最近右の腰から背中が時々痛くなる蒼野です。ブログのために、調べたり、書いたりする時間が少し長くなっており、その時の姿勢が悪いためではないかと思っています。デスクワークのお仕事の方も多い様に思いますので、今日は「座りっぱなし」と健康について書いてみたいと思います。
2021年に、日本人6万人以上を対象とし、平均7.7年間追跡した調査で、座ったままの時間が長いほど死亡リスクが上昇することが報告されたのは、蒼野も衝撃を受けました。日中の座位時間とすべての死因による死亡の関係を、生活習慣病の有無と、余暇時間の運動量に分けて調べた研究結果です1)。
結果としては、日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡率は15%上昇することが、全体として示されました。脂質異常症があると18%、高血圧があると20%、糖尿病があると27%、そしてこれら3つ全て持っていると、42%も死亡率が上昇します。
これらの生活習慣病がない人でも、13%は上昇するので、座りすぎは厳禁です。余暇に身体活動が多いかどうかで比べたところ、余暇時間の身体活動が増えても、座位時間による死亡率の減少効果はわずかしか下がりませんでした。海外でも座り過ぎの健康への悪影響は既に認識されており、すでにガイドラインも作成され、座位時間の短縮勧告が行われています。
2011年の質問調査では、日本人の座位時間は世界一という不名誉な結果が出ています。コロナ禍で在宅ワークが増えた現在、通勤での運動がなくなり、身体活動が減っている上、座位時間は延長している可能性は高い様です。1日に11時間以上座っている人は、4時間未満の人と比べた死亡率は40%高まることが知られています。また別の研究では、1日3時間以上テレビを見る人は、それ以下の人よりも8年後の死亡リスクが2倍以上になるという結果が出ています2)。
人間は「座っているだけ」で疲れるのです。座り仕事が、肩コリ、腰痛、首コリ、猫背、むくみの原因になります。なぜ疲れるのかについては、動かないことで筋肉自体が硬くなることと、局所の血流障害が起こることです。
全身の筋肉の70%を占める下半身の筋肉が動かなくなると、筋肉の血流のポンプ機能が働かないことから、循環動態が悪化し、血流や血中の脂質代謝が低下し、血液中の中性脂肪の増加、善玉コレステロールの減少、血中インスリン感受性の低下などを引き起こし、動脈硬化などの悪影響につながることが指摘されています。
運動時間も減ってくることから、脳内でのBDNFの分泌不全も生じ、認知機能低下やメンタルの悪化などにもつながるのです。原始人が何時間も同じ姿勢で座り続ける必要は無かったはずですよね!何時間も座り続けることは、人類にとってとても不自然なことでもあるのです。
気づいていない人も多いのですが、座っていると、太ももやふくらはぎもカチコチになっています。座る姿勢を安定させるために、下肢の筋肉は常に緊張しているのです。筋肉が硬くなると、その中の血管は圧迫されて細くなります。さらに長時間硬いままだと、周囲の骨(骨盤)や筋肉を引っ張り続けることにもなり、姿勢も悪くなってきます。
骨盤の位置がずれ、骨格がゆがんでしまい、猫背や巻き肩(肩関節が前にずれ、体の内側に入り込んでいる状態)になりやすくなるのです。背中が丸まり、肩が前に出ると、首・肩・背中の筋肉が張って硬くなり、血流が悪くなる連鎖が起こってきます。これが、長時間座位での首コリ・肩コリ・腰痛の原因になるのです。
蒼野も心当たりがあります。頭では動かないといけないことがわかっていても、ついつい長く座ってしまい、背中が丸まり、体が左に傾く癖があり、右の背中から腰が痛くなってくるのです。座る時間が長くなると、歪んだ姿勢が、「一番ラクな姿勢」になってしまうため、痛みが慢性化してしまうのです。
マッサージはその時は気持ちが良いのですが、一時的な効果しか得られません。動かしたり伸ばしたりしなければ、筋肉はすぐにまた硬くなり血流が悪くなるため、少し時間が経つと元の場所に張りや痛みが出やすいのです。筋肉が柔らかくなるようにメンテナンスを行い、骨格の歪みまで改善することで初めて、元の身体を取り戻すことができるのです。
