遺伝子の話を読んでいると、日本人特有の考え方というのが、遺伝子にかなり影響されているということがわかりました。めっちゃ面白いので、日本人に受け継がれてきている遺伝子について書いてみたいと思います。
皆様は日本人の特性と聞くとどんなことを思いますか? 蒼野は、日本人は規律を守り、礼儀正しい。みんなで協力して、目標に向かって努力する。人の顔色を伺うことが多く、真面目で、人間関係を円滑にしようとする人が多いなあと感じます。
一方、周りと同じように考える人が大半で、逆に誰も考え付かないようなアイデアを思いつく人は、欧米に比べて少ない印象です。自分を強く主張して、周囲を支配する? いや強いリーダーシップを取れる人は少ないようにも感じます。グローバルな社会になって、自分が主張できないことで、海外に遅れを取っている部分は大きい気もします。
遺伝子というのは、種の保存に有利なものが受け継がれ、その割合が増える傾向があります。島国で、地震や台風などの災害が多いという、海外とは違う特殊な環境、敵がおらず、鎖国を行い、260年という長期間、平和な時代が続いた江戸時代などの歴史が、我々の遺伝子を徐々に変え、国民性として根付いてきたと考えられているのです。
一つ鍵になるのが、セロトニントランスポーターです。これが日本人の特性とも強く関わっています。遺伝的に多い人と少ない人がいます。セロトニントランスポーターが多いL型遺伝子を持っていると、セロトニンの再取り込みが促され、セロトニンは上手にリサイクルされます。必要な時に必要なだけ使うことが出来、メンタルが安定します。将来的な不安、なりにくく、楽観的に振る舞えるのです。
セロトニンは、メンタルを安定させ、不安を消し去る脳内伝達物質です。ちょっとリスクがあっても、楽観的に、ポジティブに考えることが出来、細かいこと、将来的なリスクを、気にせずに進んでゆく事ができるのです。
一方セロトニントランスポーターが少ないS型遺伝子の人は、将来のリスクにも敏感で、不安傾向が高いのです。新しい事には慎重で踏み出しにくい性格です。人と同じというのが安心できて、保険や貯金が好きになりやすい性格です。29カ国でセロトニントランスポーター遺伝子を調べると、日本人は、ダントツでS型を持つ人が多かったのです。
セロトニントランスポーターが少ない人では、シナプスの間で余っているセロトニンがなかなか取り込めません。高濃度に存在するのは一見良さそうですが、セロトニン受容体がそれに反応して数を減らしてしまったり、そのまま分解されてしまったりするのです。セロトニンに反応しにくくなったり、再利用しにくいことから、セロトニンが減ってしまうのです。
日本人のS型遺伝子を持つ割合は97%、圧倒的な割合です。一方アメリカ人では43%、57%はL型でした。人の評価などのちょっとしたことが気になり、リスク評価を重視して、その対策を立てる心配性の日本人と、大胆で、人の評価よりも、自分のやりたい事をやるアメリカ人の違いは、根本的なもののようです。
日本は基本的に農業で、暮らしてきた社会です。社会ができたときに税金として使われていたのは年貢、つまりお米でした。機械なしに多くの実りを得るためには、みんなの協力が何より重要です。一人で作れる作物はたかが知れています。庶民はみんなで作って平等に分配する社会が長く続いたのです。人に共感し、自分のことは犠牲にして、共同体に尽くす人が、良い人であり、必要な人材でした。
そんな共同体を壊してしまうのは、一人ズルする人間、裏切り者です。犠牲を払わずに利益を手にする人が出てくればその集団は崩壊に向かいます。日本では社会の安定のために、そういった人間を村八分にして排除してきました。
村八分になると、安定した暮らしは望めず、子孫も残しにくくなります。特に江戸時代は、平和で、外敵もおらず、社会的に問題になるのはこういった裏切り者でした。その排除のための五人組制度もあり、集団の協力行動がとても促進された時代だったのです。
260年も続く平和な時代ではありましたが、その間に宝永大噴火、安政の地震などの、激甚災害も多く起こっています。日本は世界の総陸地面積の1%以下の大きさしかないのに、災害は実に全世界の約20%が一国に集中して起こるという災害大国です。人が生き延びるためには、起こっていない災害を心配し、備える事が重要です。集団の協力行動は促進され、異端分子は排除されやすいのです。
こうして村八分にされた、個性的な裏切り者遺伝子は、どんどん減っていったと考えられます。逆に人目を気にして、利他的に動く優しい人々の遺伝子が残りやすかったと言えます。これがS型遺伝子の割合が異常に高い理由であると考えられています。セロトニンが減っている、心配症の人ばかりが増えてゆけば、少しでも早く裏切り者を検出しようという風潮も、社会的に形成されます。
それは人と違って個性的であることが容認されにくい社会です。人と違うということで、将来ただ乗りする裏切り者になるかもしれないと考える人が多いのです。転校してきた子や、変わった人が、いじめられやすいという風潮は、日本人の遺伝子の問題でもあるのです。
大勢を占めるこの遺伝子が、成功した人や、大金を稼いだ人をバッシングしたり、一度誤った事をした人を、社会的に抹殺しようとしたり、一度メンタルがおかしくなったら腫れ物を触るような扱いをするといった、不寛容な社会の源にもなっている気がします。海外には大勢が一人をいじめるようなことは無いそうです。是非意識して変えてゆきたいですね!
グローバル社会になって、海外との考え方の違いが指摘されることも多くなりました。遺伝子を短い期間に変えるのは難しい。しかし、世代が変わってくれば少しずつは変化できると思います。今子供が持てるのは、裕福な世帯が多くなっているようです。これは蒼野の想像ですが、自分の能力を今の社会で開花させた人が、裕福になると思うので、時代が変われば、遺伝子の割合は変化するだろうと思ってしまいます。
若い世代が右に倣え、年功序列の昭和の会社を嫌がるのは、無理もないと思います。これからそういう会社は生き残れないと思うので、我々を取り巻く環境自体もどんどん変わってゆきます。遺伝子の発現はDNAだけではなく、環境が変えてくれます。たとえセロトニンが活用しにくい遺伝子だったとしても、セロトニンを出す生活習慣を身につけ、ポジティブに考える癖をつければ、我々自身も生きている間に変わる事ができると思います。
もちろん、この特性の良い面は残してゆきたいですよね!みんなで協力しやすいとか、チームワークといった面では威力を発揮する遺伝子です。先日のWBCは、それが爆発していたように思います。今の日本人メンバーで、世界と戦うには意識しておくべき特性だと感じます。
遺伝子はもともと配られているカードです。意識することで、良い面を残し、悪い面を抑えることは可能です。メンタルの持ち方、生活習慣で、遺伝子の発現を少しずつ変えてゆきましょう。何歳からでも変えることはできると蒼野は信じています!
参照書籍: 空気を読む脳 中野信子
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