皆様は「ソーバーキュリアス」という言葉をご存知でしょうか? 蒼野は最近知ったばかりです。英語の「sober(しらふ)」と「curious(好奇心が強い)」を組み合わせた言葉で、イギリスやアメリカのミレニアム世代を中心に、クールなライフスタイルとして、トレンドになってきているそうです。
それは、「飲めるけれども、あえて飲まない」というライフスタイルです。大人になったら、飲酒は、人間関係を作る上でも嗜むべきマナーであると教わってきた、昭和世代の蒼野達にとっては隔世の感があります。時代は移り変わってきていますね!
私事ですが、蒼野のお酒との出会いは、一浪して医学部に合格したときに、同級生に連れられて飲みに行ったのが最初だったでしょうか? 両肩を支えられないと歩けないくらい飲んだのは、朧げに覚えています。医学部に入ってからは、体育会系のサッカー部だったので、飲みも激しかったです。
新入生歓迎コンパの会場に行くと、床は全部青いビニールシートが張られていました。サッカー部のコンパは民家を改造した、中野荘というところでしか開催出来ないことになっていました。酒癖が悪く、そこらじゅうを汚してしまうことから、他では出入り禁止になっていたようです。
嫌な予感はしましたが、会が始まると、沢山の先輩方がお酒を注ぎに、新入生の前にやって来て、飲み干すまで待つのです。蒼野は日本酒で、コップに7杯までは覚えていましたが、気がつくと新聞紙の上に寝ていました。髪の毛は自分の吐物で、垂直に固まっていたのです。その後2ヶ月くらいはアルコールの匂いを嗅いだだけで、吐き気がしました。
今考えると死ななくて良かったなと思います。現代ではアルハラなのでしょう。でも伝統だったので、当時はそんなものかと思い、当たり前だと思っていました。酔っ払ったのを面白がったり、介抱したりして、一体感と人間関係が出来ていた時代でした。ちなみに中野荘の池の鯉は、いつも池に入って吐く奴がいるため、丸々と太っていました(笑)。
しかし時代は変わりました。若者のアルコール離れは、日本でも加速しているようです。2018年の厚労省の調査では、「飲酒習慣」がある人は40代で25.4%、一方20代では9.9%程度です。お酒を「ほとんど飲まない」「飲まない(飲めない)」「やめた」と答えた20代の割合は56.5%と若者の半分以上は、ソーバーキュリアス的なライフスタイルを選択しているようです。
デジタルネイティブなミレニアム世代は、健康に関する情報も豊富です。多くのインフルエンサーが、お酒をやめている事や、SNSで酔っ払った自分の姿をシェアするのはクールではないと考えているのです。お酒を飲んだあとの不快感、酔った際の失敗、健康面への悪い影響よりも、飲まずに健康でいるライフスタイルのほうが、よりクールであると支持されています。
最近出てきた研究から、「アルコールは新たな喫煙問題」という見方が強くなって来ています。飲酒が健康に及ぼす長期的影響に関する研究が進むほど、飲酒という習慣を正当化することが難しくなっているのです。昨年ランセットに掲載された、世界の疾病負担研究では、「安全な飲酒量というものは存在しない」と結論づけられました。
アルコールの摂取による2016年の死亡者数は全世界で280万人にのぼり、15~49歳の年齢層における死亡および身体障害の主要危険因子は「飲酒」だとされています。また全世界で約10憶人の飲酒者が「一時的多量飲酒者」です。大量飲酒を続けていると、その依存性から、アルコール中毒に移行する人が圧倒的に多いのです。
飲酒量を減らすことは、がん、肝臓病、脳卒中などの重篤な疾病リスクを低下させ、健康を全般的に改善することにつながります。飲酒をする人がみな、がんになるわけではありませんが、研究によって、一部のがんは飲酒をする人々に多く見られ、アルコールを多量に摂取する人は、さらにリスクが高まることがわかっているのです。
そういう情報が多くなるにつれて、あえて飲まない事への好奇心を持ち、実践する人が増えて来ています。コロナもあり、飲みの場での『飲みにケーション』という風潮にも衰退が見られます。若者に限らず年齢も幅広く「飲まない」人が増えており、ソーバーキュリアスなライフスタイルがトレンドになって来ているのです。
飲む事、お酒を買う事はコスパが悪い、飲んだ後で後悔する(お酒で失敗した、具合が悪くなるなど)など、お酒のイメージも悪くなっている分、「飲めるけど、あえて飲まない」思考がかっこいいとされ、ソーバーキュリアスが始まったロンドンでは、ノンアルコールカクテルの【モクテル】人気が盛り上がって来ています。
ここで、お酒を飲まない世界のセレビリティを挙げてみます。ナタリー・ポートマン、ブラッド・ピット、ナオミ・キャンベル、ダニエル・ラドクリフ、ロバート・ダウニーJr.、ジェニファー・ロペス、ユアン・マクレガー、ジム・キャリーなどは元々あまり飲まない人たちです。
一度アル中になって、治療後に飲まなくなったセレブは、ザック・エフロン、エルトン・ジョン、サミュエル・L ・ジャクソン、コリン・ファレル、エリック・クラプトン、ベン・アフレック、エミネムなど錚々たる顔ぶれです。
景気が上がらない現代では、お金の無い若い世代の消費行動は合理的になります。時間を有効活用したい思いが強く、飲酒は費用対効果が低いと考える人が多くなっています。コロナ禍で健康意識が高まったことから、今後全世代でソーバーキュリアスの実践者が増えていくだろうと予想されています。
飲酒習慣への警告は、世界的な潮流です。世界保健機関(WHO)や国連のSDGs(持続可能な開発目標)でも「アルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する」という目標が既に定められています。
ソーバーキュリアスのメリットを挙げておきます。意識がクリアなまま、会話や音楽を楽しむことができます。失言、放言、暴言の類いが激減し、議論になっても感情的になりにくくなります。味覚を鈍らせずに、食事が楽しめます。二日酔いがまったくありません。失態や粗相が減り、記憶も残っています。財布が空っぽになったりしません。
バブル期に飲みまくった蒼野としては、お酒は大好きで、確かに楽しかった記憶はあるのですが、酔っていたのであまりはっきりとは覚えていません。その代わり、いっぱい失敗もしています。帰りに自転車でこけて、鞄ごと無くしてしまい、妻が里帰りしていたので鍵が無く、2階によじ登ってガラスを割って入って寝たこともありました。反省しきりです。
60歳を過ぎて、記憶力や集中力が衰えてきた今、お酒で更に低下させるのは、賢くは無いなと思ったりもします。一晩お酒を飲むと、3日間くらいの記憶力が50%低下するそうです。かっこいいと言われるソーバーキュリアス、是非取り入れてみようと思っています。
最近は、お酒を飲むとブログの筆が、本当に進まなくなることに気づいて、ほとんど飲めなくなっている蒼野でした。
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