から4時くらいというのは、誰もが眠くなる時間のようです。昼食で糖質を沢山食べれば、もちろん血糖スパイクが起こります。インスリンが過剰分泌されると、反応性の低血糖が起こり、強烈な眠気が出るのは当たり前です。しかし蒼野の弁当は主食がサラダで、あとはタンパク質メインのおかずですので、食後の低血糖では無さそうです。

 もちろん食事をすると、消化に血流が回るため、脳に回る血液が少なくなるのはその一因かもしれません。午前中の疲れも出てくる時間でもあります。交通事故で居眠り運転が多くなる時間帯は夜中はもちろんですが、昼間では午後2時から4時なのです1)。まさに魔の時間帯とも言える時間です。

 人間の本来の生体リズムから、この時間は眠くなるのだそうです。睡眠ー覚醒リズムといって、人間の脳は1日に2回、起床から8時間後と22時間後に眠くなるリズムが備わっています。6時に起きれば14時くらいから眠くなります。蒼野の今年の課題は時間をうまく使う事ですので、この時間帯をうまく乗り切りたいのです。

 ここで出てくる解答は『パワーナップ』=昼寝の活用です。この分野は近年急速に研究が進んでおり、一流企業やNASAなども取り入れている方法とのことです。宇宙飛行士の実験によると、26分の昼寝をすると、認知能力が34%上昇し、注意力が54%も上がるそうです。GoogleやApple、Microsoftといった一流企業もここに注目し、社内に仮眠スペースや快眠マシンを導入しています。

 具体的な昼寝の仕方ですが、GoogleやApple、Microsoftではない職場に、普通に勤務されている方であれば、やはり昼休みしか寝るチャンスは無さそうですね。ここで短い睡眠を取ることで、眠気は無くなり、仕事効率が戻ります。何分眠るのかがとても重要です。何分眠るのかは睡眠のステージに影響するからです。睡眠はステージ毎に、もたらされる回復や効果が異なります。

 睡眠のステージには5段階あります。段々深くなるステージ1(N1)から4(N4)とREM睡眠ステージの5段階です。眠り始めて1分から5分くらいまでがN1です。意識が現実世界から夢の世界へ入り始めます。ひらめきが欲しい時には、このステージまでの睡眠が理想的です。通常の意識と潜在意識が混じり合うことで、起きている時には思いつかなかったアイデアが生まれやすくなります。

 ステージ2に入ってから目覚めると、ステージ1で生まれたアイデアは忘れてしまいます。アイデアが必要だった偉人はこれを応用していたのです。発明王エジソンはうたた寝の天才でもありました。睡眠は無駄だと考え、一晩に4時間以上眠らないショートスリーパーでもありましたが、昼寝の時には両手にボールを持って寝ていたそうです。ステージ2になると筋肉の脱力が起こるので、ボールが落ちて目が覚めます。入眠時における半覚醒状態の時のアイデアを発明に活かしていたのです。

 ステージ1のひらめきを応用したのはエジソンだけではありません、シュールレアリズムの代表的な画家であるサルバドール・ダリは指の間にスプーンを挟んだまま昼寝することで、アイデアを得ていました。面白いですよね! アイデアが必要な仕事の時にはぜひ試してみたいものです。

 N1の重要性についての研究も行われています。パリ脳研究所の実験では、まどろむ事が得意な103人の被験者にひらめきが必要な数列のクイズを解いてもらいました。まず覚醒状態でも、クイズでひらめいた16人を除き、カップを持ったままリクライニング椅子で寝てもらいました。脳波で睡眠ステージを判定し、もう一度問題を解いてもらったところ、眠れなかった人が数列の法則を閃く確率は30%でしたが、N1で15秒過ごした人が閃いた確率は83%! N2に突入すると眠れなかった人のレベルに低下したそうです2)。

