熱帯夜に死なないために必要なこと!

2023/06/14

 梅雨の暑い夜、皆様は良い睡眠が取れているでしょうか? 蒼野は寝室に温度計+湿度計を置いておいて、睡眠環境の改善を心がけています。3日前は窓を開けて、エアコンなしで寝ようとしたのですが、2時に目が覚めると暑くて1時間近く眠れず、エアコンのお世話になりました。しかし良い睡眠が取れなかったのか、翌日はエネルギー不足を感じました。

 2日前は最初からエアコンをかけたので、前日の睡眠不足もあったのか、ノンストップで6時間以上眠れ、翌日はパワフルに、爽快に過ごせました。梅雨ですので、湿度は60%を超えていることが多いです。温度はそれほど高くなくても、汗が蒸発しにくく、体温調節が難しい時期ですよね。

 うちの柴犬も暑くて眠れないようで、夜中に小屋の床を掘って、カリカリカリカリ音を出します。おかげで妻も睡眠不足の様です。妻は冷房が嫌いなので、最近は寝る部屋が別になっています。地球温暖化と異常気象で、毎年過ごしにくくなってきている様に思います。都市化によるヒートアイランド現象や、エアコンの室外機からの熱風で、窓を開けても涼しい日が少なくなっている様に感じます。

 さて最新の論文によると、6月は危険な月の様です。日本の熱帯夜と死亡の関係を検討した初めての研究が、今年の5月に発表されています。熱帯夜が健康にどのような悪影響があるのかについて、筑波大学の研究者が、47都道府県の日々の気温のデータと、死亡に関するデータを検討しました。

 1973年から2015年までの43年間に、日本で死亡した人は、2472万1226人いました。最低気温が25度以上だった熱帯夜と、都道府県毎に、年間の中で最低温度が高かった上位5%の夜に分けて、死亡率との関係を調べました。すると、日本全体では、熱帯夜でない日からの21日間に比べ、熱帯夜の後の21日間のほうが、総死亡(あらゆる原因による死亡)リスクが9~10%上昇していたのです1)。

 虚血性心疾患による死亡は25%、脳血管疾患は13%、呼吸器疾患は9%、喘息は17%、腎臓病は8%、老衰による死亡も16%増えていました。全ての死亡が、熱帯夜や温度が下がらない夜と関係していることが分かりました。時期としては、ちょうど今頃、真夏よりも6月中旬くらいの方が死亡リスクが大きかったのです。

 皆様十分に気をつけましょう! 死亡者を年齢別に見ると、15歳未満の死亡率の増加は、熱帯夜後、3日間高くなる程度でしたが、65歳以上では熱帯夜後、2週間も死亡率が高くなることもわかりました。熱帯夜は北海道や東北地方では、年間2日未満ですが、沖縄や鹿児島では40日以上あり、特に沖縄では最低気温も27度以上と、地域差はかなり大きいと思われます。

 ヒートアイランド現象によって、田舎よりも都会の方が、気温は上がりやすく、居住地域によって、対策を立てる必要があると考えられます。熱中症の搬送を見ると、屋内での発症が39.4%と高く、道路(17.5%)、仕事場(11.2%)、屋外(11.1%)の順になっています(令和3年の熱中症による救急搬送状況)。

 「令和2年夏の熱中症死亡者の状況」のデータでは、屋内での熱中症死亡者のうち89.9%がエアコンを使用していなかったことがわかっています。ここで出てくるのが、エアコンの苦手問題です。特に女性に多いのですが、エアコンが苦手な方は結構居られます。未だにうちの妻は、エアコンをつけたがりません。

 確かに冷房が効きすぎているところは、蒼野も苦手です。温度の感覚は人によって異なり、男性と女性では体感温度に2~5℃の差があるそうです。体のつくりや、筋肉量、服装の違いなどから女性は寒さに弱い人が多いです。エアコンメーカーのダイキンの調査によると、冷房が苦手と回答した人は54.9%に上りました。男性が44.8%、女性は64.7%です。電気代も上がり、寝室のエアコン使用は、家族間でも議論が起こりそうな感じです。

 特に梅雨時期は、温度だけ下げても、湿度が高いと冷気がベタっと感じてしまい不快です。電気代はかかりますが、湿度が40~60%の間になるように、ドライで調節するのは一つの解決策です。エアコンで体調が悪くなるのがクーラー病です。身体の冷え、疲労倦怠感、頭痛や腰痛、腹痛、むくみや頻尿、鼻炎の症状が出たり、不眠になったりします。

 これは、外界との温度差もあり、自律神経が失調してしまった病態です。体温のコントロールも不良となり、身体の様々な不調が出てきます。自律神経の中枢は脳の視床下部です。ここに大きな負荷がかかると、脳疲労が起こり、「オーバーヒート」の状態になります。その結果体のあらゆる臓器の働きが低下してしまうことになります。

 それを治そうと、さらに視床下部には負荷がかかり、悪循環になってしまいます。夜暑いと、入眠する時に必要な、深部体温の低下が起こりにくくなり、眠れなくなります。体調不良に睡眠不足が続いたりすると、持病が悪化して、死に至るということも考えられますよね! 梅雨を乗り切り、夏を元気に過ごすには、やはり寝室の環境作りが鍵になりそうです。

 最も心地よいエアコンの条件を探すことも重要ですし、冷える様であれば、パジャマなど衣類や寝具で調整すると良いと言われています。なるべくエアコンを避けたい人にとっては、温度湿度計は必須だと思います。殺人的な暑さでなければ、エアコンを使わず、窓の換気や、自然風が通るように工夫しましょう。防犯には注意が必要ですが、蒼野家ではシャッターと、防犯ロックを使って1階のサッシを少し開けると、柴犬も眠れる様になって、妻も眠れた様です。

 開けた窓の前にサーキュレーターを置いて、外気を循環させたり、家具の配置を変えて風が通る様にしたり、庭に水を撒いたり、よしずや簾、タープなどで日陰を作ったりと、嫌いなエアコンを使わなくても、まだできることはあります。冬も活躍しましたが、窓に断熱シートを貼ったり、熱を跳ね返すカーテンを使ったりするのも、日中に室温を上げない工夫になります。

 蒼野は好きではないのですが、アイスノンは妻が愛用しています。接触冷感素材の寝具も色々使ってみましたが、暑い夜が快適に過ごせるものには巡り合っていません。調べてみて、気持ち良さそうだなと思ったのは、輻射式冷暖房というものです。自宅内に、輻射パネルを設置し、中に冷水や温水を通すことで、室温を調整するものの様です。

 ただ初期費用もランニングコストも、エアコンよりはかなり高額な様です。相場は1坪あたり10~13万円(最低でも100万円以上)、大掛かりな工事が必要な上、パネルを通る水の温度の調節で室温を変えるため、デロンギヒーターの大型のものと考えると、デロンギも電気代を惜しんで使っていない蒼野家としては、無理ですね!

 今年の夏も、借家についている古いエアコンでなんとか乗り切りたいと思っている蒼野でした! 

参考文献:
1)Mortality Risk of Hot Nights: A Nationwide Population-Based Retrospective Study in Japan. ; Environ Health Perspect. 2023 May; 131(5) :Published online 2023 May 12. doi: 10.1289/EHP11444

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