健康寿命を縮める食べ物!

2022/03/16

  食べ物と健康の話は、今までも嫌というほど書いてきたのですが、ホットドックを食べると健康寿命が36分も減ってしまうという試算が、ミシガン大学の研究者によって、2021年8月に掲載されました。食べ物によって寿命が縮んだり伸びたりするというお話は、ちょっと面白いなあと思ったので、紹介させて頂きます。

 ミシガン大学大学環境健康科学科のチームでは、5,853の食品や料理について、このような数値の計算を繰り返し行いました。健康寿命への影響だけではなく、その食品や料理の環境への影響も割り出し、短期的な地球温暖化への影響が、何kg -CO2eqであるのかも測定しました。

 こうしてアメリカでよく食べられている食べ物について調べ、緑色の食品と、赤色の食品、黄色い食品に分類しました。

 緑色の食べ物は、食べるのを増やすことが推奨されるナッツ類、果物、一部の魚介類、全粒穀物、野菜、豆類などが含まれています。例えば、りんご140g(+13.46分)、ナッツ30g(+25分)、サーモン85g(+15.98分)、全粒粉食パン(+0.72分)、納豆ご飯239g(+13.79分)、野菜は軒並み+評価で、例えばトマト85g で(+3.82分)などが、健康寿命を延ばしてくれる食事に分類されます。環境にも優しく、持続可能な社会を作る上でも重要な1群です。

  赤色の食べ物は栄養、または環境に大きな影響を及ぼし、食事量を減らすか避けるべき食品が含まれています。栄養面での影響は主に加工肉が、寿命を減らします。チーズバーガー140g (-6.26分)、ピザ 140g (-7.81分)、ホットドック140g(-36.3分)など、緑色の食べ物とは大違いで、食べるだけで健康寿命が数十分も減ってしまうのです。お菓子はややマイナスで、コーラ360g (-12.48分)、肉、特に加工肉は環境にも多くの影響を与える物質です。

 黄色い食べ物は、栄養的にやや有害か、環境への影響が中程度で、緑色と赤色の基準を満たさない中間にある食品です。ほとんどの鶏肉、乳製品(牛乳、ヨーグルト)、卵を使った食品、調理済み穀物(米など)は、黄色に該当します。白米140g (-2.15分) チャーハン198g (ー4.09分)、ラーメン245g (-4.31分)などが代表です。

 健康長寿を考えるなら、緑色を多め。赤色をやや少なめ、黄色もほどほどといったところが、理想的な食事になるようです。例えばビーフステーキ(ー7分)や牛ハンバーグー(ー7.79分)を、メインディッシュにするなら、生トマト(+3.82分)、きゅうり(+3.78分)などの野菜をたっぷり付け合わせたり、デザートにりんご(+13.46分)を食べたりするとバランスが取れるということです。

 そう考えると、ホットドックの大食い競争などは、めちゃくちゃ寿命が縮みそうで怖いですね。牛肉や加工肉の代わりに、果物、野菜、ナッツ、豆、魚介類を10%摂取することで、毎日48分も健康寿命を延ばし、二酸化炭素の排出量を33%も削減できると結論づけられています。

 国が豊かになると、畜肉や加工肉を食べる割合が増えてきます。世界の人口は2050年までに100億人に達するとみられており、その全てに食料を供給することができなければ、健康長寿の問題どころではなくなります。畜肉には、ものすごい量の穀物と水が必要になります。持続可能な社会を続けるためには、環境的な視野も持って食べ物を選ぶべきでもあります。

 幸い、寿命を長くしてくれるものは、緑色の食べ物が多く、これらは環境への影響も少ない食べ物です。肉と砂糖の消費を減らして、果物と野菜の量を増やす食事を選ぶのは、あなたの健康のためにも、地球のためにも有益な方法なのです。

 野菜を沢山食べるというのは、昔からある健康法でもあり、2050年に飢餓で亡くなる人が多くならないよう、肉の消費量を半分に減らし、野菜や魚で補うことが提案されています。地球環境が心配だったり、工業的畜産に同意できない人はヴィーガンを掲げたりしています。

 仮に地球上すべての人間がビーガン(卵や乳製品を含む動物性食品を口にしない完全菜食主義者)になれば、食料システムから排出される温室効果ガスは半分以下に削減されます。また全員がベジタリアン(卵や乳製品は食べる菜食主義者)になれば、食料による排出量は44%削減されるのです。

 健康寿命を伸ばす食べ物は、野菜や果物が多く、それらは同時に地球にも優しい食べ物であるというのが論文の結論です。我々一人一人が、少しそれを意識して食べるだけで、健康寿命が伸び、持続可能な社会に近づくのですよというお話でした。

 皆様も食べ始めは、野菜からにして、多めに食べる意識を持ちましょうね! この論文を読んで、ホットドックやピザ、ハムサンドなどはなるべく避けるようにしようと思った蒼野でした!

参考文献:   Small targeted dietary changes can yield substantial gains for human health
  and the environment Katerina S. Stylianou, Victor L. Fulgoni III & Olivier Jolliet  

 Nature Food volume 2  616–627 (2021)

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