 次のステージ2(N2)は17~20分までの昼寝で訪れます。起床後に蓄積された脳内のキャッシュメモリ(同じ作業をする時には速くなるが、溜まると新しい作業は遅くなるメモリ)がクリアされるステージです。パソコンのいらないメモリをクリアすると動作が軽くなるようなイメージです。情報を整理・記憶したり、優先順位をつける脳のワーキングメモリが強化されます。

 情報過多の時代となり、仕事以外でもスマホやパソコンなどから多くの情報を受け取っていると、脳は疲れて動作が遅くなり、眠くなります。この疲れを取るのがN2の昼寝です。集中力や記憶力が回復し、ストレス軽減効果や健康効果もあり、仕事のパフォーマンスがアップするのです。

 深い睡眠であるステージ3は20分以上で訪れます。30分以上寝てしまうとステージ4に達してしまい、寝覚めが悪くなり、起きてからもボーッとした状態になってしまいます。つまりすっきり目覚めてパフォーマンスを上げる昼寝は、まどろみ始めてから20分くらいまでです。寝るまでの時間は状況や個人差がありますので、トータルで30分以内の昼寝を目標にしましょう。

 カフェインは30分程度で覚醒効果が現れるため、コーヒーや玉露を飲んで昼寝をするコーヒーナップもテクニックの一つになります。姿勢は机に突っ伏すか、リクライニング椅子に寄りかかると良いです。光の遮断のためにアイマスクも有用です。スマホで環境音やホワイトノイズ、20~30分だけ流れる音楽のYouTubeも使ってみましょう。

 夜間の本当の睡眠を邪魔しない昼寝は15時までです。めちゃくちゃ眠い、睡眠不足の時にはすぐに寝てしまうため、20分で起きるように計画しましょう。眠れない時には目を瞑るだけでも、脳は休まります。目を温めたり、冷やしたりしながら目を閉じてボーッとしてみましょう。人間は視覚情報を主に使って生きているため、視覚情報が遮断されれば、脳への負荷がグッと減り、脳の疲れが回復します。

 昼寝の健康効果は想像以上です。今までの研究結果を羅列してみると、スイスの研究では週1~2回、5分間の昼寝で心疾患リスクは-48%で、これは30分寝ても同じ効果でした。5分の昼寝の頻度が多い方が効果は高いため、毎日のちょこっと昼寝が良いようです。

 30分以内の昼寝を週4回行えば、体内炎症が抑えられ、脳機能が上昇し、認知症リスクが低下します。60歳以上の2214人の研究では、アルツハイマーリスクは84%も低下していました。週3回30分の昼寝をする男性では、心血管死が64%低く、全死亡率も37%低下します。毎日30分の昼寝で糖尿病も減ります。

 昼寝は諸刃の剣です。30分以下のルールは守りましょう。2020年の20件、31万人のメタ解析研究でも1時間以上の昼寝は、昼寝をしない人に比べて心血管疾患の発症リスクが34%、全死亡リスクが30%も高いことが報告されました。特に夜6時間以上寝ている人、女性、高齢者のリスクが高かったのです3)。

 まだはっきりとその原因は結論が出ていませんが、それだけ昼間に寝るというのは夜間の睡眠の質が悪くなっているということや、概日リズムが狂ってしまうことや運動不足、肥満率が高くなることなどにある可能性が指摘されています。

 1時間以上の昼寝は、認知症リスクも2倍になり糖尿病リスクも上がります。脳のパフォーマンスも目覚めた後の眠気が残り、低下してしまうので避けなければいけません。皆様も上手に、15時までの短時間の昼寝を取り入れてみませんか? 

 しょっちゅうPHSで呼ばれるので、30分は寝れない蒼野です。短時間で効果があると知ったので、ぜひ試して、毎日の習慣にしたいと思います。

参考文献:

1)運転免許保有者の居眠り運転に関連する要因についての検討;日本公衆衛生誌 57(12)1066~1073  2010

2)Sleep onset is a creative sweet spot. ; SCIENCE ADVANCES Vol 7, Issue 50 2021 

3)Long naps may be bad for health. ; European Society of Cardiology 26 Aug 2020

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