ウォーキングのエビデンス!

2022/12/05

 蒼野は事故以来、よく歩くようになりました。身体を鍛えたいと言うこともありますし、車に乗らなくなったと言うこともあります。ワンコの散歩も蒼野の仕事と言うこともあり、平均すると1日1万2~5000歩は歩いているでしょうか? 1日2万歩超える日もあったりします。

 最近読んだ新しいウォーキングに関する論文があり、1日何歩くらい歩くのが効果的なのかと言うことについて今日は書いてみたいと思います。巷で言われるのは1日1万歩と言われますが、これは科学的なエビデンスからの答えでは無いようです。1960年代に万歩計が売り出され、キリが良いと言うことで言われ出した数値のようです。

 最近ではスマートウォッチなどのデバイスや、電子カルテの発達で、正確な歩数と病気の発症を把握することが出来るようになりました。今年の10月10日に報告された論文で、米ヴァンダービルト大学の研究チームが、参加者が持っているFitbit デバイスと電子カルテのデータを供与し、最長7年間(平均で4年間)追跡した結果を解析したものです。

 平均年齢56.7歳(42~68歳)、BMIは米国の平均である28.1とやや肥満気味の6042人の男女について調べました。1日あたりの歩数と罹患疾患との関係は、1日の歩数が8,200歩以上歩く人は、肥満、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病などの発症が少ないという結果が出ています1)。

 元々6000歩歩いていたのを11,000歩に増やすだけで、肥満のリスクは64%低減しています。歩く歩数が増えれば増えるほど、病気が減るのかと言われると、高血圧や糖尿病に関しては、8,000~9,000歩位までは、歩くほどリスクが下がっていきます。しかしそこで下げ止まって、それ以上歩いてもあまりリスクは変わらなくなります。

 つまり4000歩が8000歩になると、病気のなりにくさには大きな違いが生まれますが、8,000歩の人が12,000歩に同じく4,000歩増やしてもあまり変わらなくなると言うことのようです。そこで工夫できるのは運動強度です。1分に100歩歩く速度で、中程度強度の運動になります。1分間に130歩の早足にすることで、高強度の運動に変化します。時々速歩を入れるインターバル速歩で歩くと、短い時間でも予防効果が期待できます。

 高血圧や糖尿病以外の疾患や、肥満に関しては、9000歩を超えても、歩数に比例して、リスクが低下するものもあるため、一概に1日9,000歩が、歩行メリットが最大になるとは言い切れません。交通機関が発明されるまでは、昔の人は平気で毎日16km近くを歩いていたとのことです。歩幅にもよりますが、9,000歩は約6.4kmに相当するため、22,500歩も歩いていたことになります。でも歩けない距離では無いと思います。

 日本人の研究もいくつかあります。日本人419名、平均年齢71歳を歩数で4つのグループ(4503歩未満、4503~6110歩、6111~7971歩、7972歩以上)に分けて9.8年追跡した実験では、その間に76名が死亡しました。グループで比較すると、1日に4503歩未満の人と比較したときの死亡リスクは、7972歩以上では54%も低下していました2)。

 歩行は一度に歩く必要はありません。こまめに稼いでいけば、1日8,000歩は、難しい数字ではないと蒼野は自分で歩いていて思います。1分130歩の早足なら約1時間、1分100歩の普通歩行でも1時間20分です。座りっぱなしの職場だと、やはり通勤や昼休みをうまく利用するのが良いと思います。

 東京都健康長寿医療センター研究所の青栁先生が、群馬県中之条町の65歳以上の方5000人を対象に、13年間、アンケートと健康診断データから、身体活動と疾患の予防との関係を研究したデータ3)によると、歩数だけではなく、中強度の身体活動も合わせて行なっている人が、特に健康的であることが分かりました。

 健康のためには強い運動だけしていても、歩数が不足すると病気のリスクは上がり、また歩数が多くても運動強度が低いことしかしていない人も病気のリスクが上がるということになります。理想的な運動としては、1日8,000歩+中強度の活動20分が健康を保つのに有効な運動量でした。

 1日8,000歩+中強度の活動20分を上回っていれば、次のリスクが減ってきます。①要支援・要介護、②うつ病、③骨粗しょう症、④骨折、⑤高血圧症、⑥糖尿病、⑦脂質異常症、⑧心疾患(狭心症・心筋梗塞)、⑨脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、⑩認知症(血管性認知症・アルツハイマー病)、⑪ガン(結腸ガン・直腸ガン・肺ガン・乳ガン・子宮内膜ガン)

 詳しくみてゆくと、4000歩/5分でうつ病、廃用性症候群予防。5000歩/7.5分で認知症・心疾患・脳卒中予防。7000歩/15分でがん・動脈硬化・骨粗しょう症予防、8000歩/20分で高血圧症・糖尿病予防、10000歩/30分でメタボリック・シンドローム予防、12000歩以上は、病気の予防効果が頭打ちになると結論されています。

 最初から8,000歩は歩けなくても良いと思います。蒼野が怪我で体力が落ちた後のことを思い出すと、歩いていると少しずつ多く歩けるようになりますし、疲れなくなってきます。忙しくて1日1時間も歩いている時間は無いと言う方も多いかと思います。しかし生活の中で階段を使ったり、少しでも歩くことを意識することで、筋肉が衰えてしまう4000歩はキープして欲しいです。

 中強度の活動という点ではスキマ時間に体操や筋トレなどを短時間でも入れてゆくと良いと思います。蒼野は職場の階段を1段飛ばしで登ったり、一人でエレベーターに乗った時には、股関節回しやスクワットを行なっています。自宅でもちょこちょこ自重の筋トレも行なっています。

 歩数を増やす方法としては、万歩計や携帯の歩数計、スマートウォッチなどで歩数をチェックする習慣をつけることです。ただチェックするだけで歩数は1~2割増えるという統計があります。以前書いたようにポケモンGOや、「Move To Earn(動いて稼ぐ)」のアプリを利用するのも楽しくて良いと思います。

 筋肉をモリモリにつけたい人は歩き過ぎには注意して下さい。筋トレの筋肥大効果は長時間有酸素運動すると下がってきます。ボディメイクをしている人は1日60分以上歩いていたりすると、筋肥大効果はゼロに近くなるそうです。有酸素運動が週3回を超えると筋肥大が低下するため、週1~2回が良いようです。スポーツによって体型が違う理由と一緒です。マラソン選手にゴリマッチョはいませんよね!

 最後に健康寿命が延びるウォーキングの方法についてです。同じ歩くのなら少し運動強度を上げ、また怪我をしないように歩きたいですよね! 大股で地面を力強く蹴って歩く、うっすらと汗ばむ程度に早歩きをする、息が弾むぐらいのペースで歩くことを心がけてみましょう! 最初は週に2~3日、1回30分間から始めて、徐々に増やしてみて下さい。

 毎日歩くので、クッションの良いランニング用のスニーカーを集めるのが趣味になりつつある蒼野でした。

参考文献、書籍:
1)Association of step counts over time with the risk of chronic disease in the All of Us Research Program. ; Nature medicine. 2022 (11);2301-2308.

2)Daily step count and all-cause mortality in a sample of Japanese elderly people: a cohort study. ; BMC Public Healthvolume 18, Article number: 540 (2018) 

3)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?、青栁幸利、あさ出版、2014

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