このところ健康な習慣について書いています。現代人は意識しないと運動不足になる人は多いです。座りっぱなしの仕事や、自家用車の使用、便利な家電製品など、我々が体を使う機会は減っています。原始人から変わっていない我々の遺伝子は、余計なエネルギーを使わないことが、種の保存に役立つとする遺伝子のままなのです。
ネットを見ていると、ムキムキの男子や、お腹に川の字が入っている女子の写真が目につき、筋トレってブームなのかなと思うこともありますが、日本リカバリー協会によるインターネット調査によレバ、男女それぞれ5万人で、直近1年間に筋トレをしたことがない人は77.1%に上りました。週1回以上する人は13.5%しかいないようです。
決心してジムに入っても、最初は通えていても、忙しかったり、面倒だったりして、だんだん行かなくなり、辞めてしまう人は多いですよね。実際のデータでも、ジムトレを始めて、1年後も継続できている人は、4%以下しかいないようです。これを見ると筋肉を育てる生活週間が続けられる人は、本当に一握りで、それが高齢になってからの、サルコペニアやフレイルにつながっていることにつながります。
実は蒼野も、何度もジムに申し込んでは辞めた経験があります。仕事で疲れた後は、早くご飯を食べて寝たくなります。かといって朝早起きしてジムに行ったこともありません。行ってしまえば、運動はできるのですが、行くまでの気持ちのハードルが高いように感じます。健康習慣として確立するためには、ベイビーステップを繰り返すのが、鉄板です。
しかし健康のための運動としては、ハードな筋トレを、1時間もしなくてはならない訳では無いようです。2022年に報告された、新潟医療福祉大学の研究によると、学生39人に500mlのペットボトルを体の前で3秒間だけ支えたり、動かしたりする簡単な筋トレを、週5日間で4週間続けてもらったところ、平均筋力がアップしていました1)。
空中で3秒間支える運動(等尺性収縮)グループと、肘を曲げて3秒で持ち上げる(短縮性収縮)グループ、肘を伸ばしながら3秒支える(伸張性収縮)グループに分けて比べたところ、4週間後の筋力は、支えるだけのグループで11.5%、他の2グループでも4.5%ほど向上していました。
毎日の生活の中で3秒の時間が取れない人は居ないと思います。これなら誰でもできる筋トレといっても良いように思います。これを朝起床後のストレッチに引っ付けて行い、毎日繰り返すことで、無意識でもできる健康習慣に落とし込むことができるような気がします。
蒼野としては、7秒かけるスロースクワットやプランク、ゆっくりのプッシュアップなどを、毎日の同じ時間に、日替わりで組み込んだりすれば、健康効果の高い筋トレになると思います。蒼野は毎日、歩くことに関しては無意識のうちにできるようになり、歩かないと気持ち悪いくらいです。
また朝のストレッチは行うようにしていて、これも、寝坊した朝以外は、ほぼ日で行えています。ほんの数秒の筋トレでも有効であるのなら、是非試してみたいと思います。習慣にするのには、0→1が一番難しいのです。ストレッチの習慣が無いのであれば、歯を磨きながら、ゆっくり1回スクワットをしたりするのはどうでしょうか?
非常に短いトレーニングからで良いので、何もしない生活を続けるよりも、3秒からの筋トレをお勧めします。それが習慣になってしまえば、少しずつ負荷を上げたり、時間を長くしたりすると良いと思います。筋トレは始めて繰り返せば、だんだん続けやすくなるのです。
筋トレの病気の予防効果については、多くの報告があります。全てのメカニズムが分かっている訳ではありませんが、最新のレビュー論文では、筋力強化活動は、全死因死亡率、心血管疾患(CVD)、全がん、糖尿病、肺がんのリスクを10~17%低下させることと関連していました。
これは過去の16本の研究論文のメタ解析によるもので、筋トレ時間と病気リスクの関係はJカーブになっています。週30~60分の筋トレをした場合に最も低くなったのです。理由はまだはっきりはしませんが、週130~140分以上の筋トレからリスクはまた上昇し始めます2)。
運動による活性酸素の問題もあるのでしょうね。激しいスポーツをする選手の寿命は一般人よりも短いことが知られているからです。ムキムキ、キュッを見せつけたい訳では無く、健康のための運動であれば、実は1日5~10分くらいで良いということなのです。これなら生活の中に取り入れられそうですよね!
食べすぎると運動出来ないので、腹8~9分目で食べて、夕食後15分以内にスロースクワットを1回するくらいから始めてみませんか。もちろん片足立ちや、ランジでも良いです。食後の血糖スパイクの予防にもなり、ダイエットにも有効で、一石二鳥の運動習慣になると思います。タンパク質補給後でもあり、筋肉も大きくなりやすい時間帯です。
蒼野の経験上では、仕事をしている人は、朝起床時か、夕食後くらいの時間が、運動習慣を入れやすいのでは無いかと思います。とにかく、自分でやりやすい時間に、もう習慣になっているものと組み合わせて、簡単にできる運動から始めて、繰り返すと言うのが、新しい運動習慣を一生続けるのにいちばんの近道だと思います。
昨日まで大丈夫だったので、身体はずっと同じように動くと思っている人は多いです。幼稚園の運動会で、ころんころんお父さんが転ぶように、運動しないまま年月が経つと、身体はどんどん動かなくなり、力が弱ってくるのです。特に女性は高齢になって、筋力が落ちることで、膝が痛くなったり、転倒して大腿骨を折り、寝たきりになったりする人が多いです。貯筋運動が鍵となります。
元気なうちに、簡単な筋トレを生活に取り入れてしまいましょう。一人では続けられない場合には、家族や友達を巻き込んだり、オンラインのコミュニティなどに参加してみましょう。毎日繰り返すことができれば、だんだんやらないと気持ち悪くなってきます。それは健康寿命のパスポートになってくれるはずです。
毎朝のストレッチに、スロートレーニングを加えてみようと決意した蒼野でした。
参考文献:
1)Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength – Scand J Med Sci Sports. 2022 ; 32(5):833-843.
2)Muscle-strengthening activities are associated with lower risk and mortality in major non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of cohort studies – Br J Sports Med. 2022 Jul;56(13):755-763.
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