ストレスフリーのための、忘れる生活習慣!

2023/11/24

 今日は、日頃のストレスをコントロールするための脳の使い方について書いてみようと思います。ストレスには、肉体的なストレスと、精神的なストレスがあります。肉体的ストレスが限界を越えれば、人は動けなくなるため、疲労が溜まれば「休む」選択をする人は多いと思います。

 しかし精神的ストレス、大半は人間関係によるストレスについては、気づきにくい側面があり、自覚できないまま限界を超えて、メンタル疾患に至ってしまう人は後を立ちません。精神的なストレスに対処するには、脳をうまくコントロールする必要があるのです。その人にとって最も良いストレス対処法は、各々が見つけてゆく必要がありますが、一般的な方法について書いてみます。

 嫌なことがあっても、気持ちを切り替えて行ければ、ストレスはさほど大きくはなりません。気持ちが切り替えられず、頭の中をぐるぐる回っている状態では、思い出す度に嫌な感情が湧いてきます。感情を司る大脳辺縁系は、今起きている事と、過去に起きた事が区別できません。思い出す度に、ボディーブローのように、メンタルは痛めつけられてゆくのです。

 悪いことに、感情を伴った出来事は、長期記憶に残りやすいという性質があります。人類が生き残ってゆくためには、恐ろしかったことや、嫌なことなどのトラウマは、覚えておいて次に活かす必要があるからです。人によっては、これがPTSD(心的外傷後ストレス症候群)につながり、精神的に病んでしまう人もいるのです。

 嫌なことがあった時にすべきことは、まず忘れることです。心理学者のエビングハウスによると、人の記憶は時間と共に薄れるようにできています。一般的な記憶は、20分後に42%、1時間後に56%、24時間後には74%も忘れてしまいます。世の中の情報は無限ですから、限りある脳のキャパシティを考えれば、人は忘れる必要があるという事です。

 忘れたい嫌なことを、忘れるためには、区切りをつける意味でも、その事実のみを記録します。一旦記録したら、そのことは一切考えずに、他のことをして時間を稼ぐのが忘れるテクニックになります。美味しいコーヒーを味わったり、音楽を聴いたり、体を動かしたりして、頭はぼーっとした時間を過ごすのです。

 同じ失敗を繰り返さないためには、忘れてはいけないこともありますよね! そういう意味でも、嫌な事を長期記憶に残すよりも、その事実だけを書き出してしまって、自分の感情を交えずに、客観的に眺めてみるのです。文章にして眺めれば、他人事のように感じられることも多いのです。

 否定的な考えや感情を言語化してしまうと、記憶回路が刺激され、長期記憶に移行しやすくなってしまいます。事実だけを書き出し、その事実に対する認識はとして、「その状況なら誰にでもありうる失敗だ」などのように、俯瞰して、客観視して考えてみましょう。

 日記というのは、ストレスを溜めないための重要なスキルです。蒼野は自分の事故の後、半年くらいはウジウジ考えていたのですが、時間が経ち、日記をつけるようになって、仕方がないと思えるようになりました。今日、昨日よりも成長していることを、喜べるようになると、後遺症の複視もあまり気にならなくなりました。

 トラウマとして残りそうな、交通事故に遭ったばかりの人を対象とした、スウェーデンの研究によると、事故から数時間以内に”テトリス”をプレイした人は、プレイしなかった人と比べて、その後1週間の間に、自己のフラッシュバックを起こす頻度が、62%も減ったそうです。記憶として定着する前に、思い出すときに何か別のことも一緒にするのが鍵になります。

 辛い気持ちを一緒に思い出すことが少なくなり、記憶が修飾されて、嫌でたまらなかった記憶が、だんだん別の物に変化しやすいからです。PTSDの治療を受けている人でも、トラウマになっている記憶を、テトリスをしながら思い出してもらうと、トラウマのフラッシュバックが、平均64%減少するのです。

 何か別のことをしながら思い出すと、だんだんトラウマが、そうでもない記憶に変わってゆく可能性があります。思い出しながら朝散歩したり、筋トレしたり、ゲームをしたりするのがオススメです。嫌な記憶を何度も思い出しては、また嫌な思いをするというのが最悪であることは覚えておきましょう。

 嫌なことを忘れるためと、記憶を少しずつ、すり替えるために、やって欲しいことはウォーキングなどの有酸素運動です。歩いていると、筋肉から様々なマイオカインという物質が分泌されます。IGF-1(インスリン様成長因子)やVFGF(血管内皮細胞増殖因子)は、脳の神経細胞や、神経細胞のメンテナンスを行うグリア細胞を保護してくれます。

 もちろん有名なBDNF(脳由来神経栄養因子)やセロトニンも分泌され、脳細胞を活性化し、整えてくれます。それらの物質によって、脳は元々の良好な状態を保とうとします。脳は変化することが苦手で、もともと強い恒常性維持機能を持っています。つまり新しく記憶する変化が生じた時に、増えた分だけ積極的に忘れようとするのです。

 この積極的忘却に関与するのが、RAC1という分子です。シナプスを作る細胞突起を消失させ、シナプスを減らし、記憶を妨げるのです。このRAC1は、ドーパミンと共に増えることが分かっています。気分を上げて、新しい発見をしてドキドキしながら歩く事が出来れば、嫌な事を忘れやすくなるのです。

 これをうまく応用すれば、忘れたい嫌な記憶を減らすことが出来ます。幸か不幸か、蒼野が事故で車に乗れなくなり、毎日歩く事で、事故のトラウマが消えたのは、偶然では無かったのだと思います。仕事で嫌なことがあった日には、遠回りしたり、地下鉄の一つ前の駅で降りたりすると、御利益がありそうです。

 最後は睡眠です。ベースは毎日規則正しく、不足なく眠る事です。睡眠中に脳のメンテナンスは行われます。神経細胞を保守点検するグリア細胞も、寝ている時に活動していますし、深睡眠中に、脳内の老廃物が排除されるのです。まだ詳細は分かっていませんが、レム睡眠中に見る悪夢は、脳のストレス耐性を高めてくれるそうです。

 睡眠は脳を整理して、必要な情報を長期記憶に残し、不要な情報を捨て去ってくれます。一般的には少なくとも7時間、ベッドに居る時間を作るべきです。しっかり睡眠時間を確保し、朝爽やかに目覚めれば、前日のストレスフルな出来事も、遠い昔として冷静に対処しやすくなります。

 最近は大きなストレスなく過ごせている蒼野です。当たり前のことと思わず、これからも感謝しながら、歩いて、よく眠る生活を送ってゆきたいと思っています。

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