梅雨を乗り切るために必要な事!

2023/07/12

 7月に入ってから大雨と蒸し暑さが酷いですね。雷の音で眠れなかったりすると、翌日はぐったりしてしまいます。梅雨時期はだるさや不調を感じやすく、体調に気をつける必要があります。蒼野が手術もしていた救急病院時代には、6~7月は脳卒中の発症が多く、忙しかったのを覚えています。今日は梅雨時の体調管理について書いてみたいと思います。

 まず気圧の影響からです。気圧が低くなると、身体の血管は拡張しやすく、片頭痛の誘因になるのは有名です。気象病という言葉は聞いた事があるかもしれません。昔から「雨が降ると古傷が痛む」との言い伝えがあるように、筋肉や関節においても、低気圧は血管を拡張して炎症を強めたり、神経に影響して痛みを感じやすくする可能性が指摘されています。

 気圧は内耳の圧受容器や、リンパ液にも影響します。バランスが狂うと、めまいや立ちくらみも起きやすくなります。気圧変化や、温度、湿度が高いことによる不調は、ストレスを増大させます。これは高血圧や糖尿病、高脂血症などの持病がある人では、心血管病の発症に関与する可能性があります。脳卒中リスクも高くなるのです。

 蒼野の経験では、夏の時期は手術は減りますが、梅雨の始まりから、暑くなり始めに、くも膜下出血が妙に多くなる日を経験してきました。これは冷房の始まりに一致している事が多く、温度差が原因となっている印象です。一般的には8度以上の温度変化があると体に大きな負担がかかります。急な寒暖差に、自律神経がついてゆけず、病気の発症のきっかけになりやすいのです。

 6月からの暑い時期には、脳梗塞が多くなります。脳梗塞には、高血圧で脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞と、動脈硬化で血管の壁にコレステロールが溜まって細くなる、アテローム血栓性脳梗塞と、心臓の中にできた血栓が流れて行って、急に大きな脳血管が詰まってしまう、重症の心原性脳塞栓があります。

 この時期には、脱水になりやすいことや、血圧が変動しやすいこともあって、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞が多くなります。これは水分摂取が予防の鍵になります。患者様を見ていても、発症した人は水分摂取が少ない人が多いです。特にアルコールは、肝臓での代謝で大量の水分を消費してしまうので、普段の飲水に加えて、飲酒時に同僚の水をチェイサーで飲む事が必要です。心筋梗塞予防も同様ですので十分に注意が必要です。

 梅雨時期には、気分が落ち込む人も多いです。天気が悪い日が続くと、太陽の光を浴びる機会が減り、外での運動も減ります。蒸し蒸しする不快感、急激な気圧変化も加わり。自律神経が乱れやすい時期でもあります。日中のセロトニンが減ると、夜のメラトニンが産生しにくくなります。ぐっすり眠れなくなることも加わり、体調も気分も落ち込むのです。

 また湿度が高いことで、カビやダニも増えやすく、アレルギーも増える時期です。アレルギーを抑えるには、免疫反応の暴走を抑える必要があります。そのために大事なのは腸活です。腸内フローラを多様で良好に保てると、余計な免疫反応は起こりにくくなります。プレバイオティックス、プロバイオティックスの摂取は、梅雨に限らず常に心がけておくのが基本です。

 屋内での熱中症は、梅雨時期に激増します。湿度が高いと、汗をかいても体温がなかなか下がらない為です。実家の母も例にもれず、エアコンは冷えると言って使おうとしません。水分もあまり摂らないのもすごく気になります。長袖長ズボンのパジャマを着て、エアコンを使って眠るように口うるさく言ってしまいました。高齢になると喉の渇きが感じにくくなるため、本当に心配です。

 特にこの時期はサーカディアンリズム(概日リズム)を大切にしましょう。天気が悪くても、朝はカーテンを開けて光を浴び、朝食を決まった時間に摂り、晴れ間には外出を心がけましょう。適度な運動習慣は大事です。毎日自分で可能な時間に、必ず身体を動かしましょう。日が暮れたらブルーライトを浴びないように、ナイトモードを活用したり、ブルーライトカットグラスをかけましょう。

 サーカディアンリズムの乱れは様々な不調や病気につながります。週末や休みの日も同じ時間に起き、同じ時間に寝る事が大切です。脳卒中の発症は月曜日に多い事が分かっています。リズムが乱れ時差ボケ状態になりやすい事が影響しているようです。また金曜日にハメを外すことで起こる脳卒中は、死亡率が高いという研究もあります。

 サーカディアンリズムは、ホルモンや神経伝達物質の日内変動に、大きく影響します。コルチゾール、セロトニンは朝、メラトニン、成長ホルモンは夜、ドーパミンは昼に高まる周期があります。生活リズムがバラバラになると、ホルモンや神経伝達物質の分泌も狂ってしまい、パフォーマンスが落ちたり、不調につながったりするのです。

 脳卒中や心臓病は、午前中に発症する事が多い事が分かっています。早朝にコルチゾールのピークがあり、血圧も心拍数も朝にピークが来る事が多いからです。午前中には血液の凝固傾向も高まっており、発症に影響します。起床直前には、コルチゾール値は最低となっているため、その抗炎症作用が弱くなっており、明け方に喘息や、リウマチは悪くなります。

 これらの疾患は、サーカディアンリズムを整えることで、予防やコントロールがしやすくなります。気圧や湿度や温度の悪影響が出やすい時期だけに、一層気をつけて、睡眠、食事、運動、ホルモン分泌、伝達物質分泌などの、生理的なリズムを最適化しましょう。

 この時期は、低気圧によって、体は浮腫みやすく、血流が悪くなっています。高血圧の予防のためにも、野菜や果物からのカリウム摂取を増やし、塩分と水分をおしっこで排出しましょう。浮腫みやすいからと、水分摂取を控えてはいけません。最低でも体重×35ml/日の水分を摂るよう習慣づけましょう。ストレッチを行い、筋肉内の血流をアップし、組織に溜まった水分を絞り出しましょう。

 カリウムは梅雨時期は特に発汗で失われています。きゅうりやズッキーニ、大根、ほうれん草、さつまいもやバナナ、アボカド、ヨーグルトなどに多く含まれています。食欲がない、料理がめんどくさいと、素麺ばかり食べていてはいけません。

 カビ対策も怠らないようにしましょう。70%以上の湿度、20~30度の温度、汚れなどの栄養源 の3つが揃えば、どんどんカビは増殖するとのことです。これらの条件を一つでも減らすことがカビ対策になるようです。蒼野も実家の掃除をしてみて、カビ対策の重要性に気付いたところです。カビ毒は認知症の大きな要因の一つですので、実家のカビは出来るだけ駆逐したいのです。

 湿度に関してはこまめな換気です。雨の日でも降り込まなければ、窓を開けて扇風機で室内の空気を外に逃がす方が良いかも知れません。湿度を見ながら、エアコンや除湿機を利用するのは有用です。エアコンで寒くなりすぎる場合には、除湿機も併用して、40~60%に保てるのが理想的です。電気代は上がるかもです。

 カビが生えやすいところには、アルコール除菌スプレーを使用すると予防になるそうです。寝具周りは布団乾燥機を定期的に使いたいですね! 布団が干せないこの時期は、週に1回くらいは、かけておきたいものです。

 梅雨時期の健康管理は、やる事がいっぱいです。少し整理できたので、蒼野も一つずつ取り組んでゆきたいと思います。帰ったら布団乾燥機をかけようと思っている蒼野でした。

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