飲酒量はゼロがいい??

2021/11/16

「基本的に飲酒量はゼロがいい」、これは2018年9月にLancetに掲載になった論文の結論です。

 蒼野は、『酒は百薬の長』という言葉を信じて、飲む言い訳にしていました。以前の論文では、虚血性心疾患(心筋梗塞など)が『少量飲酒で発症リスクが下がる』という結果から、病気のリスクは、Jカーブになっており、全然飲まないよりも、体に良いお酒を、適量で飲んだ方が、健康長寿につながると信じていたので、この論文には衝撃を受けました。

 蒼野自身はこの頃、毎晩晩酌をしており、地中海食やフレンチパラドクスなどの健康効果を参考に、身体のために、赤ワインを中心に飲んでいました。2杯(アルコール20g)までと思いつつ、ストレスがあった日などには、ついつい飲みすぎたりもしていたのです。

 この論文は、1990~2016年にかけて195の国と地域におけるアルコールの消費量と、アルコールに起因する死亡などの関係を23のリスクを検証し、分析したものです。

 少量飲酒で、もちろん虚血性心疾患のリスクは下がるのですが、高血圧や脂質異常症、脳出血、乳がんなど、飲酒量が増えると、少量であってもリスクが着実に上がる病気も、多くあることが分かってきています。飲酒量が増えればがん、結核など、他の疾患のリスクは、少量飲酒においても高まっていくので、心疾患などの予防効果が相殺されてしまうということなのです。

 アルコール換算で10gくらいまでは、疾患リスクの上昇はあるものの緩やかで、それより多くなると明確に上昇傾向を示します。リスクはJカーブではなく、徐々に上がってゆくLカーブだったのです。死亡リスクを高めない飲酒量は、純アルコールに換算して週に100gが上限とのことです。

 アルコール10gは 5%のビールで250ml、15%の日本酒なら82ml、25%の焼酎で50ml、12%のワインで100ml、40%のウヰスキーで30mlなのです。蒼野はもう酔えなくなってしまいました!

 WHOが喫煙の次に、世界の健康のためのターゲットにしているのがアルコールです。「世界の病気の5%以上が、アルコールの有害な使用により引き起こされている」と述べています。世界的にも、人々の飲酒量を減らす取り組みが始まっています。

それではアルコールの害について書いてみます。
1、睡眠サイクルの破壊                        
確かに寝つきは良くなりますが、眠りは浅くなり、代謝されたアセトアルデヒドが、交感神経を刺激するため、休むべき夜中に、戦闘モードになってしまい、自律神経の失調の原因になるのです。メンタル疾患も飲酒で紛らわしている間は決して治らないそうです。

2、体の老化促進                            
代謝されたアセトアルデヒドは体内のタンパク質と結合して、老化の元凶とも言われるAGEs(糖化最終生成物)に変化します。AGEsは皮膚の老化をはじめとして、動脈硬化、糖尿病、脂肪肝、骨粗鬆症や関節症、認知症などの原因物質となります。

3、発癌(アセトアルデヒドのDNA損傷)
WHOは2007年に「飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と、女性の乳房のがんの原因となる」と指摘しています。 

 怖いですね~。蒼野は幸か不幸か、昨年の交通事故で、毎晩のアルコールから離脱することができました。事故の後遺症の複視が治したくて、基本的には飲まなくなることができたのです。事故が無ければ、おそらく今も毎日飲んでいたような気がします。

 ずっと飲んでいた時は分からなかったのですが、飲まなくなってから、毎日の睡眠で疲れが取れやすくなりました。今考えると、飲みすぎた日の朝は、喉がカラカラで、疲れていて、エネルギー不足だったと思います。

 以前にお酒を飲みながらのボディメイクに、トライしたことがあるのですが、今回、飲酒をせずに、歩行と間欠断食を始めると、前回減らすのに3ヶ月かかった、体脂肪率は1ヶ月で達成し、その後も減り続けており、現在も、お腹いっぱい食べながら、体脂肪率一桁をキープできています。そしてたまにはワインを炭酸で割って、100mlほど飲んだりもします。

 秋になって久しぶりに飲み会で沢山飲んだのですが、翌日は1日、複視の程度が悪くなっていました。やっぱりアルコール、アセトアルデヒドは体に悪いのだなあと実感できました。

 世の中のお酒好きの皆様、申し訳ありません。蒼野も酒好きだったので、ご気分を害されているのではないかと心配です。どうして人は、お酒が飲みたくなり、お酒に依存しやすいのかは、また別の機会に書きたいと思います。

 もちろんコミュニケーションが弾んだり、お酒で仲良くなったりと、良い面がないとは言えませんが、アルコールという薬物の性質については、頭に入れておくべきだと思い書かせていただきました。もちろん飲む、飲まないは自由ですので、各々がご判断ください。蒼野はこの調子なら、週100g以下の摂取上限は、何とか守れそうです。

参考文献:Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016;Lancet. 2018 Sep 22 ; 392:1015-1035.