座位姿勢で、一番硬くなりやすく、鍵となる筋肉は腿裏のハムストリングスです。特に座った時に膝を曲げていると、縮みが強くなり硬くなります。ハムストリングスが硬くなると、骨盤を引っ張るため骨盤が後傾します。背中は丸くなり猫背になりやすく、巻き肩を誘発します。姿勢が悪くなり、肩、首、腰がいっぺんに悪くなるのです。
対策としては、こまめな血流改善の運動とストレッチで筋肉をほぐす事になります。具体的には1時間に1度は立ち上がって、テレビ、パソコンや書類の前から離れる。離れた際にストレッチを行います。まずやって欲しいストレッチは、片足ずつ椅子に踵を乗せて、体を前に倒し。じっくりとハムストリングスを伸ばすストレッチです。椅子がなければゆっくり前屈しましょう。
運動としては、足を動かすのが重要です。足指をグーにしたり、開いたり、踵を上げたり、つま先を上げたり、足首を回したりしましょう。これらはエコノミークラス症候群の時にも役に立ちます。オフィスで座ったままでも出来るので、会議中なども時間毎に少しずつ動かしましょう。
腰痛に関しては、股関節の動きが狭くなると起こりやすくなります。大臀筋をしっかりストレッチしましょう。椅子に座ったまま片方の足首を、反対の膝に乗せて、ゆっくりと上半身を前に倒しましょう。お尻が伸びているのが感じられればOKです。
肩こりや猫背の改善には、座位でほとんど使うことのない、上腕三頭筋のストレッチが効きます。ここが硬くなると猫背や巻き肩に繋がりますのでしっかり伸ばしましょう。頭の横で肘を曲げて小指を背中につけます。反対の手で肘を後ろに押すと三頭筋が伸びてきます。
同じ肩こりでも巻き方がひどい時には、大胸筋が縮まって硬くなっています。壁に向かって真横に立ち、少し背中側の壁に手をつけたまま、胸が伸びるように、体を外側に捻りましょう。
背中が丸まって張りや、ぽっこりお腹になっている場合の改善には脊柱起立筋をほぐすと良いです。足をガニ股に開いて、中腰になるよう少ししゃがみ、両手を両膝に置きます。そのまま片手で膝を押し体を捻ります。イチローがよく行うストレッチです。背中が伸びるのを感じましょう。
首、肩、背中が全部ガチガチなら僧帽筋です。肩こりのメインともなる筋肉で、蒼野も硬さをよく感じます。両手を頭の後ろにつけて、頭を下に向けます。肘を絞りながら両手で後頭部をじんわりと押し、頭を真下に落とす様にして背中と首をストレッチします。
筋肉をストレッチして、血流を改善することで、様々な疲れや症状が取れてくる可能性がありますので、是非毎日の生活に取り入れてトライして行ってください。書きながら蒼野も、ストレッチも1日に1回しかできていないなあと反省しています。
皆様も痛みとバイバイするために、こまめなストレッチや、ちょっとした体操をクセにしてしまいましょう。運動を入れることで、頭の回転も良くなるので、一石二鳥だと思います。今日はブログを書きながら、やけに立ち上がっている蒼野でした!
参考文献:
1)Effect of Underlying Cardiometabolic Diseases on the Association Between Sedentary Time and All‐Cause Mortality in a Large Japanese Population: A Cohort Analysis Based on the J‐MICC Study. JAHA Vol.10, No.13 2021
2)Television Viewing, Computer Use, Time Driving and All‐Cause Mortality: The SUN Cohort, JAHA Vol.3, No.3 2014
参考書籍:
座り仕事の疲れがぜんぶとれるコリほぐしストレッチ 首・肩・腰が軽くなる! なぁさん
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